2022年後半から2023年にかけて、Appleの「探す」ネットワークに対応したサードパーティー性の紛失防止タグが続々と登場しています。こうした製品は、iPhoneなどの「探す」アプリから簡単に初期設定が行え、捜索しやすいのが特徴です。
この記事では、サービスの概要を振り返りながら、主な製品を紹介します。
スマートフォンやスマートウォッチ、タブレットを軸に、ICT機器やガジェット類、ITサービス、クリエイティブツールなどを取材。Webメディアや雑誌に、速報やレビュー、コラムなどを寄稿する。Twitter:@kira_e_noway
まずは、2021年4月に発売されたApple純正の紛失防止タグ「AirTag」についておさらいしましょう。AirTagは、「碁石」や「マグネット」を思わせるミニマルなデザインです。ただ、タグ本体に穴などはないため、キーホルダーなどに固定したい場合は、対応のホルダーなどを別途用意する必要があります。
AirTagの最大のメリットは、U1チップを搭載したiPhone(11シリーズ以降)であれば、「超広帯域テクノロジー(UWB)」によって、近くにあるタグまでの方向・距離を正確に検知できることです。一般的な紛失防止タグと同様に音を鳴らすこともできますが、画面で方向・距離を確認できるので、より正確な捜索ができます。
また耐久性にも優れていて、動作推奨温はマイナス20〜60度までと広く、防水性能についてもIP67に準拠し、水深1mで最大30分間耐えられるとされています。販売価格は、1個4780円(税込、以下同)。4個セットで1万5980円です。紛失防止タグとしては高額な部類ですが、コイン型電池で駆動するので、長く使い続けることができます。
Appleが周辺機器を開発する企業に対して「探す」アプリのネットワークを利用できるようにしたのは、2021年4月です。Appleが公開したニュースリリースによれば、MFiプログラム(Made for iPhoneプログラム)の一環として、「探す」ネットワーク対応アクセサリープログラム(The Find My Network Accessory Program)をスタートさせました。この時点で自転車や紛失防止タグなどが対応を果たしていました。
このときに初めてApple Find Myに対応した紛失防止タグが「Chipolo(チポロ) ONE Shot(2021)」です。日本でも2021年11月からブルーグリーングループによって取り扱われるようになりました。
Chipoloからは、キーホルダーなどに装着できる標準的なタグ型の製品「Chipolo ONE Spot」(3700円)と、財布などに収納しやすいカードタイプの「Chipolo CARD Spot」(4999円)の2製品が展開されています。なお、後者は2022年9月に発売された製品です。
なお、これらの製品は「探す」アプリに対応しています。しかし、AirTagのようにUWBによる捜索には非対応です。タグの捜索は位置情報や音で行います。また、どちらも電池交換には対応しておらず、1年または2年程度の使用で電池が切れると買い替えとなります。
やや時間が経過し、こうしたスマートタグの話題も下火になっていたところに、2022年後半から2023年にかけていくつかの大手ブランドが「探す」ネットワークに対応したスマートタグを発売しました。続々とサードパーティー製品の選択肢が増えたことで、ユーザーにとっても注目したいトレンドとなっています。
アンカー・ジャパンは、同社が展開するスマートホームブランド「Eufy(ユーフィ)」のサブブランド「Eufy Security」から、「探す」対応のスマートタグを2種類展開しています。具体的には、2022年10月にタグ型の「Eufy Security SmartTrack Link」(2990円)を、2023年2月にはカード型の「Eufy Security SmartTrack Card」(3990円)を発売しました。
こちらもUWBを使った捜索には非対応です。「探す」アプリから位置情報を確認したり、タグから音を出したりすることで捜索が可能です。
タグ型の「Eufy Security SmartTrack Link」は3000円を下回っており、本体にホールも搭載。電池交換も可能です。防水性能はIPX4なので注意が必要ですが、価格を重視するなら優先度の高い選択肢といえるでしょう。
一方、カード型の「Eufy Security SmartTrack Card」は電池交換不可で、最大3年間使えます。
BBソフトサービスは2023年2月、「プラススタイル(+Style)」ブランドから「まもサーチTag」を発売しました。販売価格は3480円です。本体に穴が空いているので、ホルダーなしで鍵やカバンに固定しやすいのがうれしいポイント。防水性能はIPX5、使用環境としては0〜40度に対応しています。
同じく、UWBを使った捜索には非対応。位置情報や音での捜索が可能です。UWBにこだわらなければ、コストパフォーマンスの高い製品といえます。+Style本店で購入すると、2年間の製品保証が付くのも安心できます。
その他にもさまざまなブランドから、「探す」対応のスマートタグが販売されています。例えば、ノジマのプライベートブランドである「エルソニック(ELSONIC)」からも、2023年1月に「Item Finder(アイテムファインダー)」(ECT-ST1)が発売されています。
販売価格は4070円。ノジマの店舗やノジマオンラインで販売されています。「Item Finder」はキーチェーンが付属しているのがうれしいポイント。防水性能はIPX4で、電池交換可能です。
また4月に発売したばかりの、グリーンハウスの「DIGL(ディグル)」も要チェックです。販売価格が1個2980円と安く、3個セットでも7980円です。ストラップが付属しているほか、アクセサリーを活用することで、ペットの首輪や自転車のサドルなどにも固定できます。
電池交換にも対応しています。防水・防塵性能がIP66と高いのもうれしいポイント。5月7日までお試しキャンペーンを実施しており、1個1980円で購入可能です。
AirTagが気になりつつも、「ちょっと高いな……」と二の足を踏んでいるなら、ぜひサードパーティー製品も合わせて検討してみてはいかがでしょうか。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.