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» 2009年01月13日 00時00分 公開

ブリッジSEが不況を生き抜く[Analysis]

[大津心,@IT]

 2008年に起きたリーマンショック以降、景気に関して良いニュースを聞かなくなった。予想以上の円高の影響で、超大手製造業の一部も赤字に転落している。100年に一度の世界同時不況で先がまったく見えない、という専門家もいる。人材面でも、非正規雇用労働者を中心に苦しい状況が連日報道されている。この状況はIT業界も同様であり、大手メーカーやベンダなどで早期退職者を募っている企業もある。そのような状況下において、エンジニアやプログラマはどう生き抜けばよいのだろうか。

 このような経済情勢下において、比較的堅調に需要があるのがオフショア開発だ。経済状況の後押しもあって、開発コストの削減プレッシャーは増す一方だ。そんな中、中国を中心に、インドやベトナムなどで開発する企業が増えている。最近では、中国やインドのSIerが日本へ進出し、価格や品質を武器に営業展開しているケースも多い。ただし、オフショア開発では、海外のプログラマやエンジニアを利用するため、言葉の壁も手伝って、コミュニケーション不足に陥りがちだ。コミュニケーション不足が原因となって、「仕様をきちんと伝えられない→手直し」といったすれ違いも発生する。

 そこで、必要となってくるのが“ブリッジSE”という存在だ。ブリッジSEは、オフショア開発現場でプロジェクトマネージャ的な存在となり、その名のごとく日本側とオフショア開発側の橋渡しをする調整役だ。その役割的に海外赴任が中心となるため、語学力やコミュニケーション能力、マネジメント能力の成長が見込める。例えば、インドのオフショア開発先へ赴任した場合であれば、英語での開発環境を経験できるほか、米国や英国の企業がインドオフショア開発市場で先行して行っていることから、世界標準も体験することができる。このような経験は、エンジニアのキャリアに必ずプラスになるだろう。

 ただし、ブリッジSEを育てるのは簡単ではない。日本人グループのプロジェクトマネージャを育てるのも大変なのに、異なった言語や文化を持つ相手をまとめなくてはならないからだ。また、オフショア開発の場合、“異文化の壁”があるために、短期間で効果を出すのは難しい。従って、数カ月〜数年間という“長い目”で経営陣も見守る必要がある。短期間で結果を出すことが求められる現在のビジネス現場では、このような長期的視野に立つ余裕のある会社や、理解のある経営者がいる会社でなければ、ブリッジSEをきちんと育てるのは難しい。

 このように、ブリッジSEが経験を積むまでには、いくつかの大きな壁が存在する。それを越えられず、「ブリッジSEなど2度とやるものか!」というエンジニアもいるだろう。ただし、今後10年間のスパンで考えた場合、オフショア開発の需要が低下するとは考えにくい。また、特に日本企業においては、優秀なブリッジSE不足がかなり深刻な問題となっており、門は開かれているといってよいだろう。海外に興味のあるエンジニアやプログラマの皆さん、一度ブリッジSEというキャリアも考えてみてはどうだろうか。

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