WBSの要素分解の1パターンである「作業に分解」について前回解説した。今回はもう1つのパターンである「成果物に分解」を詳しく解説する。
前回は「作業に分解」するパターンのWBS(注1)についてご紹介しました。
今回は、「成果物に分解」するWBSに着目し、具体的な事例をご紹介します。
「成果物分解型」のWBSは、プロジェクトにおいて「顧客に納品する」成果物をWBSにまとめたものと言えます。WBSに記されている成果物をすべて顧客に納品したときに、プロジェクトも終了します。このWBSを、「プロダクトスコープ」と呼ぶこともあります。もちろん、顧客が存在しないプロジェクトも存在します。その場合、このWBSの対象は「完成させることが必須であるすべての成果物」となります。
また、一般的には下の図のように、レベル2は「納品物一覧」や「作成物一覧」の大項目単位になることが通常のパターンです。
レベル2を「成果物一覧」で分解した場合は、成果物単位でワークパッケージが表されるため、責任の単位がWBSとして分解されているケースが多くみられます。欧米企業や、オフショアを活用している会社では、契約上、責任範囲をかなり詳細に記述する必要があるため、こちらのWBSを好む傾向にあります。
さて、実際のシステム開発プロジェクトにおける事例を見てみましょう。レベル1は顧客に納品する成果物であるXXXシステム(システムの名前など)が記入されます。レベル2を見ると一般的な成果物一覧の大項目が並びます。例えば、「ハードウェア」「ソフトウェア」「開発用ドキュメント」「ユーザードキュメント」「プロジェクト管理」などです。
留意事項として、「プロジェクト管理」だけは「作業分解型」のWBSと共通の項目になります。プロジェクト管理は厳密に言えば成果物ではありませんが、プロジェクトを円滑に進めるために必須となるため、例外的にこれに含めます。
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