iPAQの起点は“インターネット・アクセス”From Netinsider(22)

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» 2001年03月20日 12時00分 公開
[Vagabond,@IT]

<vol.22の内容>

「インタビュー特集:コンパックコンピュータ株式会社
コマーシャルビジネス統括本部 インターネットプロダクト部 部長 湯浅 茂氏 (1)」

ビジネスの生産性を向上させるインターネット・コンピューティング環境を提供する「iPAQ(アイパック)」のビジネスモデルとその展望について実施したインタビューを、今回から3回にわたってお届けする




■■ トップインタビュー ■■
コンパックコンピュータ株式会社
コマーシャルビジネス統括本部
インターネットプロダクト部 部長
湯浅 茂 氏 (1)



管理者の負荷を軽減させ、アクセスすることを最優先した
iPAQインターネット・デバイスは、
一般企業はもとより
ポータルサイト・ビジネス運営にも適している


 2000年9月4日、PC出荷台数世界一を誇るコンパックが新たな戦略を発表した。「iPAQ(アイパック)」と銘打たれたそのビジネスは、BtoB(企業間電子商取引)やBtoE(従業員、企業内個人向け電子商取引)市場をターゲットとし、ビジネスの生産性を向上させるインターネット・コンピューティング環境を提供するものである。

 今回は同社コマーシャルビジネス統括本部 インターネットプロダクト部 部長 湯浅茂氏に、iPAQのビジネスモデルとその展望についてお話をうかがった。2000年10月4日、天王洲の本社をお訪ねして実施したインタビューを、今回から3回にわたってお届けする。

コンパックコンピュータ
http://www.compaq.co.jp/

管理者の負荷を軽減させ、“インターネットにアクセス”することを最優先させたインターネット・デバイス

――まず、iPAQビジネス市場戦略の具体的な要素を教えてください。

湯浅:2つの柱があります。1つは「Compaq iPAQ Internet Device(コンパック・アイパック・インターネット・デバイス)の発売、もう1つはビジネスポータルサイト「b2bpot.com」の開設です。

――どのような背景からiPAQビジネスの構想は生まれたのでしょうか?

湯浅:1999年11月、アメリカで同製品が発表されています。それに伴って新しい部が設立されました。名称が「internet products and service」。われわれは頭文字をとってIPSと呼んでいます。そして日本におけるIPSが、2000年4月1日に発足したインターネットプロダクト部です。

 そもそもなぜこのような部が設立されたかと申しますと、今後PCの価格競争はますます激化し、安価に抑えることによって利益率の低下が見込まれます。つまりPC出荷台数世界一のコンパックといえども、ハードのみの展開では厳しい。何か新しいコンテンツやサービスを提供してゆく時期なのでは……そういった観点からビジョンが生まれました。

 そのビジョンとは、いつ、どこで、だれであってもデバイスを駆使してインターネット上のコンテンツにアクセスでき、それに伴って生産性が向上していくような環境を構築していこう、といったものです。

 とはいっても、事業はまだスタートしたばかり。まだ日本の中では認知されていない向きもありますが、今後具体的に推し進めるにつれ、認識は高まっていくはずです。

――1つずつお聞きします。まずはインターネット・デバイス、こちらのコンセプトと機能について教えてください。

湯浅:インターネットの普及、ASPやイントラネットの拡充が進む中、企業内のクライアントPCには何が求められるだろうと考えたときに、当たり前のように聞こえますが“インターネットにアクセスする”ことがメインになるであろうと。

 裏を返せば、“アクセスする”以外のものは極力排除しようと考えました。実際に見ていただければ分かると思いますが、つくりは非常にシンプルです。従来における拡張性はあまり重視していませんので、拡張スロットもなければフロッピードライブもありません。このあたりが「デバイス」と呼ばれるゆえんですね。

 同時に、クライアントPCが企業内に入れば入るほど、管理者に負荷がかかってきます。そういった場合のメンテナンス性、運用管理の効率を考え、工具なしで筐体の蓋が外せるなどの設計になっています。さらに、簡単に蓋は外れますが、開けたときに見えるのはメモリスロットのみ、そのスロットにもプロテクトをかけることが可能です。

ポータルサイト上のビジネスを普及させるためにPCを配ったり、購入したりしてもらうといったビジネス形態にも適している

――結局のところ、エンド・ユーザーがあれこれ触ることはできないということですか?

湯浅:はい。よくあるのが、エンド・ユーザーさんがフロッピーで勝手に何か入れてしまい、その結果、アプリが動かなくなり、業務に支障が生じるケースです。管理側は“これとこれだけ使っていてほしい”と当然思います。先行したアメリカを見ても、そういったニーズを満たしたいがゆえの導入、といったケースが多くありました。

 さらに日本では、イントラネットが拡充すれば、そこにアクセスするためのマシンも必要となるでしょう。

 このような事例は大企業向けの話ですが、プロダクト自体は別段大企業向けではありません。最初に申し上げましたとおり、「アクセス」することがこのデバイスのメイン・コンセプトです。そういった意味では、インターネット・ボタンというものを設けています。これはボタン1つで、インターネット上の任意のサイトにアクセスできるものです。

――具体的には、どのようなビジネス形態に活用されていくとお考えですか?

湯浅:今後広がっていくビジネス形態の1つとして、ポータルサイト上のビジネスを普及させるためにPCを配ったり、購入してもらうといったものがあります。

 例えばある企業が、直販体制を考えているとします。現状、この企業にとってのエンド・ユーザーは小売店です。元来ファクスで賄っていた受発注を、エクストラ・システムを構築し、利用してもらうケースなどが考えられるでしょう。

 いまの例は受発注を賄うアプリ的なものでしたが、今度はある職種の小売団体を想定してみてください。その団体はポータルサイトを持っている、となるとそこにアクセスしてもらいたい対象は、その職種の小売店さんです。

 しかしPCをお持ちでないとなると、まずそれを普及させることが急務となりますが、通常のものですと使い方が分からない。むろんデバイスそのものの機能は通常のPCと比べ遜色ありませんが、単機能に「見せられる」という点で向いていることは確かです。

 もう1つ、インターネット・マンションがあります。つまり入居の際、住居そのものにデバイスが設置されているというものです。そうすれば、入居者はそれによって入居者向けのポータルサイトにアクセスでき、そこにアップされた管理人からのお知らせを閲覧したり、入居者同士でコミュニケーションをとったりできる、といったものです。

――iPAQインターネット・デバイスに対し、競合とお考えのものはありますか?(次回へつづく)

湯浅茂氏 略歴
1982年 読売新聞社 入社 制作システム部
1991年 DEC社主催の人工知能開発プログラムに参加のため留学
1995年 アップルコンピュータ株式会社 入社 マーケティング部
2000年 コンパックコンピュータ株式会社 入社 現職に至る

(取材:Netinsider編集部 / 文:古場 俊明)


<本記事は、2000年11月16日の【NETINSIDER】(No.81)に掲載されたものです>

次回「From Netinsider Vol.23」の掲載は3月27日の予定です

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