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» 2010年04月14日 00時00分 公開

プライベートクラウドを実現する、5つの運用管理製品を発表:富士通、「クラウド製品の決め手は機能と“SI力”」

[内野宏信,@IT]

 富士通は4月14日、プライベートクラウドの構築を実現する5製品を発表した。SIサービスとともに提供することで、業務要件の確認、ITインフラの現状把握から着手し、仮想化、標準化、自動化というプライベートクラウド実現に向けた段階的な取り組みを総合的に支援するという。

仮想化技術をコアに、運用の標準化、自動化を実現 

 ユーザー部門からの要望に応じて個別にシステムを開発する“部分最適”のスタイルを続けてきた結果、システムのサイロ化やそれに伴うITリソース、コストの無駄に悩む企業は多い。これを受けて、富士通ではサーバ統合によるコスト削減、グループ子会社も含めた全社単位でのITインフラの標準化とガバナンスの徹底、定型作業の自動化による効率化などに焦点を当て、5製品の発表に踏み切ったという。

写真 プライベートクラウドの実現をソフトウェア、ハードウェア、インテグレーションサービスで総合的に支援

  発表したのは、開発環境や業務システムをサービスとしてカタログ化するソフトウェア「Systemwalker Service Catalog Manager V14g」、業務システムごとのOS、ミドルウェア、アプリケーションの組み合わせをユーザーの要求に応じて自動配備する「Systemwalker Software Configration Manager V14g」、運用手順書に沿って定型業務を自動化する「Systemwalker Runbook Automation V14g」、サーバ、ストレージ、ネットワークを一元管理し仮想環境を迅速に配備する「ServerView Resource Orchestrator V2.2」、そしてパブリック/プライベートクラウドと既存の基幹システム間のデータ連携を、SOAを使うことでプログラミングなしで行える「Interstage Information Integrator V10.1」の5つだ。

写真 これらの製品群で、仮想化技術を核にシステムの集約、標準化を支援するとともに、ITILに基づいた運用を可能にする。「Interstage Information Integrator V10.1」は7月末、それ以外は6月末から出荷する

 なお、これらはVMware、Hyper-V、Xenに対応している。同社 執行役員常務の山中明氏は次のように解説する。

 「今回、プライベートクラウドという言葉は『ユーザー企業のシステムの最適化』という意味で使っている。コスト削減や標準化に対するニーズが高まっている中、弊社の強みであるSIサービスと製品の両方を提供し、仮想化によるハードウェアの集約・統合、システムインフラ/アプリケーション/運用方法の標準化、少ない人員での運用を可能にするほか、人的ミスの防止、ガバナンスの徹底にも寄与する自動化――以上、3つのステップでユーザー企業のプライベートクラウド実現を支援していく」

業務への配慮と、SIerとしての技術力が強み

 ただ、これらの5製品にはライバルも多い。特に、仮想化をコア技術としたクラウドコンピューティングへの関心の高まりを受けて、日立製作所や日本電気、IBM、ヒューレット・パッカードなども同様の機能を持つ製品群をリリースしている。

 この点について、同社では「1つの特徴は(ITサービス管理を実行する際の業務プロセスと手法を体系的に標準化した)ITILに基づいた運用管理を支援する点にある」と解説。中でも、開発環境や業務システムをカタログ化、すなわち見える化して、「ユーザー部門からの要望に対して、迅速かつスムーズな対応を可能にするSystemwalker Service Catalog Manager V14gをそろえた点が1つの差別化ポイントだ」と解説した。

 また、「自社内で実際に検証したうえで各製品をリリースしている体制も強み」とし、今回の5製品についても国内外10拠点、計4700人の開発者が利用している沼津ソフトウェア開発センターのインフラで検証済みだという。その結果、仮想化技術により国内6拠点の1800サーバを900サーバに集約できたほか、348種類の開発環境から51パターンをカタログに掲載、開発環境の構築時間を従来の360分から10分に短縮するなど大幅な効率化を果たした。

 さらに、開発環境の貸し出し手順の自動化と、開発環境の稼働状況の見える化、社内課金状況の見える化なども行って無駄を排除したことで、現在、年間7億円の運用コスト削減が見込まれている。「この沼津ソフトウェア開発センターのインフラを、ユーザー企業のシステムのクラウド移行検証にも利用する考え」だという。

写真 同社 執行役員常務 ソフトウェアビジネスグループ長 山中明氏

 山中氏は「5製品はこれで完成形ではなく、今後も継続的に進化させていく。また、SIサービスは弊社のペースで一方的に押し進めるのではなく、ユーザー企業と議論しながら、ともに進めていく。そのために、専門技術者である“クラウドアーキテクト”を、現在の250人から最終的には700名体制に拡大する」と、SIerとしての強みを最後にあらためて強調。

 「ビジネスとシステムの現状を把握し、要件を確認したうえで、何を仮想化すべきか、また、何をクラウド環境に移行すべきか、あるいはすべきではないのか――ユーザー企業の担当者とともに議論しながらシステムインフラを切り分けて、着実に標準化、自動化を支援したい」と力説した。販売目標は5製品合計で3年間で10万ライセンス、金額ベースでは100億円としている。

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