富士通とCA Technologiesがソフトウェア分野で戦略的協業第1弾は、業務プロセス管理、アプリ性能管理製品のOEM契約

» 2010年09月16日 00時00分 公開
[内野宏信,@IT]

 富士通とCA Technologiesは9月16日、ソフトウェア分野で戦略的協業を行い、その第1ステップとして、両社製品の相互OEM契約を締結したと発表した。富士通はCA Technologiesのアプリケーション性能管理製品「CA APM」を日本市場で販売し、CA Technologiesは富士通の業務プロセス監視・分析製品「Interstage Business Process Manager Analytics」(以下、BPMA)を、「CA Business Process Performance Analytics」(以下、CA BPPA)のブランド名を使ってワールドワイドで販売する。

 BPMAとCA APMを組み合わせて提供することで、業務の遂行状況と、業務を支えている各種アプリケーションのパフォーマンスをひも付けた監視が可能になる。すなわち、業務遂行に何らかの問題が発生した際、迅速にアプリケーションの問題を究明・解決し、安定的に業務を遂行できるようになる。両社では「マルチベンダ環境の複雑なITインフラを、“業務の観点”から確実に運用管理できる環境を、国内外の多くの企業に提供していく」という。

業務の視点で、アプリケーション、システムの問題を迅速に究明

 CA APMは、CA Technologiesが従来から提供してきた2製品――運用管理者の視点でWebアプリケーションの性能監視・問題検出を行う「CA Wily Introscope」と、エンドユーザー視点でアプリケーションのサービスレベルを管理する「CA Wily Customer Experience Manager」――を統合し、シームレスに連携させた製品。レスポンスタイムを測定するなど、エンドユーザーの視点でアプリケーションの処理性能を可視化できる点が特徴で、ユーザー満足度の維持とサービスの安定的な提供を支援する。

 また、アプリケーションが発生させるトランザクションを、「ビジネスとして意味のある単位」――例えばオンラインバンキングにおいて、「残高照会ボタンを押し、残高が表示されるまで」といった単位――で追跡・記録し、アプリケーションの性能・可用性を「業務が遂行されているか」という視点から表現する「ビジネス・セントリック・マネジメント機能」を持つほか、アプリケーション内部のクラス・メソッドの呼び出し関係と、そのリソース使用状況を可視化し、処理のボトルネックとなっている個所を、きめ細かく、かつ迅速に究明できる機能を備えている。

写真 富士通はCA Technologiesのアプリケーション性能管理製品「CA APM」を日本市場で販売し、CA Technologiesは富士通の業務プロセス監視・分析製品「Interstage Business Process Manager Analytics」を、「CA Business Process Performance Analytics」のブランド名を使ってワールドワイドで販売

 一方、富士通のBPMAは、業務の実行情報やログを用いて、業務プロセスの実行状況と異常をタイムリーに監視・分析できる製品。業務プロセスの実行状況を可視化・分析することで、業務遂行のボトルネックとなっているポイントを発見し、適切かつ効率的な業務改善を支援する。

 今回の戦略的協業により、両社はともに両製品を組み合わせた提供が可能になる。これにより、業務プロセスの実行状況と、業務を支えている各種アプリケーションの稼働状況を関連付けて可視化・分析し、業務遂行に問題が発生した際には、即座に問題原因を追求し、解決できる環境が整えられるという。

写真 業務遂行上の問題を、システムインフラのレイヤまで迅速かつきめ細かに究明できる

 また、富士通ではCA APMとBPMAに加え、統合運用管理製品「Systemwalker」を組み合わせた提供も行う。これにより、BPMAで業務の実行状況を監視し、問題が生じれば、それを支えているアプリケーションの問題をCA APMで究明し、さらにアプリケーションを支えているサーバなどの各システム構成要素の問題をSystemwalkerで究明する、といった具合に、業務の観点から問題原因をドリルダウンし、あらゆる問題を解決できる環境が整えられるという。

富士通のSOA技術とCAの運用管理分野の実績を融合 

 富士通 ミドルウェア事業本部長の新田将人氏は、「今回の協業の狙いは、富士通のグローバルサービス基盤強化、両社の運用管理製品分野の強化、そしてクラウド環境の活用・運用管理に対する新たな製品・サービスの開発・拡充の3つ」と解説した。

 特に富士通は、SOAに基づいてサービスを整理する業務アプリケーション基盤製品群「Interstage」が世界20カ国、200社以上に導入されるなど、SOA技術がグローバルで評価されている。また、国内の運用管理製品市場でトップシェアを獲得している一方で、CA Technologiesはグローバルの運用管理ソフトウェア市場でトップシェアを獲得している。

 こうした両社の強みを融合することで、「SOA技術と運用管理分野の技術・実績を基に、グローバルの企業に向けて、マルチベンダの複雑なクラウド環境の有効活用を支援する、より充実したサービスを提供する体制を整えていく構えだ」という。

写真 富士通 ミドルウェア事業本部長の新田将人氏と、CA Technologiesの日本法人代表取締役社長 バスター・ブラウン氏

 CA Technologiesの日本法人代表取締役社長 バスター・ブラウン氏も、1996年から富士通と協業を重ねてきた実績を振り返り、「われわれの協業の歴史は10年を超える。今回の協業もCA APMの日本市場における拡販のチャンスとなるほか、両社の製品を組み合わせて提供することで、物理、仮想、クラウドが混在した複雑なIT環境の運用管理を大幅に改善・効率化できる」と力説。CA APMとBPMAのOEM契約を機に、「長期的かつ互いにメリットのある関係を構築し、多くのユーザー企業のクリティカルなIT環境の安定的な運用を支援していきたい」と述べた。

 なお、CA TechnologiesによるCA BPPAの販売目標は非公開としているが、富士通はCA APMの国内販売について、「3年間で4000プロセッサライセンスを目指す」としている。

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