先週の@IT NewsInsightのアクセスランキングは第1位は、Webブラウザの新版「Internet Explorer 8」のベータ2公開についての記事「『今後はWeb標準に準拠してください』、マイクロソフト」だった。ついこの前、IE7が登場したと思ったらもうIE8だ。
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IE6からIE7にかけては5年の間隔があった。マイクロソフトは正式にIE8の公開時期を発表していないが、仮に年内に登場するとなるとIE7からIE8までの間隔は、約2年だ。IE5からIE6までも2年半の間隔だったのでペースが元に戻ったともいえる。
そうなると公開ペースを元に戻したマイクロソフトの考えが気になる。IE7とはマイクロソフトにとって“失敗作”だったのだろうか? 記事によると、IE7とIE8の最大の違いは「速度と互換性の向上」だという。速度については高速さで人気を集めている「Mozilla Firefox 3」を意識したのだろうか。
IE8はJavaScriptエンジンを高速化し、「IE6の7倍、IE7の5倍の高速化を実現」しているという。対して、Firefox 3は公開時に、IE7の9.3倍速いと説明していた。それぞれ開発元が発表した数字なので、いろいろと有利な条件が加味されていると思えるが、IE8がどこまでFirefox 3に迫れるのか興味があるところだ。
IE8の互換性向上についてはエンジニア以外は理解できない境地に達しているように思う。「IE7以前の描画モードとの下位互換性と、Web標準準拠による、ほかのWebブラウザの互換性」の2つの機能があるというが、どうしてこのような複雑なことになってしまったのか。マイクロソフトは過去の自らの所行(Web標準の軽視)に縛られて、不自由な方向に追い込まれているように思える。
しかし、IE8は広く使われるのだろう。評判がいまいちなWindows Vistaを避けて、企業はWindows XPから新版の「Windows 7」(開発名)に乗り換える。おそらくWindows 7にプリインストールされているWebブラウザはIE8だ。そして企業内の標準WebブラウザとしてIE8は広く使われるはずだ。
企業の社内アプリケーションは現在、IE6を念頭に開発されていることが多い。IE8なら、その目玉である下位互換性モードを使ってこのような社内アプリケーションも利用できる。そしてIE8は広く使われていく。WebブラウザもOSも、技術的な要素以外でシェアが上下するのが一般的だ。
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