「バーは高めに」、ナイキのグローバル・リテール戦略「SAS Markdown Optimization」採用

» 2008年10月31日 00時00分 公開
[垣内郁栄,@IT]

 スポーツアパレルメーカー、米ナイキのGlobal Retail IT担当CIOのダン・シュル(Dan Shull)氏は10月30日、米国ラスベガスで開催中の米SAS Instituteのイベント「The Premier Business Leadership Series」で講演し、ナイキのグローバル・リテール戦略を説明した。ナイキはSASの商品価格戦略ソリューションである「SAS Markdown Optimization」を採用し、世界的な商品在庫の最適化を図っている。

 ナイキはメーカーであり、同時に小売り販売を行うリテーラー。そしてブランドでもある。世界で展開し、商品数は膨大。「かなり複雑なことになっている」とシュル氏はいう。その中で近年注力しているのはターゲティングした消費者へのダイレクトマーケティングだ。気に入ったシューズをカスタムメイドできる「NIKEiD.STUDIO」はその一例。NIKEiD.STUDIOはインターネット上でカスタムシューズを注文できる「NIKEiD」のリアル店舗ともいえ、シュル氏は「オンラインと同じようなすばらしい体験を消費者にしてもらう」と話す。

米ナイキのGlobal Retail IT担当CIOのダン・シュル氏

 ナイキが世界で展開する店舗は基本的に同じ業務プロセスを採る。ITシステムや物流システム、在庫管理システムなども標準化し、世界中で利用している。法規制など国によって異なる仕組みを除けば、共通化は可能だとして、シュル氏は「早期に問題を解決できれば、その国での業務が急加速する」と話した。もちろん、商慣習の違いなどで共通のプロセスを展開することが難しいことはあるが、ナイキはその共通プロセスこそが競争力になっているとの認識だ。「われわれはプロセスを共通化できないということは、認めない。バーは高めにセットすべきだ」(シュル氏)

 プロセス共通化で大きな役割を果たすのはITシステムだ。業務システムの構築は、プロセスを標準化し、メリットを早期に得るため、カスタマイズは行わない。要件の変更はできるだけ早期に行って手戻りを防ぐ。同時に世界展開することを前提に、物流やタイムゾーンを考慮に入れて開発する。パートナーとの結び付きも強力で、SAS Markdown Optimizationの導入ではSASのスタッフがプロジェクトの最初から関わり、6カ月でカットオーバーした。シュル氏は「われわれにとってビジネスバリューが何かを考え、ITシステムのコストとメリットを比較する必要がある。ナイキにってはプロセスが第一だ」と話した。

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