「ネイキッド」とは、カウリングのないスタンダードなオンロードモデルのバイクで、エンジンやサスペンションなどの機能パーツがそのまま見えることから、バイクらしいスタイリングで人気を集めています。
現在、維持費の安い原付二種(125cc)クラスにはどんなネイキッドモデルがあるのか、海外メーカーも含めて紹介しましょう。
モーターサイクル&自転車ジャーナリスト。短大卒業後、好きが高じて二輪雑誌の編集プロダクションに就職し、6年の経験を積んだのちフリーランスへ。ニューモデルの試乗記事だけでもこれまでに1500本以上執筆し、現在進行形で増加中だ。また、中学〜工高時代はロードバイクにものめりこんでいたことから、10年前から自転車雑誌にも寄稿している。キャンプツーリングも古くからの趣味の一つであり、アウトドア系ギアにも明るい。
日本では小型自動二輪免許を取得すると、一般公道で排気量125cc以下のバイクに乗ることができます。EU(欧州連合)ではA1ライセンスがこれに該当し、125cc以下かつ最高出力が15ps以下と定められています。
そのため、このクラスは世界各国の二輪メーカーが注力しており、若者が欲しがるようなアグレッシブなスタイリングのバイクが多いのです。それはネイキッドも同様で、小さいながらも存在感は抜群です。
125ccフルカウルスポーツの「GSX-R125」をベースに、ネイキッド化したモデルが「GSX-S125」です。ネイキッドの中でも特にアグレッシブなスタイリングのモデルは“ストリートファイター”と呼ばれ、スズキでは“GSX-Sシリーズ”がそれに該当します。
「GSX-S125」も鋭利なデザインのラジエーターシュラウドを採用するなどして、シリーズ共通のイメージを見事に構築しています。最高出力15psを発揮する水冷単気筒エンジンは、7000rpmから上の回転域で明確にパワーが盛り上がるという典型的な高回転型で、小排気量車ならではの回す楽しさにあふれています。
足周りを含むシャシーは基本的に「GSX-R125」と共通なのですが、こちらは乗車姿勢がアップライトなこともあって、さらに軽快なハンドリングとなっています。これだけ楽しめる125ccネイキッドが42万200円というのは驚きでしかなく、ベテランライダーのセカンドバイクとしてもおすすめです。
新世代“CBシリーズ”の末弟として2018年に発売されたのが「CB125R」です。ヘッドライトが丸目1灯なので、先に紹介したスズキの「GSX-S125」ほどアグレッシブなスタイリングではありませんが、凝縮感のある外観は近未来的でもあり、新世代を名乗るに相応しい仕上がりとなっています。
エンジンは2021年モデルでハイメカニズムなDOHCとなり、最高出力は13psから15psへと引き上げられました。また、このタイミングでフロントフォークは上位モデルと同じ構造のSFF-BPとなるなど、足周りもグレードアップしました。
価格は「GSX-S125」より5万円ほど高めですが、250ccクラス顔負けのブレーキセットやラジアルタイヤを装着しており、その価格差に納得できます。原付二種でも上質感を大切にしたい人にピッタリな1台でしょう。
オーストリアのKTMが“デューク”という名のネイキッドモデルを発売したのが1994年のこと。以降、バリエーションを増やしつつ現在までその歴史が続いています。
「125デューク」はシリーズの末弟ですが、同社の象徴でもある美しいトレリスフレームに、WP製の高性能な前後サスペンション、グレードの高いブレーキセット、そしてクラスを超えた幅の広いラジアルタイヤなど、設計において一切妥協していないことが分かります。
搭載されている水冷単気筒の最高出力は、「GSX-S125」や「CB125R」と同じ15psですが、実際に走らせてみるとレスポンスが快活なこともあり、「125デューク」が一番パワフルに感じられます。
また、上位モデルの「250デューク」や「390デューク」とシャシーが共通ということもあり、ハンドリングには常に余裕があるのも魅力の一つ。この特徴的なスタイリングに惚れてしまったら買いでしょう。
最後に紹介するのは、2014年に復活したイタリアンブランド、SWM(スピーディ・ワーキング・モータース)のスタイリッシュなネイキッド「ヴァレーゼ125」。2019年の春からヨーロッパ市場で販売されており、日本に上陸したのは2020年です。
ヘッドライトは丸目1灯というベーシックなものですが、真っ赤なトレリスフレームをはじめ、剛性の高そうな倒立式フロントフォークやスイングアーム、グラマラスなボディワークなど、イタリアならではの美しさが随所に感じられます。
水冷単気筒エンジンは、KTMの「125デューク」に匹敵するほどの元気の良さを感じさせる一方で、ハンドリングは穏やかで扱いやすく、ライダーを慌てさせることがありません。
ブレーキは前後連動タイプで、リヤを踏んだときにフロントも強めに作動してしまいますが、気になったのはその程度。3年前の49万5000円という価格からだいぶ上がってしまいましたが、人とは違う原付二種ネイキッドがほしい人に選んでほしい1台です。
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