日立システム、Junos SDKパートナープログラムに参加SRXシリーズのSDKを利用した受託開発を開始

» 2010年02月10日 00時00分 公開
[大津心,@IT]

 日立システムアンドサービス(以下、日立システム)は2月10日、ジュニパーネットワークスの「Junos SDKパートナー・プログラム」に参加し、同社のファイアウォール製品である「SRXシリーズ」向けのアプリケーションを開発し、独自サービスを提供すると発表した。SRXシリーズ向けSDKパートナーへの参加は世界初。

 日立システムは1998年から、SRXシリーズの前身であるNetScreenシリーズの販売を開始し、2008年までに累計10万台を販売してきた。一方、ジュニパーは2007年12月よりパートナー向けのアプリケーション開発プラットフォーム「Partner Solution Development Platform(PSDP)」の中で、SDKの提供を開始。現在、40社(うち日本企業は8社)がパートナー契約を締結しているという。SDKパートナーには、キャリアの研究所やSIer、メーカー、ソフトウェアベンダなどさまざまな業種が参加しているという。

野村氏写真 日立システムアンドサービス プラットフォームソリューション本部 サービスビジネス部 兼 ネットワークプロダクト部 部長 野村雅光氏

 Junos SDKでは、ルーティングエンジン内で実行するデーモン開発用の「RE-SDK」と、MultiServices PIC/DPCで実行するデーモン開発用「Service-SDK」の2種類を用意。RE-SDKはルーティングエンジン用のSDKで「コントロール系制御を拡張するもの。ルーティングテーブルを自由に変えることができるので、運用ポリシーに基づいて動的に変更することなどが可能になる」(ジュニパーネットワークス R&Dサポートディレクター 杉山秀次氏)という。

 Service-SDKの特徴は、MultiServices PIC/DPCに搭載されているCPUコアを、目的別にそれぞれ割り当てることができる点だ。「MultiServices PIC/DPCには2種類のコアが複数個搭載されており、SDKを用いることで『コントロール系』と『データ系』にそれぞれコアを割り当てることができる。データ転送を重視するのであれば、データ系により多くのコアを割り当てるなど、柔軟な構成が可能だ」(杉山氏)とした。

 日立システムは今回、この「RE-SDK」を用いて「SRXシリーズ」向けの開発を行う。日立システムアンドサービス プラットフォームソリューション本部 サービスビジネス部 兼 ネットワークプロダクト部 部長 野村雅光氏は、パートナー提携した背景について「以前からSRXシリーズを販売してきたため、ジュニパーとは技術的なディスカッションを綿密に行ってきた。また、数年前からジュニパー製品を管理するためのトラブルシューティングツールを独自開発していた。ところが、開発を進めるうちにジュニパー側に対応してもらいたい点が出てきたので、その話をジュニパーにしたところ、SDKの存在を知った。そして、SDKを用いればより詳細な情報などを取得できることから、今回のパートナー契約締結につながった」と説明した。

 日立システムでは、現在のところまだSDKを使った開発案件はないが、「基本的には顧客の声を実現するために、ニーズに沿った受託開発でさまざまなアプリケーションを開発していきたい。一例としてトラブルシューティングツールや、ネットワークの冗長化アプリケーションなどを想定している」(野村氏)。また、今後の方針については「今後クラウドコンピューティングが浸透すると、社内外のデータ通信が増え、それに伴いファイアウォールを通過するデータ量が増し、その役割も増えるだろう。また、クラウド環境では、ユーザーごとにニーズが細かく異なり、そのニーズに合ったツールなどの提供は大きな差別化ポイントになり得る。今回のSDK採用によって、クラウド時代に必要な提案力を手に入れた。これを機にSRXシリーズを拡販したい」と意気込みを語った。

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