富士通、腰に着けるだけでスイング解析できるケータイ開発しのぶや桃子もこれを使って優勝狙う〜江連氏

» 2009年09月28日 00時00分 公開
[大津心,@IT]

 富士通は9月28日、携帯電話を身に付けた人の動きを正確に測定できるセンシング技術を、法政大学教授の渡邊嘉二郎氏と共同で開発したと発表した。この技術を活用したサービスの第一弾として、携帯電話を身に付けるだけでゴルフのスイングチェックができるiアプリ「ETGAスウィングレッスン」を開発した。

 富士通は従来から携帯電話にセンサーを搭載して活用する取り組みに注力しており、2003年9月発売のらくらくホンIIIでは、加速度センサーを応用した歩数計を搭載している。今回はこの加速度センサーに加え、新たにジャイロセンサーを搭載。この2種類のセンサーが計測した動きを「3Dモーションセンシングエンジン」で分析して評価する。このセンサーや3Dモーションセンシングエンジンを搭載した携帯電話は、「なるべく早い段階で発売したい。iアプリ『ETGAスウィングレッスン』はこのセンサー搭載の携帯電話に標準で搭載し、無料で利用できるようにする予定だ」(富士通 モバイルフォン事業本部長 大谷信雄氏)とコメントした。

江連氏写真 実際にスイングをしてみせる江連忠プロ(左、スイング結果はこのようにスイングの段階ごとに測定される。赤い部分は問題があった場所だ(右

 3Dモーションセンシングエンジンは、富士通とセンシング・コントロール・ラボの代表取締役社長であり、法政大学教授でもある渡邊嘉二郎氏が共同で開発した。2種類のセンサーで計測したデータを16個のスイングチェックポイントに対して評価を行う。スイング評価は、今期6勝している諸見里しのぶプロや上田桃子プロを育てた江連忠プロが行っている。

 今回、富士通が開発したiアプリ「ETGAスウィングレッスン」では、センサーを搭載した携帯電話を専用のケースを使ってベルトの後ろ部分に装着。装着した状態でスイングをすると、センサーが腰の動きを分析し、江連理論に基づいた評価がスイングにおける「アドレス」「トップ」「ダウンスイング」「フィニッシュ」などの部分部分でなされる。

 例えば、トップで腰が右に流れ(スウェー)し、インパクトで起き上がるスイングをした場合、「トップで右に移動している」「インパクトで前傾角度が維持できていない」などと指摘され、その状況に応じて、江連氏のアドバイスや修正するためのドリルなどが紹介される仕組み。スイングデータは携帯電話内に数百回分保存できるほか、ゴルフダイジェスト・オンラインと連携し、Webサイト上にデータをアップできるサービスも検討中だとした。保存した“過去のベストショット”との比較や、スイングの傾向などをグラフ化して表示することもできる。

江連氏写真 赤く囲った部分に専用のケースに入れて使用する(左、スイング結果で悪かった部分はこのように指摘される。さらに修正方法などのアドバイスを江連氏から受けることができる(右

 3Dモーションセンシングエンジンを共同開発した渡邊教授は、「機械に取り付けるセンサーと異なり、人間が身に付ける場合には取り付ける場所や身体的特徴などが微妙に異なるため、その誤差を考えるのに苦労した。また、最初は頭や腕などに取り付けることも考えたが、ゴルフスイングで一番重要な腰の部分に取り付けることになった。センサーでは絶対角度や絶対速度ではなく、相対角度や相対速度を測定することがポイントだった。この装置を単体で業務用に販売したら30万円はするだろう。それを携帯電話に搭載してしまうのはすごい。ぜひ、私も購入して100前後のスコアを90切り、80切りを目指したい」と開発秘話を説明した。

 また、江連氏は「腰はゴルフで非常に重要な部分。腰が引けてる、腰が逃げてる、腰が砕けてる、これらはスイングにとってすべてマイナスだ。アドレスで腰が入って、フィニッシュできっちりと腰が決まっていないといけない。上田桃子は入門時、フォローで左腰が逃げていた。また、諸見里しのぶはインパクトで腰が浮いていた。彼女たちは遠征時、携帯電話の動画でスイングチェックを依頼してくるが、やはり画面が小さくて厳しい。これはプロでも十分使える精度なので、彼女たちのスイングチェックのためにぜひ利用して、優勝させたい」とコメントした。

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