集客手法の王道は「魅力的なウェブサイト作り」From Netinsider(10)

「Netinsider」は、ネットワーク業界の最新情報をレポートしている週刊のメールマガジンです。@ITでは、Netinsiderに掲載されたコンテンツの中から役立つ情報を特に厳選して、毎週読者の方々にお届けしていきます

» 2000年12月05日 12時00分 公開
[Vagabond,@IT]

<vol.10の内容>

「マーケットレポート:転職サイト比較調査」(3)

第3回目は、ユーザーの利用状況データから、15社の各サイトの「強み」「弱み」を比較してみる。評価のポイントである情報量や利便性など、ユーザーはどう感じているのか


「特集:ワンダーマーケットB2C」(3)

人気アナリスト:荒木正人氏による日本のB2C市場に関する連載コラム。第3回目の今回は、 「認知」「集客」という視点から、リアル販売企業とネット販売企業を比較する




■■ マーケットレポート■■
転職サイト比較調査



第3回 求人件数と情報検索が評価されたDigital B-ing

〜ユーザーの利用状況から見た、
各サイトの強みまたは弱みについての考察〜

評価のポイントは「情報の探しやすさ」 と「求人件数の多さ」
登録の利便性やプライバシー保全の面では
各社改善の余地ありか?


ネットインサイダー編集部では、株式会社プロシークの協力を得て、転職サイトの利用実態を明らかにすべく、主要な15の転職サイトを対象に1万人にアンケート調査を実施し、488人の回答を得た。その結果を本誌面で4回に分けて報告する。

(注)本調査は、JobJungleのユーザー約1万人を対象に行った

概略

  • 全サイトでは「情報の探しやすさ」「求人件数の多さ」が高く評価されている
  • 求人件数に強みの「Digital B-ing」「Find Job」「Sim-career」
  • 情報の更新頻度が高い「Asia-net」「Sim-career」「Digital B-ing」
  • メールマガジンの評価が高い「JOBMAIL」「en」「Find Job」「Asia-net」
  • プライバシーに強い「JOBMAIL」「JobJungle」「Sim-career」

ランキング-良いと思う点

(注1) 合計 Digital B-ing Find Job Sim-career ecareer
求人件数が
多い
**** 44% ******* 69% ****** 60% ***** 58% ** 29%
登録が
簡単
** 26% ** 22% 0% ** 23% ** 24%
情報検索が
簡単
***** 52% ****** 64% ***** 50% **** 46% **** 41%
情報更新
頻度高い
** 22% *** 32% ** 20% *** 39% * 18%
自己情報の
登録可
* 18% 6% 0% *** 39% ** 24%
秘密
厳守
** 23% * 12% * 10% *** 31% ** 24%
MM
配信
** 21% * 12% *** 30% ** 27% ** 29%)
その他 * 19% * 16% ** 20% * 19% * 12%

(注1) en Nikkeibp-expert JOBMAIL Asia-net JobJungle
求人件数が
多い
**** 42% *** 33% *** 32% ***** 50% ** 26%
登録が
簡単
** 23% * 19% *** 32% ** 21% *** 34%
情報検索が
簡単
**** 48% **** 48% **** 47% **** 43% **** 47%
情報更新
頻度高い
* 16% ** 24% **** 47% * 14% * 11%
自己情報の
登録可
** 26% * 10% * 16% * 14% ** 26%
秘密厳守 * 13% * 19% ** 21% *** 36% *** 32%
MM配信 *** 39% * 19% *** 37% ****** 64% * 17%
その他 * 13% *** 33% ** 21% ** 21% ** 20%


  • この質問は「最もよく利用する求人サイト(注2)」に対して、良いと思う点を聞いたものである
  • 全回答数は449
  • 回答数が10未満のサイトは掲載していない。
  • *1つで10%とする(30%の場合は***となる)

(注1)正確な選択肢は以下の通り

  • 求人件数が多い
  • 登録(入力)が簡単
  • 情報が探しやすい
  • 情報の更新頻度が高い
  • 自己プロフィールが登録・保存できる
  • プライバシーが守られている
  • メールマガジンのサービスがある
  • その他

最もよく利用する求人サイト(注2)

最もよく利用する求人サイト
1位 JOB JUNGLE 36.6
2位 Digital B-ing 29.2
3位 en 6.9
4位 Sim-career 5.5
5位 Nikkeibp-expert 4.8
6位 ecareer 4.2
6位 Asia-net 4.2
8位 JOBMAIL 2.9
9位 Find Job 2.1
10位 登龍門 0.8
10位 JOB JOB 0.8
12位 worktank 0.6
12位 JOBWORLD 0.6
14位 Career Space BJ 0.4
15位 JOB IN JAPAN 0.2
(注2)全回答数は476

調査レビュー

−全サイトでは「情報の探しやすさ」「求人件数の多さ」が高く評価されている

 転職サイト15社全体でユーザーの回答を見てみると「情報が探しやすい」「求人件数が多い」が高くなっている。これに対し、「登録が簡単」「自己プロフィールが登録・保存できる」「プライバシーが守られている」といった登録に関する点やプライバシーに関する点などの評価はあまり高くなかった。

−求人件数に強みの「Digital B-ing」「Find Job」「Sim-career」

 求人件数が高く評価されたサイトは「Digital B-ing」「Find Job」「Sim-career」であった。実際に「Digital B-ing」は競合サイトの5倍〜10倍近くの求人件数(約1万件)を掲載しているといわれており、この点が高い評価を得たようである。

 この他には「Find Job」「Sim-career」が評価されている。「Digital B-ing」の次に求人件数が多いといわれている「ecareer」については、ユーザー評価は29%とかなり低い結果であった。

−情報の更新頻度が高い「Asia-net」「Sim-career」「Digital B-ing」

 15社全体の評価では、21%とあまり高い評価ではなかった情報の更新頻度については、「Asia-net」「Sim-career」「Digital B-ing」の3サイトで、ユーザーの評価がが高かった。特に「Asia-net」「Sim-career」は平均の倍以上のスコアを叩き出し、情報鮮度が売り物となっているようである。

 なお、各サイトとも実際の更新頻度は1週間程度とあまり格差はないようだが、今回の結果を見る限りではサイト間に格差が生じており、ユーザーは更新情報の質的な面も含めて各サイトの違いを敏感に感じ取っていると言える。

−メールマガジンの評価が高い「JOBMAIL」「en」「Find Job」「Asia-net」

 メールマガジンのサービスが評価されたのは「JOBMAIL」「en」「FindJob」「Asia-net」であった。「JOBMAIL」は平均値の3倍近い64%もの高い数値となっており、15万人に対し1日3回ものメールマガジンを配信している点が評価されたと思われる。

 なお、「メールマガジンを主に利用するサイト」の回答と比較すると、「Nikkeibp-expert」だけが今回の評価からは外れている。このことから、同サイトではメールマガジンは利用されているものの、内容については必ずしも満足しているとは言えない可能性がある。

−プライバシーに強い「JOBMAIL」「JobJungle」「Sim-career」

 15社全体の評価ではプライバシーについては、あまりユーザーに満足を与えられなかったが、その中で比較的高い評価を得たのが「JOBMAIL」「JobJungle」「Sim-career」であった。「Sim-career」については、「匿名転職シミュレーションサイト」というサブネームもあり、トップページでプライバシー保護について明確に訴求している点が評価されたようである。

(データ引用は編集部までご連絡ください netinsider@vagabond.ne.jp )



■■ 特 集 ■■ 
ワンダーマーケットB2C



第3回 認知、集客機能としてのB2C

〜 ブランド力のあるリアル販売企業が競争優位
ネット販売企業は魅力的なウェブサイトで認知度と集客力を高めよ 〜

ウィット・キャピタル証券株式会社
調査部アナリスト 荒木正人

リアルでの認知度が低いネット販売企業

 B2Cに限らず、商売の第一歩は自社の存在を認知(perception)させ、集客することである。

 一般的には、ベンチャーのネット販売企業よりも、先行してリアルで事業を展開しているリアル販売企業の方が認知度は高いと思われる。したがって、認知、集客という点では、ネット販売企業よりもリアル販売企業がネット事業に参入する方が競争優位であると考えられる。例えば、ソニースタイルドットコム・ジャパン株式会社< http://www.jp.sonystyle.com/ >のケースであろう。ソニーというブランド力は圧倒的に強い。

 その他の例として、eコマース企業を設立した大手コンビニエンスストアは、インターネットでの住所表記に相当するURLをリアルの店舗で露出させることによってネット事業参入を効果的に認知させている。

 また、大京はリアル事業で高いブランド力をもっているため、ウェブサイトへのアクセス数の約三分の一は直接URLが打ち込まれてくる。リアル事業において、ちらしや看板などにURLを露出しているため、消費者の認知度が高いからであると思われる。

 逆に、ヤフーやライコスなど検索サイトの大手ネット企業は自社のブランドを認知させるために、莫大な広告宣伝費を投じている。

魅力的なウェブサイト作りがポイント

 ブランド構築においてリアル販売企業よりも不利なネット販売企業は、オプトインメール、アフィリエイトプログラム、トラフィック交換を含めて、費用対効果の高い認知・集客手法を選択すると共に、ウェブサイト作りに徹底的にこだわることが集客力を高めることにつながると思われる。高い広告宣伝費をかけて見込客をウェブサイトに誘導しても、リアル販売企業の店舗に相当するウェブサイトが魅力的でなければ、二度と来訪されることはない。

 逆に、魅力的なウェブサイトであれば口コミによってアクセスが増えることが予想される。口コミこそ最も効果的な集客手法と思われる。ウェブサイト作りに注力しているB2Cプレーヤーとしては、先述したオートバイテル・ジャパンと株式会社

eSampo.com(イーサンポ・ドット・コム)< http://www.esampo.com >の2社(共に未公開企業)が挙げられる。

オートバイテル・ジャパン

 オートバイテル・ジャパンでは2000年6月に競合他社のウェブサイトと使い易さなどについてユーザーのグループインタビューを行なった結果、自社のウェブサイトが競合他社のそれに比べて非常に使い難いことが明らかになった。

 オートバイテル・ジャパンは、これまでは米国オートバイテルの影響を受けて、米国オートバイテルのウェブサイトと似た作りをしていた。ところが、日本のインターネットユーザーは米国のユーザーに比べると未だ初心者が多く、したがって、初心者には使い難いウェブサイトになっていた。

 そこで2000年8月から、オートバイテル・ジャパンのサービスの使い方を載せ、ユーザーの目的別(例えば、新車で車種が決定している人など)に入り口を設けている。また、コンテンツの新鮮さ(フレッシュネス)も大きく向上するなど、車好きな人が毎日でも楽しめるウェブサイトに様変わりした。8月以前と比べて、格段に魅力的なウェブサイトになったと言える。

イーサンポ・ドット・コム

 イーサンポ・ドット・コムは女性向けインターネットウェブサイト企画・運営を行なっている。イーサンポ・ドット・コムのウェブサイトは魅力的なウェブサイトであるための3条件を揃えている。

 すなわち、ウェブサイトのコンセプト(伝えたいこと)が明確であり、コンテンツにオリジナリティー(独自性)があり、コンテンツがフレッシュネス(新鮮)である。イーサンポ・ドット・コムのウェブサイトのコンセプトはAwareness(気付き)であり、答えはないが気付かせることをテーマにしている。

 例えば、出産、貯蓄、キャリアなどがあり、それぞれに対してコンテンツ(例:「妊娠→出産→育児で赤ちゃんHow Much?」)を提供している。

CACとページビュー

 投資家は販売フローの中で、認知と集客が上手く機能しているかどうかをチェックするためには、顧客1人を獲得するのにいくら費やしたのかを表す顧客獲得コスト(CAC:Customer Acquisition Cost)(広告宣伝費用÷顧客獲得数)に着目するべきである。CACが競合他社よりも安ければ、効果的な集客を行っていると言える。

 また、集客の結果として、"サイトへの集客度合い"や"サイトの賑わい度合い"を表す指標であるページビューにも着目すべきである。ページビューをリーチ(=ウェブサイトへの来訪者)とフリケンシー(=ウェブサイトへの来訪回数)に分けてみることも重要であろう。

荒木 正人(あらき まさと)
ウィット・キャピタル証券株式会社
調査部アナリスト

http://www.witcapital.ne.jp/

略 歴
1967年11月 香川県丸亀市に生まれる
1991年 3月 東北大学経済学部卒業
1991年 4月 株式会社三和総合研究所入社
主に、カーディーラー、住宅販売会社、食品販売会社のマネジメントコンサルティング業務に従事
1999年 3月 青山学院大学大学院国際政治経済学研究科国際ビジネス専攻課程修了
1999年 8月 株式会社一吉証券経済研究所入社
主に、ヤフー、インターキューなどのインターネット関連担当のアナリスト業務に従事
2000年 3月 ウィット・キャピタル証券株式会社入社
ヤフー、サイバーエージェント、楽天など、インターネット広告企業、Eコマース企業を中心にカバレッジ
2000年 4月 日経金融新聞の人気アナリストランキング「IT・インターネット部門」にランクイン

次回「From Netinsider Vol.11」の掲載は12月12日です

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アイティメディアからのお知らせ

注目のテーマ

あなたにおすすめの記事PR