「幸せな社員が顧客を幸せにする」。米SAS InstituteのCEO ジム・グッドナイト(Jim Goodnight)氏はこの考えを基に働きやすい環境の整備を30年来進めてきた。1976年の創業以来、増収増益を続け、非公開のソフトウェアベンダでは最大手だ。グーグルも参考にしたという米国ノースカロライナ州キャリーの本社キャンパス(Google マップへのリンク)には社員を幸せにする設備がたくさんそろっていた。
SASがキャリーで本社の整備を始めたのは1978年。グッドナイト氏が土地を取得、山を切り開いてオフィスを建てていった。現在は421エーカー(1.7平方キロ)の土地に、24のビルが建つ。
SASキャンパスで目立つのは福利厚生施設の充実だ。託児所は2個所あり、社員と社員の家族が利用できる。病院やプライベートスクール、ワークライフバランスの相談センター、それにサッカー場やプール、フィットネスジム、バスケットボールが可能な体育館などが用意されている。それぞれのオフィスビルは緑地に囲まれていて、クルマでの移動が必須。病院や学校、スポーツ施設を回っているとキャンパスが1つの街として機能していることが分かる。
これらの福利厚生施設でトレーナーとして働くのはSASの社員。一般的な企業なら外部企業に運営を任せるところをSASは社員が運営している。「ゲートセキュリティ担当以外はSAS社員」といい、開発担当者以外も手厚く扱っている。
SASはプライベート企業のため、ストップオプションはない。しかし、FORTUNE誌の調査によると、ソフトウェアエンジニアへの年間の給与支払い額の平均は10万ドルを超える。同誌の調査では米国で24番目の高給だ。福利厚生と高給、働きやすい環境を反映してか年間の離職率は業界標準の20%を大きく下回る4%だ。
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