車体が軽い、車検がない、高速道路が通行可能など、日本においてメリットの多い「250ccクラス」。ゆえに、国内4メーカーが特に注力しており、ラインアップも豊富にそろっています。
そんな群雄割拠の中から今回紹介するのは、スズキの「Vストローム250」というアドベンチャーモデル。2023年7月でリリース期間は丸6年となりますが、初登場時から変わらずコンスタントに売れているという珍しい機種です。いったい何がライダーたちをひきつけるのか、詳しく解説しましょう。
モーターサイクル&自転車ジャーナリスト。短大卒業後、好きが高じて二輪雑誌の編集プロダクションに就職し、6年の経験を積んだのちフリーランスへ。ニューモデルの試乗記事だけでもこれまでに1500本以上執筆し、現在進行形で増加中だ。また、中学〜工高時代はロードバイクにものめりこんでいたことから、10年前から自転車雑誌にも寄稿している。キャンプツーリングも古くからの趣味の一つであり、アウトドア系ギアにも明るい。
フルカウルスポーツの「GSX250R」をベースに外装を一新し、2017年7月に発売されたのがスズキの「Vストローム250」です。Vストロームシリーズは、「1050/DE」を筆頭に、「800DE」「650/XT」と排気量ごとに用意されており、「Vストローム250」が末弟という位置付けになります。
「GSX250R」と基本設計を共有していることから、前後のホイールや標準装着タイヤの銘柄、ABS付きのブレーキセットなどは共通となっていますが、限られたコストの中で各部の寸法を細かく変更するなどして、アドベンチャーらしい大らかな走りを構築しています。
エンジンは248ccの水冷並列2気筒で、最高出力は24psです。同じ2気筒でも30psオーバーが珍しくない250ccクラスにおいて、特別にパワフルというわけではありません。しかしながら、パワーと燃費性能はおおよそ反比例の関係にあるため、スズキはあえて最高出力よりも多用する速度域での実用性を重視し、各部のロスを減らして燃費をよくすることを選択しました。
実際に走らせてみると、パワーが少ないどころか、むしろ力強いとすら感じます。発進から時速90km付近までの加速性能を良くするため、エンジンの低中回転域のトルクを増やしているからです。その結果、スロットルを大きく開けなくてもモリモリと力が湧いてくるので、30psオーバーの他車よりも相対的に力強いと感じるのです。
高回転域まで回さなくても済むことから結果的に実燃費もよく、1リットルあたり余裕で30kmを超えます。燃料タンク容量は17Lもあるため、1回の給油で500km近くも走れることになります。北海道などガソリンスタンドの少ない地域では、この航続距離の長さがルートの選択肢を増やすことになるので、ツーリングライダーにとってはかなり魅力的でしょう。
ウインドスクリーンやナックルカバー、シュラウドなどが生み出す防風効果の高さも見逃せません。ライダーは走行中、常に正面から走行風を受け続けるので、これが軽減されると疲労も大幅に減ります。
純正アクセサリーでトップケースやサイドケースが用意されており、これらを追加すれば大量の荷物も余裕で積めるようになります。
ホイール径が前後17インチと小さいため、未舗装路での走破性はあまり高くないのですが、オンロードでのハンドリングは非常に扱いやすく、乗り心地も良好です。現状における最強の250ccロングツアラー、それが「Vストローム250」なのです。
「250ccバイク」おすすめ5選 車検なし、高速道路OK キャンプツーリングも楽しめるモデルを紹介【2023年4月版】
「250ccネイキッドバイク」おすすめ5選 オーソドックスなスタイルが楽しめる【2023年5月版】
「125cc(原付二種)スポーツバイク」おすすめ5選 ネイキッドやスーパースポーツ、オフロードタイプも【2023年6月版】
「125cc(原付二種)スポーツバイク」おすすめ5選 ネイキッドやスーパースポーツ、オフロードタイプも【2023年6月版】
「ネオクラシックバイク」おすすめ6選 見た目はクラシカル、設計技術は最新 国内メーカーの人気モデルを紹介【2023年6月版】Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.