outsourcer's view guideline
システム開発者が外部設計書などを作成する際、システム発注者にも分かりやすく書き、その設計書を発注者に適切にレビューしてもらうための工夫をまとめたドキュメント。187個の「コツ」が掲載されている。
システム開発者・技術者には「発注者やユーザーがどのような機能を望んでいるか」よりも「どのような技術を使って実装を行うか」に関心を持つ人が少なくない。こうした技術者が仕様書・設計書を書くと技術用語の羅列となり、発注者・ユーザーに理解できない文書ばかりが作られることになりがちだ。発注者ビューガイドラインは、システム発注者の視点(=発注者ビュー)で設計書や関連資料を書いたり、レビュー時に分かりやすく説明するためのコツをまとめたリファレンスである。発注者にとっては「開発者が何を書こうとしているのか」「レビューで何を確認しようとしているのか」を知る資料となる。
このガイドラインが対象とするのは、Webアプリケーションのシステム設計を前提に、『共通フレーム2007』で欠けている「外部設計」にかかわる3つの領域で、『画面編』『システム振舞い編』『データモデル編』の3編にまとめられている。それぞれに工程成果物(開発者と発注者が意思疎通するために作られるドキュメント類)を定義しており、また開発の進ちょくに応じて「仕掛期」「充実期」「完成期」の3段階に分け、各フェイズにおけるレビューの考え方と工程成果物の状態などを示している。
画面編 | システム振舞い編 | データモデル編 |
---|---|---|
-画面一覧 -画面遷移 -画面レイアウト -画面遷移・レイアウト共通ルール -入出力明細 -アクション明細 |
-システム化業務一覧 -システム化業務フロー -システム化業務説明書 -システム振舞い共通ルール |
-ER図 -エンティティ一覧 -エンティティ定義 -CRUD図 |
『発注者ビューガイドライン』各編が定義する工程成果物 |
発注者ビューガイドラインは、NTTデータの呼び掛けにより、富士通、NEC、日立製作所、構造計画研究所、東芝ソリューションが参画し、2006年4月に発足した「実践的アプローチに基づく要求仕様の発注者ビュー検討会」によって作成作業が始められた。2007年6月に日本ユニシス、OKI(沖電気工業)、TISが合流し、2008年3月に完成・公開された。この完成をもって同検討会は解散したが、翌4月からは情報処理推進機構 ソフトウェア・エンジニアリング・センター(IPA SEC)がブラッシュアップと普及に関する作業を引き継いでいる。同ガイドラインはSECのWebサイトからダウンロードして、無償で利用できる。
▼『発注者ビューガイドラインに学ぶ失敗しない外部設計――ユーザー目線の設計ノウハウを伝授』 実践的アプローチに基づく要求仕様の発注者ビュー検討会=著/日経BP社/2008年8月
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.