BCGは、企業のAI投資が売上比1.7%へ拡大し、AIエージェントに3割超を配分する見通しを示した。この投資を成功させ競争力を向上させるために、企業トップに求められる姿勢とは。
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Boston Consulting Group(以下、BCG)は世界16市場、9業界で売上高1億ドル超の企業経営層2360人を対象に実施したAI調査レポート「As AI Investments Surge, CEOs Take the Lead」を公表した。同調査は2024年に開始し今回で3回目となる。企業のAI投資が急拡大し、経営トップが主導する動きが鮮明になっている。
企業は2026年にAI投資を前年の約2倍へ拡大する計画で、売上高に占める割合は約1.7%に達する見通しであることが分かった。2024年は約0.6%、2025年は約0.8%で推移しており、投資規模は着実に伸びてきた。AI投資にはテクノロジー基盤、データ整備、人材育成、外部パートナー活用などが含まれる。
投資拡大の背景には、業務を自律的に担うAIエージェントの進展がある。調査では90%のCEO(最高経営責任者)が「AIエージェントは2026年に定量成果を生む」と見込んでいる。企業は平均でAI投資額の3割超をAIエージェント関連に充てる計画で、活用範囲は業務プロセス全体へ広がる見込みだ。
投資収益率(ROI)に関しては、CEOの約8割が「前年より見通しが改善した」と回答した。短期的に成果が出ない場合でも、94%が現在と同等以上の水準で投資を継続する意向を示している。業界別ではテック企業や金融機関が売上高の約2%を投じるが、産業財や不動産では0.8%程度にとどまる。
意思決定の主体も明確化している。72%のCEOが「AIに関する主要判断を自ら担う」と回答し、日本では88%に達した。「AI戦略の結果が自身の評価や地位に影響する」と考えるCEOは世界平均で50%だが、日本は70%で高い水準となった。中東諸国67%、インド61%、中華圏60%、米国42%、英国38%、EU35%と続く。
レポートはCEOの姿勢を3つに分類する。AIの効果を見極めながら限定的に投資する「慎重型」、価値とリスクを精査した上で投資する「実利重視型」、大胆な投資と迅速な人材強化を推進する「先駆型」だ。世界全体では実利重視型が約7割を占める。先駆型はAI投資の半分超をAIエージェントへ振り向け、全社に導入する割合が慎重型の約2倍に上る。
日本では先駆型が約1割にとどまり、慎重姿勢の経営者が比較的多い。日本のCEOはAIを自らの責務と位置付け、投資継続への意志も強い。BCGは、競争力の差は経営トップが戦略と業務を再設計し、新たな製品やサービス創出まで踏み込めるかに左右されると指摘している。
AI投資は実験段階を超え、経営の中核テーマへ移行している。投資規模の拡大と同時に、成果創出と組織変革を両立できる体制づくりが企業に問われている。
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