米アクセンチュアは3月31日、国際会計基準(国際財務報告基準、IFRS)に準じた財務報告の提出が2014年にも義務化される米国企業を対象にした調査結果を公開した。米国会計基準からIFRSへの移行では、収益規模の小さい企業ほど収益に占める移行コストの割合が高くなる傾向が分かった。
調査に答えたのは売上高が10億ドル以上の米国上場企業のCEOと経営幹部の208人。IFRS移行に関するコストは収益規模によって異なり、収益が10億〜49億ドルの企業では、平均して収益の0.731%に当たる2320万ドルが必要を回答している。
対して、収益規模が500億ドル以上の超大手企業の平均は収益の0.103%となっていて、収益10億〜49億ドルの企業よりも負担の割合は低い。収益規模が500億ドル以上の企業の43%は移行コストを2500万ドル以下と予測している。ただ、回答者の30%以上は1億ドル以上の投資が必要としていて、超大手企業でも一様ではない。また、欧州企業では移行にかかるコストの平均は収益の0.05%という調査結果がある。アクセンチュアは「米国会計基準からIFRSへの移行が欧州の場合よりも大幅に複雑で費用のかかるものになる可能性がある」と指摘している。
調査結果によると米国企業のCEOや幹部は、IFRS移行を費用がかかると認識する一方で、「業績管理を中心に財務機能の大幅な改善を図るチャンス」ととらえている。回答者の83%はこう回答し、同時に「計画立案・予算編成・予測、管理報告とその指標、法定報告書の作成に関わるテクノロジやプロセス改善、実務担当者の訓練に投資を行う用意がある」と答えている。
また、IFRS移行の投資対効果を最大化する方法では、43%が業績管理機能に投資し、「経営目標の達成に向けての業務改善に活用する」と回答した。IFRS移行によるメリットでは、「一貫性を欠く財務報告のリスクを低減できる」が最多で42%、次いで「コンプライアンスの徹底」(40%)、「海外事業との一貫性の確保」(40%)、「財務報告および透明性の改善」(38%)などが挙がった。
一方で、IFRS導入によって処理が煩雑になる分野としては「M&A」(58%)、「ERPの導入・統合・アップグレード」(50%)、「シェアードサービス機能の導入や強化」(49%)などで、IFRS導入に取り組む日本企業もこれらの課題を解決する必要があるだろう。また、「IFRS移行のカギ」としては「情報技術力」(57%)、「人材」(49%)、「意識改革」(31%)が挙げられた。
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