「BI、情報管理、価格でセールスフォースに勝つ」日本オラクルSaaS型CRM製品の最新版「Oracle CRM On Demand R17」発表

» 2010年04月22日 00時00分 公開
[内野宏信,@IT]

 日本オラクルは4月21日、SaaS型CRMアプリケーションの最新版「Oracle CRM On Demand R17」を発表した。売上予測を行うBI機能や、パートナー企業の案件情報を管理できる情報共有機能を強化したほか、ユーザーインターフェースの利便性も向上。ライバルとなるセールスフォース・ドットコムの「Salesforce CRM」に対して、「CRM機能は負けておらず、BI機能と情報管理機能、価格競争力では勝る」と差別化ポイントをアピールした。

SaaS前提の提案依頼が急増

 日本オラクルによると、新規システム構築に当たって「SaaSの活用を前提に考えている企業がここ1〜2年で大幅に増えた」という。中でもCRMについては、SaaSの手軽さも手伝って、以前までは部門ごとに単独で導入するケースが中心だったが、「最近は蓄積した情報の有効活用、ITガバナンスの徹底、コスト削減といった観点から、既存システムとのインテグレーションを重視するケースが増えつつある」(日本オラクル 常務執行役員 CRM On Demand 統括本部長 藤本寛氏)という。

 Oracle CRM On Demand R17はそうした状況を受けて開発。中でも、ユーザーの使い勝手を高める「省力化」、データの質と鮮度を維持するとともに、さまざまな角度で分析できる「データ活用」、パートナー企業と情報連携する「チャネル活性化」の3つを軸に機能を強化した。

写真 「省力化」「データ活用」「チャネル活性化」を軸にBI機能などを強化

 まず「省力化」については、営業スタッフが自分のスケジュールなどを入力する際、過去に入力したデータをコピーして使い回せる「レコードコピー機能」を強化し、入力の手間を大幅に削減した。顧客情報や案件情報、あるいは特定の顧客企業の商談競合会社など、見たい情報をワンクリックで一覧できる機能も確保し「クリック数の削減に努めた」。

 また、前バージョンのR16では画面表示サイズが固定されていたが、今回から解像度の高いワイド画面のPCでも好みの大きさで閲覧可能とした。画面の色や社名ロゴの配置などを手軽に設定できるUIを備えた「テーマ設定画面」も用意し、企業のブランディングにも貢献するという。

 「データ活用」については、無償のオプション機能「Oracle CRM On Demand Sales on the Go」を用意した。ノートPCに保存したプレゼンテーション資料を使ってPC画面を見せながらのプレゼンを行うことがよくあるが、「いつ、どの顧客企業に対して、何を目的に、どのプレゼン資料を使ったのか」といった詳細な活動記録を、その場で、あるいは商談後に手軽に記録することができる。また、オンライン状態になれば、その情報をOracle CRM On Demand R17にワンクリックでアップロードできるという。

写真 取引先の関係者の人脈などを可視化することもできる

 「すなわち、営業スタッフは自分のノートPCをセールスツールとして使えるほか、上司への報告作業という二度手間がかからない。また、使ったプレゼン資料の中でも『どのページが特に顧客の反応が強かったのか』といった情報を詳細に記録できるため、次のアクション立案にも役立つ。管理層にとっても全スタッフの情報を正確に収集・把握できるメリットがある」(同社 CRM On Demand 統括本部 CRM SC本部 シニアセールスコンサルタントの山瀬浩明氏)

 「チャネル活性化」については、パートナー企業が持つ案件情報の共有機能に加え、代理店をセグメント化して適切な代理店、適切な担当者にアサインできる「代理店審査機能」や、パートナー企業の営業スタッフに向けた「教育用プログラム」、共同キャンペーンプログラムを展開するための「情報共有機能」、その結果を分析する「代理店のパフォーマンス測定機能」などを装備した。

ERPをはじめ、既存システムとのデータ連携も容易

 一方、既存システムとのインテグレーションに対するニーズに応え、Ajax、Flashを使ったオープンな技術基盤を採用しているほか、カスタムオブジェクトを使って「ERPのデータをOracle CRM On Demand R17に流し込む」など、既存システムとのデータ連携もスムーズに行えるよう配慮したという。

 バルクロード機能もポイントだ。R16では顧客データなどをデータロードする際、一度にロードできる件数は3万件が上限だったが、R17では「約100万件のデータも一度でロード可能」。これにより「データロードを小分けにして行う手間がなくなり、データメンテナンスの効率が大幅に向上する」(山瀬氏)という。

写真 日本オラクル 常務執行役員 CRM On Demand 統括本部長 藤本寛氏

 価格は1ユーザー当たり月額7989円(税込み)から。藤本氏は「従来はサービス業が中心だったが、最近はSaaSの手軽さも手伝い、小さな規模から海外拠点展開を始めるメーカーからも引き合いが多い。SaaSは急速に浸透しつつあり、インテグレーション需要が高まっていることからしても着実に基幹システムに組み込まれつつあると思う」とコメント。

 最大のライバルであるセールスフォース・ドットコムの「Salesforce CRM」についても、「CRM機能は負けていない。BI機能と情報管理機能、価格競争力で勝る」と、その商品力に自信をうかがわせた。

 

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