現在、日本でダントツに売れている250ccクラスのバイクはホンダの「レブル250」ですが、それ以外にも魅力的なモデルがたくさん販売されています。
今回は、ベテランジャーナリストが自分で買いたい「250ccクラスのバイク」を選び、それぞれの推しポイントについて解説します。
モーターサイクル&自転車ジャーナリスト。短大卒業後、好きが高じて二輪雑誌の編集プロダクションに就職し、6年の経験を積んだのちフリーランスへ。ニューモデルの試乗記事だけでもこれまでに1500本以上執筆し、現在進行形で増加中だ。また、中学〜工高時代はロードバイクにものめりこんでいたことから、10年前から自転車雑誌にも寄稿している。キャンプツーリングも古くからの趣味の一つであり、アウトドア系ギアにも明るい。
マットモーターサイクルズは、2013年に誕生した英国ブランドです。ビンテージバイクのカスタムビルダーであるベニー・トーマス氏が、もっと気楽に、信頼して乗れるバイク作りを目指して設立しました。
現在250ccのラインアップは全9車種で、21psを発生する空冷単気筒エンジンは基本的に全車共通。いずれもビンテージバイク風というのが特徴となっています。
「GT-SR250」は、今春発表されたばかりのニューモデルで、秋以降に日本へ上陸予定です。ファットな前後タイヤにミニマムなフェンダー、低重心かつ凝縮感のあるシルエットなど、日本車にはないスタイリングが魅力的です。
250ccとしては価格がやや高めですが、外観を構成するパーツの素材や加工、仕上げが非常に良く、実車を見ていただければ納得することでしょう。
現在はオーストリアのKTM傘下にある、スウェーデン発祥ブランドのハスクバーナ・モーターサイクルズ。スウェーデン語で「矢」を意味するピレンシリーズは、カフェレーサースタイルのヴィットピレンと、スクランブラー風のスヴァルトピレンがあり、ここで紹介するのは後者です。
ベースとなっているのはKTMの「250デューク」というネイキッドモデルなのですが、その面影は特徴的なトレリスフレームに残るのみ。ヘッドライトをはじめとする灯火類、外装一式、そしてホイールまで変更されています。
エンジンは「250デューク」譲りの快活さがあり、シフトフィーリングも良好。クラッチレバーの操作力が軽いのもうれしいポイントです。一方、ハンドリングはタイヤ銘柄の影響か「250デューク」よりも穏やかであり、なおかつ乗り心地も良好です。
タンデムシートが小さいので、荷物をたくさん積むには工夫が必要ですが、この個性的なスタイリングに惚れた人なら、そんなことは些細な問題でしょう。
イタルジェットは1959年にイタリアで創業され、2003年に倒産の憂き目に遭うも、2005年11月に再建されたブランド。「ドラッグスター」は、倒産する前の1998年から販売されていたスクーターの後継モデルで、2018年に初お披露目されました。
何と言っても特徴的なのが、クロモリ鋼とアルミプレートを組み合わせたトレリスフレームと、I.S.S.(インディペンデント・ステアリング・システム)と名付けられたフロントのサスペンション機構です。
倒産前のドラッグスターに試乗したことがあるのですが、その乗り味は非常に独特で、まるでアメンボのようにスイスイと走れることに感動した記憶が今も残っています。
ラインアップは「125(124cc)」と「200(181cc)」の2種類で、違いは基本的にエンジンのみ。日本では収納力の低いスクーターは不人気なのですが、ドラッグスターを前にすると、それを指摘するのは野暮だと断言できます。
現在、世界で唯一250ccの4気筒モデルを販売しているのがカワサキです。「ニンジャZX-25R」は2021年9月に発売され、2023年モデルでは令和2年排出ガス規制に適合しながら、最高出力を45psから48psへと高めてきました。
何と言っても魅力的なのは10000rpm以上まで回したときの超高回転サウンドで、自動的に回転数を合わせてくれるオートブリッパー付きのクイックシフターが、その興奮をさらに盛り上げてくれます。
シート高が785mmと低く、足着き性が良いのもポイントと言えるでしょう。鮮やかな4.3インチTFTフルカラー液晶メーターや、便利なスマートフォン接続機能など、ほぼ全部盛りと言える豪華装備だけに価格はかなりお高めですが、その分リセールバリューも期待できるだけに、買う価値大ありです。
最後に紹介するのは、筆者がリアルに買おうと計画しているスズキの「Vストローム250SX」。発売日は8月24日です。生産国のインドでは、排気量を表す数字のない“VストロームSX”という名称で2022年4月に発表されており、かなりの人気モデルになっているとのこと。
スズキの250ccクラスには、「Vストローム250」という水冷並列2気筒エンジンのモデルがすでにあり、「Vストローム250SX」は油冷単気筒エンジンを搭載しています。
両車ともオンロードモデルをベースにアドベンチャースタイルへと仕立てているのですが、「Vストローム250SX」はフロントに大径19インチホイールを履かせるなど、悪路走破性を考慮しているのが最大の違いと言えます。
筆者は並行輸入車に試乗した際、835mmというシート高がネックになりそうと感じたのですが、約25mm低くなるローシートが純正アクセサリーで用意されているので、足着き性が厳しい方はそれを選ぶとよいでしょう。
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