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» 2009年11月02日 12時00分 公開

特別企画:ROI最大化を実現するCPM きめ細かな管理・統制が、ROI最大化の秘けつ(2/3 ページ)

[内野宏信,@IT]

ITが、トップと現場の“日常的な意見のすり合わせ”を可能に

 そしていま、こうしたCPMを、ITシステムの進化がいっそう実現しやすいものにしているという。笹氏は「そもそも組織が巨大化、複雑化しているいま、経営層と現場層の意見交換、意思統一を図ること自体、ITの力がなければ実現できない」と話す。

 具体的なシステム構成は、各拠点から業績見通しなどのデータを収集・蓄積するためのデータベースを用意し、ERPの財務データなど既存システムのデータも併せて、BIなどで総合的に分析・管理するといったアプローチとなる。ただ、現在はCPMの実践を狙った製品を複数のベンダがリリースしており、「より取り組みやすい環境が整いつつある」という。

図1 CPM実践のうえでは、現場層から実績や業績見通しのデータを収集・蓄積するデータベースを用意し、それをBIなどで分析するといった構成が基本形となる。日本インフォアのCPM製品群「Infor PM 10」の場合は「戦略管理」「予算計画」「予算編成」「連結管理」「分析・レポーティング」という5つのモジュールでデータを分析する

 日本インフォアのCPM製品群「Infor PM 10」もその1つだ。核となる「Infor PM 10 BPA」は、「戦略管理」「予算計画」「予算編成」「連結管理」「分析・レポーティング」という5つのモジュールを持ち、これらを連携させることで、CPMのPDCAサイクルをスピーディに運用できる仕組みとしている。

 具体的には、まず全社目標やあらかじめ定めたKPIなどを「戦略管理」に設定して、「全社戦略から各施策を遂行する各人員までの因果関係」を可視化する。そのうえで、経営層は「予算計画」を使って、過去実績などのデータを基に事業計画をシミュレーションし、各現場層に向けてブレークダウンした戦略・目標予算をミッションとして通知する。一方、現場層は「予算編成」を使って、通知された目標予算を基に、現実的な目標予算を入力・申請する。そのデータを経営企画部などが本社データベースで一元管理し、レポートに加工して経営層にフィードバックする、といった流れとなる。

図2 立案した目標予算を現場層に通知し、その返答を受けて考えをすり合わせ、現実的な目標予算を立て、実行する。そして、その実績値を基に再び目標予算を立て……といったCPMのPDCAサイクルを、ITシステムの処理能力をテコに、短いスパンでスピーディに繰り返す

 「つまり、経営層がシミュレーションして導き出した数値に対し、現場層が現実的な回答をする仕組みだ。仮に吸い上げた目標予算の合計が全社の目標予算に達しなければ、予算配分を考え直す必要がある。経営層はあらためてシミュレーションし、販売実績が好調な拠点に多めの目標予算を配分し直すなどして、各現場に再通知する。こうして全社的な目標予算と現場の目標予算合計を一致させる方向で意思統一を図る。CPMのポイントである“トップダウンとボトムアップのすり合わせ”をスムーズ、スピーディに行えるというわけだ」(笹氏)

細かなメッシュで管理することが、CPMのキモ

 もちろん、こうした取り組み自体は従来から行っている企業も多い。ただ、Microsoft Excelを使ってデータを入力させ、メールで収集するというケースが一般的なほか、グローバル企業となれば通貨換算の問題もある。すなわち、データ収集に手間が掛かり確実性に欠けるほか、情報漏えいというコンプライアンス上のリスクも絡んでくるわけだ。

 「“テクノロジの進展”はこうした部分に効いてくる。弊社製品の場合、Webシステムとして提供するため、 基本的にすべてWeb上でデータのやり取りを行う。この点で、送信ミスなどが起こりがちなメールより情報漏えいのリスクが少ない。通貨も為替レートに応じて円をはじめ任意の単位に自動的に換算できる。また『連結管理』を使えば全世界、全国に点在するグループ拠点の実績、財務データを集計して一元管理することもできる。すなわち、全組織のデータを“週次で”収集・集計するなど、CPMのポイントである“データ収集・分析のスピード・確実性”を、ITが大きくサポートしてくれる」(笹氏)

 また、特徴的なのは「PDCAサイクルの短いスパンでの確実な運用」を狙い、これらのモジュールを同一のプラットフォーム上で稼働させ、各機能を連携させていることだろう。

 例えば、最後の「分析・レポーティング」はスコアカード、円グラフなど、視覚的にデータを分析・表示する機能だが、「戦略管理」と連携して「全社戦略から、各業務を行う人員までの因果関係」をマップとして視覚的に表示するとともに、各管理単位のKPI達成度を「青・黄・赤」で表すことができる。マップに基づいて、現在の実績とKPI達成度を“各人員”レベルにまでドリルダウンして表示することも可能だ。

 「つまり戦略遂行のボトルネックを個人レベルにまで掘り下げて調べることができる。CPMとは業績を常に監視し、より早い段階で、異常や問題を発見、対策を講じる手法。 こうした機能を備えているのも、時間、組織の両面で“細かなメッシュで管理すること”がCPMという手法のポイントとなるからだ」(笹氏)

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