プロジェクトチームにおける“システム担当者”の役割ユーザーサイド・プロジェクト推進ガイド(8)(2/4 ページ)

» 2006年04月08日 12時00分 公開
[山村秀樹,@IT]

システム担当部署のメンバーはプロジェクトの主体とならない

 プロジェクトとは、「期限の定められている非定常的な活動」と定義されています。システム担当部署が普段の仕事をこなして、そのうえ「広範囲にわたる関係者へのプロセスや問題点、要求事項の調査」「チーム内での各種検討」「対立する役割や部門間の調整」「長時間に及ぶベンダとの機能要求仕様確定」など、慣れないプロジェクト作業をスケジュールどおりに行うことは現実的ではありません。

 実は、このようにシステム担当部署にシステムを開発する人的リソースが満足にないことが、業務部門に無理をいってプロジェクト専任者を出してもらう大きな理由です。

 実質的に、プロジェクトチームの主体は、システム担当部署ではなくプロジェクトに専念できる業務部門出身のメンバーとなります。1つのプロジェクトチーム内に2つのチームがあって、システム担当部署のメンバーはパートタイムメンバーでしかなく、業務部門出身のメンバーがフルタイムメンバーとなってしまうのです。

 ここに問題が潜んでいます。すなわち、すべての業務部門からプロジェクトチームに人が出されているわけではないので、業務部門出身のメンバーは自分の出身部門以外の調査もしなくてはなりません。この場合、システムに関しても業務に関しても素人が作業の中心を担うということになります。

システム担当部署の技術放棄

 最近のシステム担当部署には、IT技術を放棄せざるを得なくなったところがあります。システム担当部署は小規模であることを述べましたが、さらに縮小されたりほかの業務とプール化されているという現実があります。

 IT技術は、修得するよりも、新技術が出現するスピードの方が速いくらいです。早い話、システム担当部署には技術を学習する時間がなく、IT技術についていく余裕がないとされています。そのようなところでは、システム開発の頻度を考えると、最新のIT技術を学習し続け技術レベルを維持することは割の合わないことであって、IT技術はすべて外部に任せるべきであると考えられてしまうのです。

 つまり、システム担当部署のメンバーにもIT技術は不要とされつつあり、システム開発の主体がシステム担当部署出身のメンバーであろうが、業務部門出身のメンバーであろうが、それはプロジェクトの成否には大して関係がないとされているのです。むしろ、業務の勘所を知っているはずの業務部門出身のメンバーがプロジェクトの主体となる方がよい、と理屈をつけられる場合があります。

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