顧客のあらゆる声を一元管理、ジェネシスが6年ぶりの新版音声通話からSNSまで

» 2010年06月03日 00時00分 公開
[伏見学,@IT]

 コンタクトセンター向けに製品を提供するジェネシス・ジャパンは6月3日、顧客サービス統合ソフトウェアの最新版「Genesys 8」(G8)を7月から国内で出荷開始すると発表した。同製品は既に米国でリリースされている

米Genesysで製品マーケティングディレクターを務めるランディ・ブロシェ氏 米Genesysで製品マーケティングディレクターを務めるランディ・ブロシェ氏

 6年ぶりのメジャーバージョンアップとなるG8では「顧客との対話」を重視した機能拡張がなされている。具体的には、対面、コンタクトセンターへの音声通話、Web、モバイル端末、ソーシャルメディアなどで行われる顧客とのあらゆる対話を時系列に沿って管理、分析する「Conversation Manager」や、Webサイトから問い合わせした顧客に対してエージェント(コンタクトセンターのオペレーター)から即座に折り返し電話する「Web Callback」、ECサイトなどを閲覧しているユーザーに対してWebチャットや音声通話で購買促進のサポート提案する「Proactive Engagement」、TwitterやFacebookといったソーシャルメディアからの顧客のコメントに対してフォローアップする「Genesys SMS」などの機能を持つ。

 とりわけ利用者数が急伸するソーシャルメディアの管理は多くの企業で課題となっており、市場ニーズを反映した形となる。米Genesysで製品マーケティングディレクターを務めるランディ・ブロシェ氏は「Twitterで企業にコンタクトをとったり、苦情を寄せたりする顧客が増えている。そうした書き込みを適確に管理し、いかに素早くエージェントにつなげてフォローするかが重要だ」と述べる。

 こうした機能拡張に当たり、G8のアーキテクチャやUI(ユーザーインターフェイス)にも改良が加えられた。CRM(顧客情報管理)やBI(ビジネスインテリジェンス)などの外部システムとの連携を容易にするために、UMLで記法が定義されているハレル状態表(Harel State Tables)とコール制御記述言語であるCCMLを基にした実行環境「SCXML(State Chart XML)」に対応したオープンプラットフォーム「Orchestration Server」を実装したほか、G8のシステムやアプリケーションの設定管理ツールを「Genesys Administrator」に、これまで別々に存在してた開発ツールを統合開発環境「Genesys Composer」に集約したことで、顧客の管理やモニタリング、対応フローが同一画面で設計、チェックできるようになった。

 会計や人事など企業のバックオフィス業務のプロセスを効率化するモジュール「iWD(intelligent Workload Distribution)」も強化した。フロントオフィスであるコンタクトセンターでは標準的な技術であるルーティング(業務振り分け)機能をバックオフィスにも適用することで、業務の優先度や担当者のスキルに応じて自動的に割り当てるというもの。これはいわゆるBPM(業務プロセス管理)の領域に入り、昨今はほかのコンタクトセンターベンダも同様の製品を提供している。

 「コンタクトセンターでは膨大な業務を効率的にエージェントに割り当てていくが、バックオフィスでは難しい業務に直面すると、解決せずに突き戻してしまうことがある。こうした問題を解消し企業全体の業務効率化を図ることが可能になる」(ブロシェ氏)

G8 製品群のモジュール G8 製品群のモジュール

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