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» 2010年09月07日 00時00分 公開

ユーザー視点でアプリの性能を監視、機会損失を予防:CA、APM製品の最新版「CA APM 9」を発表

[内野宏信,@IT]

 CA Technologiesは9月7日、アプリケーション性能管理製品の最新版「CA APM 9」を発表した。業務遂行機能や顧客サービスを提供するアプリケーションの性能を、エンドユーザー、運用管理者、双方の視点から管理し、問題発生時の迅速な原因の切り分け、障害の予兆検知などを支援する。本格的なクラウド時代の到来を控え、ITインフラが年々複雑化している中、オンラインバンキングやトレーディングシステムなど、収益に直結しているアプリケーションのサービスレベル担保、安定稼働に大きく寄与するという。

エンドユーザーの視点でアプリケーションの性能を監視

 製品名の「APM」とはアプリケーション・パフォーマンス・マネジメントの略。「アプリケーションのレスポンスタイムやエラーログなどを監視し、その適正なパフォーマンスを担保する取り組み」を指す。「運用管理者の視点」を主軸とした従来の運用管理とは異なり、「エンドユーザーの視点」を重視して管理する点が大きな特徴だ。

 というのも、従来の運用管理は、サーバ、ネットワークなど、各システム構成要素を個別に監視するため、個別の障害には対応できても、それらが互いに影響を与え合った「全体的なパフォーマンス」の低下には迅速に対応しにくいという問題があった。その点、APMでは「アプリケーションが提供する一連のトランザクションが、想定したサービスレベルできちんと遂行されているか」という“エンドユーザーの視点”を重視する。

 換言すれば、一連のトランザクションを支える全システム構成要素を統合的に把握・監視し、「アプリケーションを快適に使える」――すなわち「円滑に業務を遂行できる/顧客サービスを提供できる」環境を担保する取り組みというわけだ。

写真 年々複雑化するITインフラを飛び交うトランザクションをトレースすることで、エンドユーザーの視点からアプリケーションの性能を監視する

 特に昨今は、複数のシステム構成要素が連携して1つのサービスを提供するWebアプリケーションが一般化しているほか、SOAや仮想化技術、SaaS、PaaSなどのクラウドサービスの活用も進み、システム環境は年々複雑化している。こうした中でもアプリケーションのパフォーマンスを安定的に担保し、万一の際も早急に問題を解消できなければ、企業はダメージを被ることになる。

 特にオンラインバンキングやオンライントレードを提供する銀行、保険・証券など「アプリケーションの提供サービスが収益に直結している企業」ほど大ダメージを被りかねない。そうしたことから、現在、多くの企業でAPMは必須の取り組みとして認識され、国内でも実践事例が着実に増えつつある。

ビジネス、サービスの確実な遂行を担保する「CA APM 9」

 今回、CA Technologiesが発表した「CA APM 9」は、同社が従来から提供してきた2製品――運用管理者の視点でWebアプリケーションの性能監視・問題検出を行う「CA Wily Introscope」と、エンドユーザー視点でアプリケーションのサービスレベルを管理する「CA Wily Customer Experience Manager」――を統合しシームレスに連携させたもので、APMの実践を統合的に支援する製品となっている。

 このうち「CA Wily Introscope」には、単体で提供していた従来製品に対し、3つの新機能を装備した。1つはアプリケーションが発生させるトランザクションを、「ビジネスとして意味のある単位」で追跡・記録し、アプリケーションの性能・可用性をビジネス志向で表現する「ビジネス・セントリック・マネジメント機能」。「ビジネスとして意味のある単位」――例えばオンラインバンキングにおいて、「残高照会ボタンを押し、残高が表示されるまで」といった単位でトランザクションを追跡・記録し、そのレスポンスタイムなどを表示する。もちろん、この「単位」は任意に定義できる。

 2つ目は、「定義した単位のトランザクション」を支えているアプリケーション群の関連性を可視化し、各アプリケーションの性能・可用性のデータを表示する「アプリケーション・トリアージ・マップ機能」。例えば「残高照会」という行為を完了するために、「アプリケーションAがアプリケーションBにアクセスし、さらにアプリケーションCにも働き掛けている」など、一連のトランザクションを支えているアプリケーション群を自動的に検知し、その関係性をマップで可視化する。これにより問題の切り分けを効率化し、平均復旧時間を大幅に短縮するという。

 3つ目は、実行中のトランザクションを、よりきめ細かくトレースできる「ダイナミック・インスツルメンテーション」機能。アプリケーションを再起動することなく、トランザクションを支えるメソッドを任意に検索し、その稼働状況を把握できる。これにより原因追跡が容易になり、TCO削減に貢献するという。

 なお、今回から対応可能なSOAインフラを拡大。Oracle Service Bus、WebSphere Process Server/ESBに加え、TIBCO Business Works、TIBCO EMS、webMethods Integration Server、webMethods Broker、 Apache CXF、Metro、JBoss Web Servicesにも対応した。

トランザクションを追跡すれば、確実にサービスレベルを担保できる

 一方、エンドユーザー視点でアプリケーションのサービスレベルを管理する「CA Wily Customer Experience Manager」にも3つの新機能を追加している。1つは「自動トランザクション検出機能」。稼働中のトランザクションを自動的にキャプチャすることで、追跡・記録するトランザクションを定義する作業を簡略化・迅速化する。

 2つ目はマルチバイト言語への対応。UTF-8、Shift JIS、EUCといった言語が含まれたトランザクションもモニタリングできる。さらに、単体で提供していた従来製品に対し、日本語UIの適用範囲を拡大した。

写真 サービス・アシュアランス営業本部 APM営業部 部長の脇本亜紀氏

 参考価格(1CPU)は、「CA APM 9」が162万5000円から。また、「CA Introscope 9」単体でも提供し、こちらは120万円(ともに税別価格)から。国内では、すでにアクサテクノロジーサービスジャパンへの導入実績もある。

 同社サービス・アシュアランス営業本部 APM営業部 部長の脇本亜紀氏は、「APMのポイントはトランザクションを軸にアプリケーションを管理すること。これにより、ITインフラが複雑化している中でも、サービスレベルの確実な担保、迅速な原因追及を実現し、ビジネス、サービスを確実・円滑に遂行できる」と解説。大規模な運用環境が求められる通信事業者、オンライントレーディングを行う中〜大規模の金融業、IT環境の確実な管理を狙う製造業などをターゲットに「NECをはじめ、パートナー各社と協力して拡販に努める」と話している。

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