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» 2006年04月11日 12時00分 公開

“情報洪水”時代の情報流通戦略論(4):第3世代情報マネジメント基盤に求められる5つの要件 (1/3)

企業内にあふれる情報をマネジメントするためには、それを実施するIT基盤が必要になる。今回はその5つの要件について解説する。

[吉田 健一(リアルコム株式会社),@IT]

本稿は、リアルコムが発行するPR誌「VISION」に掲載された記事「情報マネジメントがもたらす個と組織の能力向上」に加筆・修正を加えたものを、許可を得て転載したものです。


 これまで「情報マネジメント」を実現する4つの施策について説明してきたが、情報マネジメントの根幹にはそれを支えるIT基盤がある。そこで、最後に情報マネジメントを実現する第3世代の情報基盤に求められる5つの要件を説明したい(図14)。

アプリケーションのサービス化・ブロック化

 近年、IT業界をにぎわしている言葉に「Web 2.0」というキーワードがある。Googleに代表される新しいインターネット企業の興隆を示した流行語である。「なんだ、インターネットメディアの話か」と思われるかもしれないが、必ずしもそうではない。Web 2.0の本質とは、「パッケージソフトウェアではなくサービス」「サービスのモジュール化と緩やかな連携」であり、その結果として「最先端・最高峰の情報・アプリケーションが極めて安価に利用できるようになった」という変化である。

図14 情報マネジメント基盤要件(クリック >> 拡大)

 例えば、企業内において情報を探すときは誰でもGoogleを使い、本を調べるのにAmazonを使う。メールはGoogle社が提供するWebメールGmailを使っている人もいるだろう。しかし、こうした世界中のWebページを瞬時に検索する最高峰のアプリケーションも、世界最大級の書籍のデータベースも、1Gbyteのハードディスク付きのメールアプリケーションも、利用料はタダなのである。これは旧来の情報システムの発想では考えられない変化である。

 こうした変化は企業情報基盤の世界へも大きな影響を与えている。先日ある会社の事業部門の人からこういわれた。「われわれ事業部門が社内でメールを利用すると、1メールアカウントにつき毎月保守運営費として5000円を本社情報システム部に払っています。正直メールなんて何でもよいので、うちの部門は広告が出る代わりに無料のGmailに乗り換えようかと思っています」。インターネットでタダで利用できるものを、あえて社内で膨大なコストを掛けて構築・保守・運営する意味があるのかという疑問が、企業情報基盤全体に投げかけられているのである。

 もちろんすべての企業内アプリケーションがインターネットサービスに取って代わられるわけではない。しかし、少なくとも企業情報基盤の一部は今後インターネットサービスへと移り変わっていくはずである。そこで第3世代の企業内システムでは、社内外のアプリケーションが混在することを前提とし、「レゴブロック」のように個々のサービスを付け足したり、取り外したりが容易にできる環境を構築しておく必要がある。

 「ブロック化」の具体例を挙げてみよう。例えば、社内にある顧客データベースにGoogle社が提供する地図情報GoogleMapsを連携させることで、営業マンが訪問時に顧客の所在地の地図や詳細のサテライト映像を利用できる。GoogleMapsのようなWeb2.0といわれているサービスは、API(アプリケーションプログラムインターフェイス)が用意されているため、社内システムからプログラムとしてインターネット上のサービスを利用できるのだ。このようにインターネット上のサービスをデータベースとして利用し、社内アプリケーションと連携することで最新かつベストな情報を安価に活用するというパターンがある。

 また、Salesforce.comで提供されているようなASPを利用することも今後増えてくるだろう。部門個々の個別ニーズや激しい環境の変化に対応するために、いちいちアプリケーションを開発している暇はない。すぐに使えるサービスを「借りて使う」方が理にかなっている。こうしたASPサービスの利用が次々と行われ、不要になったら捨てられるというダイナミックかつフレキシブルな環境を実現する必要があるのである。

 こうした「サービス化」「ブロック化」という話は、実は新しくはない。基幹系・業務系の世界では、「オブジェクト指向」「SOA(サービス指向アーキテクチャ)」といった名前で古くからうたわれていた話である。ようやく情報系の世界にも「サービス化」「ブロック化」の流れがきたのである。

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