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» 2009年09月07日 12時00分 公開

特集:実用フェイズに入った仮想化(2):“仮想化”ではアセスメントと動作検証が大切 (1/2)

市場には多数の仮想化製品が存在しているがそれらはどのように使われているのだろうか? 複数の仮想化ソフトウェア製品で取り扱っている日商エレクトロニクス エンタープライズ事業本部の小島隆秀氏、藤井香織氏、真木吉人氏に話を聞いた。

[@IT情報マネジメント編集部,@IT]

併用される仮想化ソフトウェア

――仮想化市場の状況をどのようにご覧になりますか?

小島氏 おそらくが昨年=2008年が仮想化ソフトウェアが群雄割拠していた戦国時代だったのだと思います。今年に入ってからの世界同時不況の影響もあるのかもしれませんが、ベンダ同士の買収・合併などで製品が集約されてきていますね。

藤井氏 案件的には去年・今年ぐらいから本格導入のフェイズに入ってきたと感じます。社内基盤として仮想環境を標準にしているというお客さま、数百台の仮想サーバを実際に動かしているお客さまもいらっしゃいます。

真木氏 用途としては、情報システム部門が社内で使うインフラとしての導入が広がっています。サーバ統合によるコスト削減が注目されていますが、クラスタシステムの代替としてHAや冗長化に適用するお客さまも多いですね。従来のクラスタ製品よりも安くなるというわけです。

藤井氏 既存システムの延命は古くからあるニーズですね。このために仮想化を導入したお客さまはすでに何年かの経験を持っていますから、これまでに蓄積したノウハウを活用して全社展開しようというところもあります。

真木氏 あとは開発環境や検証環境としての利用があります。それがデータセンターやホスティング事業者さまの場合、その延長上にクラウドサービスの提供があると思います。現在、プライベートクラウドやパブリッククラウドへの展開を検討されるお客さまが増えているように思います。

――御社はマルチプロダクトということで、複数の仮想化ソフトウェア製品を取り使われていらっしゃいますね。どの仮想化ソフトの引き合いが多いですか?

ALT エンタープライズ事業本部 テクノロジソリューション統括部 第一グループ 小島隆秀氏

小島氏 販売数量でいくとヴイエムウェア製品が多いですね。実績からVMWareを第1候補に挙げられる場合は多いのですが、同時に別の選択肢を考えているお客さまも少なくありません。

真木氏 例えば本番環境はヴイエムウェア製品、ほかの部分はマイクロソフト製品、あるいシトリックス、オラクル……というように使い分けを考えているお客さまが増えていますね。

藤井氏 かつては選択肢があまりない状況でしたが、昨年から今年になって各ベンダの製品ともに機能が向上してきています。仮想化導入では製品選定が大切なポイントの1つになってきたと思います。

――製品選定を行う際のポイントは?

小島氏 実際に動かして触ってみることです。特に自社でいま動いているアプリケーションを仮想環境に移す場合、動かなかったりパフォーマンスが出なかったりということが考えられるので、計画している機器構成に仮想環境を実際に作って、操作性や管理性も含めて体感されることがお勧めです。弊社では「仮想化マルチベンダソリューションセンター」という場所を立ち上げております。ここに最新機種の上で代表的な仮想化ソフトウェアを常時、動かしておりますので、こちらで具体的な検証ができます。

ITリソースの把握は大前提

――仮想化は、どのような方法で進めていくのがよいのでしょうか?

小島氏 弊社では「アセスメント」「仮説・検証」「インプリメント」「サポート」の4つのプロセスで考えています。最初のアセスメントは、お客さまのIT資産の現状を踏まえ、どのようにサーバ集約をしたらコスト削減につながるのかなどを考えてサイジングを行います。

 仮説・検証は、先ほどの仮想化マルチベンダソリューションセンターにアプリケーションや検証データをお持ち込みいただいて、実際にお試しいただけます。

 インプリメントは、仮想環境にOSやアプリケーションを“インストール”する方法のほかに、既存の実行環境をそのまま仮想環境に移す「PtoV」が含まれます。サポートは、システムに仮想化レイヤが増えた分、障害発生時に問題の切り分けが難しくなる場合がありますので、それを解決するワンストップサポートという位置付けです。

――アセスメントはどのように行うのでしょうか?

小島氏 最初から“×台の物理サーバを仮想化する”というように要件が固まっていれば、対象となるハードウェアだけを分析すればよいのですが、全社で何台のサーバがあるのか分からないので調べてほしいという場合もあります。そのときはその会社のプライベートネットワークにつながっているサーバからインベントリデータを収集して、スペックや使用状況などから仮想化に向いているか否かを分析していきます。アセスメントの目的はサイジングですが、暗黙のうちに棚卸しが入っているんですね。

藤井氏 中規模以上の会社では全国に支店や工場があって、本社の情報システム部門以外でもサーバを調達したりするので、情報システム部門が会社のサーバ台数をすべて把握するのは難しいようです。ですが、自社にITリソースがどれだけあり、現状どれだけ使われているのかを把握できないと、仮想化によるリソース最適化のメリットを享受できないので、IT資産/ITリソースの把握はとても大事だと思いますね。

技術の進化で“使えるようになる”ことも

――アプリケーションの動作検証ができるということですが、仮想環境に移行したときに動かなくなるケースは多いのでしょうか?

ALT エンタープライズ事業本部 マーケティング統括部 プロダクトマーケティンググループ 藤井香織氏

小島氏 動かない、使えないという現象はさまざまです。アプリケーションやデータベースそのものの作りに起因する場合もありますが、サーバや仮想化ソフトウェアの性能、ストレージとの組み合わせなどが理由になることがあります。

藤井氏 パフォーマンスが出ないというケースだと、仮想化ソフトウェアやストレージの機能が上がることによって、去年は使いものにならなかったけれど、1年後には使える技術になっているということもあります。一般に「データベースは仮想化に向いていない」といわれていますが、最近の当社での検証では物理環境と大差のないパフォーマンスが得られたという結果もあります。

小島氏 メモリのコピーが遅いという課題がどの仮想ソフトにもありましたが、インテルの“Nehalem”チップと、最新の仮想化ソフトの組み合わせでは圧倒的に速くなっており、場合によっては物理サーバ上にOSを載せた場合よりも仮想環境の方が速くアプリケーションが動きます。

藤井氏 当然ながら古いハードウェアよりも新しいハードウェアの仮想環境上で動かした方がパフォーマンスがいいですし、ストレージも各ベンダが仮想化環境に最適な製品を次々と出していますので、時期によってパフォーマンスの出る出ないはかなり違った結果がでます。ですから最新のハードウェア、最新のソフトウェアで検証することは重要ですね。

――インプリメンテーションでは、どのようなニーズが多いですか?

藤井氏 PtoV(P2V)の引き合いが多いです。古いシステムだと、もうOSのメディアが存在しなかったり、最初にコンフィギュレーションした人間が退職していて設定が誰もが分からなかったりなどのケースがあります。それでも何とかそのシステムを延命したいというような場合、PtoVツールを使ってアプリケーションが動いている環境をそのまま移植するわけです。PtoVツールには、人的ミスを減らし、短時間で移行を可能にするというメリットもあります。

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