IBM、同社初となるビジネスルール管理新製品パートナーを拡充させてSOAビジネスも加速させたい

» 2009年05月19日 00時00分 公開
[大津心,@IT]

 日本IBMは5月19日、報道関係者向けの説明会を開催し、ビジネスルール管理ソフトウェアの新製品「IBM WebSphere ILOG JRules V7.0」(ILOG JRules V7.0)や同社のSOAへの取り組みなどを、同社 専務執行役員 ソフトウェア事業担当 三浦浩氏が説明した。

三浦氏写真 日本IBM 専務執行役員 ソフトウェア事業担当 三浦浩氏

 三浦氏は冒頭、東京で開催したSOA/WebSphere関連イベント「IMPACT 2009 JAPAN SOA CONFERENCE」について触れ、「米国でのIMPACTでは5300名が参加し、日本でも2000名を超える申し込みがあるなど、SOAへの関心はかなり高まってきている。また、SOAの導入事例も金融機関などを中心に出てきており、当社もいくつかの事例を踏まえて自信を深めている。今後は“Smart Work”を標語にさらにSOAに取り組んでいきたい」とコメントした。

 三浦氏はまた、ビジネスを行っていくうえでポイントとなる点として、「人と人とのかかわり合いがある」「さまざまな場面で判断しないといけない」の2点を挙げた。特に後者に関しては、「私のように30年以上のキャリアのある人間であれば、自分の経験や勘に基づいて判断することもある。しかし、若手社員などには一定のルールを提供し、そのルールに基づいた判断をしてもらうことが必要だ。そのための臨機応変に対応できるビジネスプロセスルールを作っていく必要がある」と説明。この考えに基づいて、IBMでは新製品「ILOG JRules V7.0」と「BPM BlueWorks」を提供していくという。

 新製品の「ILOG JRules V7.0」は、IBMが2008年7月に買収を発表した仏アイログの製品とIBM製品との連携を実現した初めての製品。IBMとしては初めてのビジネスルール管理製品でもあるという。業務上のルールをプログラムから抜き出して集約し、独立したシステムとして管理できる点が特徴だ。これにより、業務に変更があった場合でも当該するルールを変えるだけでシステムに反映させることができる。また、ルール管理はプログラミング言語ではなく、通常業務で使っている普通のビジネス用語で記述することができるので、ITが分からないエンドユーザーでも容易に設定・変更ができるという。

 ILOG JRules V7.0では、WebSphere BPM最新バージョンとの連携を可能にしているほか、テストや監査、シミュレーションなどビジネスユーザー向けの機能を強化。Java、.NET、COBOL環境において共通の管理環境とリポジトリを提供する。また、Rule Solution for OfficeによってWordやExcelなどのユーザーがよく使う製品を通じてビジネスルールの生成や編集が可能になった。三浦氏は同製品について「ビジネスルールは、ビジネスの分かる人間が作らなくてはならないが、いままではハードルが高かった。今回の製品はITが分からない人間でも簡単にルール作りや変更ができるようになっているので、かなり有効活用してもらえるはずだ。ILOG製品を統合したことで、IBMのBPMソリューションはかなり拡充された」と説明した。

 また、IBMではインターネット上でモデリングしてビジネス戦略を構築できるビジネスコミュニティサイト「BPM BlueWorks」を、2009年6月に提供開始すると発表した。BPM BlueWorksはインターネット上のコミュニティサイトで、同サイト上でビジネスプロセスをモデリングすると、専門家などの意見がもらえるというもの。すべて無料で利用できるという。「BPMのテンプレートを提供するほか、ユーザー同士やプロとコラボレーションすることでビジネスプロセスを磨いていってほしい。BPMへの入り口としたい」(三浦氏)と語り、趣旨を説明した。

 IBMではSOAの普及を加速させるために、Amazon EC2上で同社のミドルウェアである「WebSphere sMash」や「DB2」「Informix Dynamic Server」「WebSphere Portal Server & IBM Lotus Web Content Management Standard Edition」などを提供。例えば、WebSphere sMashの場合、1時間当たり50セントから利用可能だという。また、SOAをサポートするアプライアンスサーバとして「WebSphere DataPower」と「WebSphere CloudBurst」を提供するとした。

 三浦氏は、「当社は引き続きSOAを推進していく。SOA推進のためのパートナーコミュニティも設立した。SOA導入事例は、詳細は語れないがワールドワイドで8002件、日本でも1000件を超えている。日本では金融企業が中心だが、今後もSOAは着実に浸透していくだろう」とコメントした。

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