10月に入り続々と新作の秋アニメがスタートしていますが、今期皆さんは何を見る予定ですか? 初回が金曜ロードショーで放送された『葬送のフリーレン』も素晴らしい作品ですが、その他にもさまざまなタイプのアニメが登場しています。
今回は数ある秋アニメからAmazonプライムで追っかけで見られる作品をピックアップしました。すべて今期スタートのアニメなので、これから見始める人でも問題なく楽しめるはずです。少年ジャンプ原作のパワフルなアニメから、本格的なミステリーアニメまで幅広く紹介するので、気になるものがあったらぜひチェックしてみてください。
フリーライターとして、家電、家具、アニメ等の記事を担当。大学時代から小説や脚本などの創作活動にはまり、脚本では『第33回シナリオS1グランプリ』にて奨励賞を受賞、小説では『自殺が存在しない国』(幻冬舎)を出版。なんでも書ける物書きの万事屋みたいなものを目指して活動中。最近はボクシングをやりはじめ、体重が8kg近く落ちて少し動きやすくなってきました。好きなのものは、アニメ、映画、小説、ボクシング、人間観察。好きな数字は「0」。Twitter:@kirimachannel
不死の男と不運の少女の出会いから始まるエキセントリックなバトルアニメ『アンデッドアンラック』。週刊少年ジャンプで連載中の漫画が原作ということもあり、少年漫画らしいエンタメ色強めの展開が魅力の作品です。バトルに次ぐバトル、アクションに次ぐアクションで、息つく余裕もなくあっという間に1話が終わってしまいます。
アニメーション制作は『炎炎ノ消防隊』『ジョジョの奇妙な冒険』シリーズなどを担当したdavid productionが務めており、この世の理から外れた能力者たちの激しいバトルとアクションを躍動感たっぷりの作画で表現しています。まるでジェットコースターに乗っているかのような気分で、画面を見ながら抜群の爽快感が味わえます。
また、今作に出てくるキャラクターは皆、何かを否定された者たちであり、それゆえにある種の特殊能力を有しています。”否定者”と呼ばれる能力者たちの特性は千差万別。主人公の1人・アンディは不死の体を持つ”アンデッド”の能力者であり、期せずして彼のパートナーとなったヒロイン・出雲風子は不運を呼ぶ”アンラック”の能力者。
その他にも個性あふれる否定者が数多く用意されており、どんなユニークな能力が飛び出すかは各放送回のお楽しみ要素の1つと言えます。
肌で触れた者に不運をもたらすため、本当は人と触れ合いたいのに触れられない葛藤を抱えた少女・風子と、死にたいのに死ねない男・アンディの出会いから、不思議なWin-Winの関係が生まれ、”最高の死”を追求する物語が動き始めます。
アンディはとにかく最高の死が欲しいため、死をもたらす風子とどうやって接触するのが効果的なのか実験を繰り返します。その結果、アンディは電車にひかれたり、落雷に打たれたりと、あらゆる種類の不運を経験します。不運はどんどん大規模にインフレ化していき、まさかと驚くド迫力な不運が訪れることも……。バリエーション豊富に展開される不運にぜひ注目してみてください。
不運によって死ぬたびにアンディは体を再生させるわけですが、服は再生しないため、やたらと素っ裸のシーンが多く、遠慮なく血がドバドバ出たり、不運を得るために風子の体をまさぐるようにベタベタ触ったりと……アンディはコンプラ全力無視で突っ走っていきます。
日々コンプラでがんじがらめになっている我々の心を解き放つ、気持ちいいと思えるシーンが連発するのです。考えるよりも感じる、体感型アニメとして楽しめるでしょう。
近年まれに見るド級のシュールアニメ『ミギとダリ』。児童養護施設で暮らしていたミギ(弟)とダリ(兄)という2人の少年は、ある日から園山夫妻の養子として迎えられることになります。しかし、ミギとダリは自分たちが2人の人間であることを隠し、園山秘鳥(そのやまひとり)という1人の人間であると偽って園山家で生活を始めます。
どういうわけか2人で1人の子供を演じることになった少年たちが、神戸市北区オリゴン村に溶け込んでいく、摩訶不思議な物語です。ダークな世界観でありながら、どこかおかしな言動が目立つところがあり、独特な雰囲気が病みつきになります。
特に印象的なのが、ミギとダリのシュールな言動です。ミギとダリは2人であることを隠しつつ園山夫妻や村に溶け込むために、普通は思いつかない(思いついてもやらない)あの手この手で2人1役を演じ切ります。その工夫の仕方がかなり変わっているのです。
片方が前に出ている時は、もう片方は背後にひそんでいます。お互いのピンチを回避し、能力を補強し合うために、ばれないよう常にそばに控えているのです。片方が夫婦と会話しながらもう片方は画面の端に見切れている、その構図の奇妙さが笑えてきます。
2人で1人を演じなければならないとはいえ、食事は2人分きっちり取る必要があります。そんな時は夫婦が視線をそらした隙に、テーブル下に隠れている側とイスに座っている側が新体操のように互いの手足を重ね、一瞬にしてぐるっとチェンジするという荒技に出ます。文章にすると何を言っているのか良く分からないとは思いますが、映像で見るとより一層この子たちは何をしているんだ……とわけの分からない気持ちになるはず。
このようにどんな困難なことがあっても、エキセントリックな知恵と「雑技団かよ!」とツッコミたくなるようなアクロバティックな動きで2人1役を完璧にこなしていくのです。
二人三脚というよりも二人羽織のような、ツッコミどころ満載の奇妙な動きをしながらも、彼らは至って真剣に取り組んでおり、知能犯のような”してやったり”という表情を浮かべるので、かなりシュールな雰囲気があります。
そもそもなぜ2人1役を演じなければならないのか? ミギとダリの目的は何か? 2人が大事にしているペンダントはなんなのか? 冒頭に出てくる女性は何者か? などの謎が用意されており、ミステリー的な要素があるのも魅力的なポイントです。
名探偵と迷刑事のデコボココンビが繰り広げる本格ミステリー『鴨乃橋ロンの禁断推理』。ひと癖もふた癖もある魅力的なキャラクターと、伏線と伏線回収を緻密に行うミステリーとしての要素をあわせ持つエンターテインメント作品です。
警視庁捜査一課に配属されるも、その純粋さと実直さから空回りすることが多く、お荷物扱いされている刑事・一色都々丸(いっしきととまる)は、連続殺人事件が起こる中、足手まといと言われ捜査から遠ざけられてしまう……。このままでは捜査一課を外されるかもしれないと危惧した都々丸は先輩刑事の紹介で、とある名探偵を訪ねるよう言われます。
その名探偵が今作の主人公・鴨乃橋ロン。世界最高峰の探偵養成学校BLUMでトップの成績を修め、将来を有望視されていた天才青年であったロンですが、とある病気により探偵免許をはく奪され失意の底をさまよう生活を送っていました。
都々丸(通称・トト)が訪ねた時には、ボサボサヘアーと死んだ魚のような目を浮かべ、事件に関わらないよう情報が目に入るパソコンやテレビなどのデバイスも置かず、外部から自分を完全に遮断している状態。床全面がクッションになっている部屋で、猫と一緒に寝転ぶばかりの昼夜逆転生活を送るダメ人間になっていたのです。失意と退屈のどん底にいたロンは、”俺に事件の話をするな”と言ってトトから持ち込まれた捜査協力の話を断ります。
トトもこんな人に頼んでも仕方がないと諦めようとするものの、ロンから放たれた”神社で神頼みでもするんだな”という発言に驚かされます。というのも、トトは自分が神社に行ったことなどひと言も口にしておらず、ロンはトトの風貌から瞬時に情報を読み取り、神社に行ったという推理をものの数秒で完了させてしまったのです。
その抜群の推理力を見込んで、何とかロンを外へ連れ出すことに成功するトト。事件現場へ急行した2人の目の前には、水がないところで溺死している謎の死体が横たわっていました。すると、ロンは予想外の行動に移り、警察がずっと解決できなかった連続殺人事件の真相を瞬時に解き明かしてしまいます。
かくして犯人と対峙することになった2人ですが、ロンの奇妙な病気が発動してしまい、事態は思わぬ方向へ進むことに……。特異体質のせいで探偵ができなくなったロンと、マヌケであるがゆえにロンの特異体質を補えるトトの2人が織りなす、ある意味喜劇のようなミステリー作品。推理が面白いのはもちろん、2人が展開するボケとツッコミのような漫才的なやり取りも魅力の1つとなっています。
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