ホンダから、およそ20年ぶりに“CL”という伝統の車名を冠したスクランブラー「CL250」が誕生しました。ベースはクルーザータイプの「レブル 250」で、エンジンやフレームなど主要パーツを共有しながら、見事にスクランブラースタイルに仕立てています。そのオールマイティーな魅力について紹介しましょう。
モーターサイクル&自転車ジャーナリスト。短大卒業後、好きが高じて二輪雑誌の編集プロダクションに就職し、6年の経験を積んだのちフリーランスへ。ニューモデルの試乗記事だけでもこれまでに1500本以上執筆し、現在進行形で増加中だ。また、中学〜工高時代はロードバイクにものめりこんでいたことから、10年前から自転車雑誌にも寄稿している。キャンプツーリングも古くからの趣味の一つであり、アウトドア系ギアにも明るい。
ホンダは5月、昔懐かしいスクランブラースタイルの軽二輪モデル「CL250」を発売しました。「スクランブラー」とは、オンロードモデルをベースに未舗装路も走れるように設計されたバイクのこと。1960年代に登場し、その後デュアルパーパスや競技用のモトクロッサー、アドベンチャーバイクなどに細分化されています。
スクランブラーは、岩などにぶつからないようにマフラーを高い位置へレイアウトしたり、舗装路と悪路の両方を走れるように、セミブロックパターンのタイヤを履いたりするのが普遍的なスタイリングで、「CL250」もそれらの要素をうまく取り入れています。
ベースとなっているのはクルーザータイプの「レブル 250」(61万500円)で、エンジンなどの主要パーツ以外にも、ヘッドライトやテールランプなどの灯火類、小型反転液晶メーターなどを流用し、製造コストを可能な限り下げています。その努力の結果は、「レブル 250」との差額が1万1000円しかないことからも明らかでしょう。
「CL250」の走りは、「レブル 250」と同様に微速域からフラつきにくいため、免許を取得したばかりのビギナーでもすぐになじむことでしょう。悪路走破性を高めるため、サスペンションの作動量は前後とも「レブル 250」より長めに設計されていますが、デュアルパーパスのように車体がピョコピョコと動きすぎることはなく、極めて乗り心地の良いネイキッドバイクのようです。
水冷単気筒のエンジンは、スロットルを少し開けたところから力強く加速し、クリアで歯切れの良い排気音とともに街中でも高速道路でも快走できます。エンジンもハンドリングも扱いやすいからこそ、「試しにダートも走ってみようかな」と思えてしまうところが最大のポイントです。この自由に走れる喜びこそ、バイクの原点と言えるでしょう。
「CL250」は、シンプル・タフ・素材感をテーマに開発されており、ライダーの使い方や服装などの好みに幅広く応えられるのが特徴です。純正アクセサリーが豊富に用意されており、組み合わせ次第でオフロードシーンに似合うようにドレスアップしたり、積載性や快適性を高めてロングツーリングに適したスタイルにしたりと、さまざまな用途に対応できます。
悪路走破性は、本格的なデュアルパーパスと比べればあくまでも「そこそこ走れる」というレベルです。しかし、デュアルパーパスのユーザーでも林道をメインにガンガン走る人は非常に少なく、多くのライダーにとっては「そこそこ走れる」ぐらいでも十分なのかもしれません。スポーツバイシクルに詳しい人なら、グラベルバイクに近い存在と言えば伝わるでしょうか。
ツーリング・林道走行それぞれに特化したバイクはありますが、免許を取ったばかりの人は自分がどの遊び方にハマるか分かりません。そんな人にこそ、さまざまなチャレンジができる「CL250」がピッタリと言えるでしょう。
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