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» 2009年05月18日 00時00分 公開

情報システム用語事典:リターンマップ(りたーんまっぷ)

return map / 新製品プロジェクト業績評価図

[@IT情報マネジメント編集部,@IT]

 新製品開発プロジェクトの業績や効率性を、投資・売上・利益の累計金額と、調査・開発・製造にかかる時間との関係から総合評価する手法である。ここで利用されるグラフも「リターンマップ」と呼ばれる。米国ヒューレット・パッカードが創案した。

 リターンマップは、製品の企画・調査から開発(R&D)、製造・販売(マーケティング)を経て市場に導入され、収益を挙げるまでの「投資」「売上」「利益」に「要した時間」の要素を加えてグラフに表すことで、これにかかわるチームメンバーの貢献度を総合的に評価する。

 この評価手法を用いることで、新製品開発プロジェクトに参加するメンバーに共通の尺度ができ、メンバー各々の行動が共同作業全体にどのような影響を及ぼすかを把握できるようになる。その結果、チームの視点は「何をすべきか」にシフトし、チームの中に自己規律が生まれるという。

 リターンマップは縦横2軸の推移グラフで、基本的には横軸(X軸)に時間を、縦軸(Y軸)に金額を置く。Y軸には投資・売上・利益を同時にマッピングするが、売上と利益の比は100対1よりも大きくなることが多いため、対数目盛にすることが推奨されている。また、Y軸の金額は累計値である。経過時間を表すX軸は、調査・開発・製造販売の3フェイズに区分される。

リターンマップのイメージ リターンマップのイメージ

 リターンマップのグラフは、新製品の調査・開発・製造販売に時間をどれだけかけると、投資・売上・利益の金額がどのように変化するのかを示すツールである。リターンマップ上に、これらのデータをマッピングすると「BET」「TM」「BEAR」「RF」といった評価指標が得られる。これらの指標は、経営陣による実績評価、各部門・メンバーによる進行確認、最終的な製品の成功度の評価する際の判断材料として使用できる。

 プロジェクト初期段階でリターンマップを作成しようとすると、売上や製造に関する予測が必要であり、必然的に部門間連携が行われる。なお、この予測は無駄な時間を削減するためのものであり、予測が不正確だからといって担当者の責任を問うようなことがあると、各部門は予測値に無駄な時間を織り込むようになり、逆効果である。

 プロジェクトが進ちょくするにつれて実績や新たな予測を取り込み、リターンマップを更新して、必要に応じて目標や計画を変更する。例えば、新製品の仕様変更によって売上と利益がどのような影響を受け、同時に製品開発や製造工程にどのくらいの遅れが生じ、それがさらに売上と利益に響くかという検討である。

 リターンマップは個別の製品だけではなく、多世代にわたる製品ファミリー ――すなわち、数世代を経過して市場における地位を確立する前提のプロジェクトの計画・評価にも有効である。

参考文献

▼『いかに「時間」を戦略的に使うか』 ハイケ・ブルッフ、スマントラ・ゴシャール、スティブン・バーグラス、テレサ・M・アマビール、コンスタンス・N・ハドリー、スティーブン・J・クレイマー、チャールズ・H・ハウス、レイモンド・L・プライス、ロバート・S・キャプラン、スティーブン・R・アンダーソン、ショージ・ストーク・ジュニア、アラン・M・ウェバー=著/Diamondハーバード・ビジネス・レビュー編集部=編訳/ダイヤモンド社/2005年10月(『Harvard Business Review Antology, Time Management』の邦訳)


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