【中小企業向け】請求書発行システムの選定ポイント｜面倒な「紙・アナログ・Excel管理」から脱却する簡単な方法

請求書の作成や送付、管理に多くの時間と手間がかかっていませんか？　手作業によるミスや郵送コスト、法改正への対応など、請求書業務には多くの課題が存在します。これらの課題を解決する手段として注目されているのが「請求書発行システム」です。

本記事では、請求書発行システムの導入メリットや選定ポイントの解説とともに、業務効率化とコスト削減を実現する方法をご紹介します。

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請求書業務における「紙・アナログ」な中小企業の課題

中小企業では限られた人員と時間の中で経理・会計業務をこなす必要があるため、請求書の作成や送付、管理といった日常業務が紙ベース、ExcelやWordなどによる手作業で行われているケースが少なくありません。

このような運用は、請求漏れや記載ミスといったヒューマンエラーを引き起こしやすく、加えて毎月の繰り返し業務が担当者の負担となることで、全体の業務効率や正確性に影響を及ぼす原因にもなっています。また、法令対応やペーパーレス化といった要請にも対応しきれず、デジタル化の遅れが他部門の業務にも波及するリスクもあります。

手作業による業務負担とミスのリスクが大

「紙」ベースで請求書処理を行っている企業では、ExcelやWordを用いて請求書を作成し、印刷・封入・郵送といったプロセスを経て取引先に送付しています。

この一連の作業は時間と労力を要し、担当者の大きな負担となっています。特に「月末月初」「年度末」といった特定の時期にタスクが集中しつつも「遅れは許されない」状況が困りものです。

こうして「急がされる」結果、手作業での入力や計算ミス、送付先の誤りなど、ヒューマンエラーやトラブルのリスクも高まります。

法令対応へのリスクが大

2024年1月に本格スタートした改正電子帳簿保存法（電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律）により、電子取引（ファイルなどのデジタルデータ）によってやりとりされた請求書や領収書などのデータは、原則として紙に印刷せず、電子データのまま保存することが義務化されました。この保存にあたっては、日付や取引先名で検索可能であること、改ざん防止措置が講じられていることなどの要件が定められています。

この法令は「自社はまだ紙・アナログ」だとしても無関係で済むことではありません。取引先が電子取引に移行しており、たとえばメールでPDF請求書を受け取った場合、それは電子取引に該当するため、該当ファイルを電子帳簿保存法に準じた方法で保存する必要があります。対応を怠れば法令違反と判断されるリスクがあります。また、このような電子取引に対応した取引先は「（紙の管理は大変だから、できれば）早く電子取引に対応してほしい」と思っています。

さらに、2023年10月に導入されたインボイス制度（適格請求書等保存方式）への未対応は経営上のより深刻なリスクをはらみます。この制度では、仕入税額控除を適用するために「適格請求書」の保存が義務付けられており、売手（ここでは自社）が発行事業者として登録していない場合、買手側で控除ができなくなる恐れがあります。結果として取引先から「インボイス対応できない会社とは今後取引しづらい」と判断されることもあり得るのです。

中小企業にとって、制度未対応は税務面だけでなく営業面でも信頼損失につながる可能性があることに注意が必要です。

 

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おすすめ「電子帳簿保存法」の気になる疑問、対策手段を分かりやすく解説

 

請求書発行システムの導入による解決

コストや人員が限られる企業にとって、請求書発行システム、電子帳票システムなどのシステム導入がこれらの課題を「比較的安価」かつ「容易」かつ「効果的」に解決する特に有効な手段です。業務の自動化や法令対応の支援機能により、業務効率化とリスク軽減を実現できます。

請求書発行システムとは？

請求書発行システムとは、請求書を作成し、相手先へ送付し、その履歴を管理するまでの業務を、パソコンやクラウド上（スマホなどでの作業も含む）で効率的に行う仕組み、およびそれを行うためのIT製品のことです。

 

この1ページで解決「請求書発行システム」の主な機能、メリット・デメリット、製品選定のポイントを分かりやすく解説

 

これまでExcelなどの汎用ソフトを用いて1件ずつ請求内容を記入し、請求書のフォーマットに整えて差し込み印刷、あるいはコピー＆ペーストで請求書ファイルを作成していたと思います。

そこへ請求書発行システムを用い、顧客情報や商品の基礎データ、取引履歴に沿ってシステムへ登録するなどの事前準備さえ済ませれば、毎月の請求書が自動で作成できるようになります。作成した請求書をPDFで、あるいはPDFダウンロードのURLを発行した上でメール送信したり、郵送代行サービスを使うなどして郵送する工程を自動化したりすることも可能です。

またクラウド型であれば、インターネットが使えるならばどこでも何でも、オフィス以外の場所からでも、製品によってはスマートフォンからでも操作できます。

このような特徴を軸に請求書発行システムは、請求業務の手間を大幅に減らし、ミスや作業の遅れを防ぐうえで中小企業の経理担当者にとって頼りになる存在です。請求書の作成履歴や入金状況も一覧で確認できるため、請求業務全体の「見える化」にも貢献します。

業務の自動化と効率化

請求書発行システムを導入することで、請求書の作成から送付、管理までのプロセスを自動化できます。取引先情報や商品情報を事前に登録しておくことで、請求書の作成が簡単になり、作業時間の短縮が可能です。また、メール送信やPDF出力、郵送代行などの機能により、送付作業も効率化されます。

法令対応の支援

多くの請求書発行システムは、電子帳簿保存法やインボイス制度に対応しています。電子データの保存要件を満たす機能や、適格請求書の発行機能が備わっており、法令遵守を支援します。これにより、法改正への対応が容易になり、リスクを軽減できます。

請求書発行システム導入のメリット

請求書発行システムの導入メリットは以下の通りです。

業務効率化と時間の節約を実現する

請求書の作成や送付、管理といった、これまで多くの時間と手間がかかっていた業務が自動化されることで、作業効率が大きく向上します。人手が減れば、担当者の工数を他の重要な業務へ回すこともでき、結果として自社全体的な生産性の向上も期待できます。

ヒューマンエラー／ミスを削減できる

請求書発行システムによるデジタル化と自動化機能によって、これまで手作業だったために発生していた入力ミスや計算ミス、送付先の誤りなどのヒューマンエラーやトラブルの可能性を大きく減らせます。

「紙」類のコストを一気に削減できる

請求書発行システムによるデジタル化と自動化機能によって、請求書の印刷費や郵送費、物理的な保管スペースの確保と維持費など、「紙」の請求書業務でかかっていた事務用品費・通信費や雑費のコストを一気に削減、あるいは圧縮できます。このほかもちろん、上記の人件費・人的コストの削減も期待できます。

法令順守体制を強化できる

請求書発行システムの多くは、電子帳簿保存法やインボイス制度（適格請求書等保存方式）に対応した機能を備えています。たとえば、電子帳簿保存法に準拠した形で請求書をデータ保存できる機能や、国税庁が指定する要件を満たした「適格請求書」のフォーマットに自動対応する機能などがあります。

これにより、自社で都度、独自に対応しなくても適切に法令対応できます。同時に、そもそもの記載漏れや様式不備といった法令違反のリスクを軽減できます。特に人的リソースが限られる中小企業にとって、煩雑な帳簿管理や税務対応の負荷を大幅に減らせることは大きなメリットです。

リモートワーク／働き方改革への対応が容易になる

クラウド型の請求書発行システムを導入することで、インターネット環境があればどこからでも請求書業務を行うことができます。アナログからデジタル型へ、手作業からシステム化することによってリモートワーク環境下でも業務を継続でき、柔軟な働き方への対応を強化できます。

データの一元管理と高度な分析を可能にする

請求書発行システムでは請求書データを一元管理し、適切にデータとして保管する機能を備えます。このデータは、単に保管するだけではなく、蓄積するデータを分析して調査や戦略に生かすことで「分析・戦略のためのデータソース」にもなります。過去の請求書の検索や分析して何かの知見を得ることで、経営判断の迅速化や業務の可視化につながります。

 

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請求書発行システムの選定ポイント

請求書発行システムを選定する際には、以下のポイントを考慮することが重要です。

自社の業務フローに合致しているか

請求書発行システムが自社の業務フローに適合しているかを確認しましょう。特に、既存の販売管理システムや会計ソフトとの連携が可能かどうかをチェックすることが重要です。

法令対応がされているか

請求書業務においては特に、電子帳簿保存法やインボイス制度などの法令に対応しているか、どう対応しているかを確認しましょう。

もっとも昨今は、電帳法とインボイス制度に最低限対応していない電子請求書システムは少ないと思います。逆にベンダーへは、対応の有無だけでなく「どう対応しているのか」「自社にどんなメリットを与えてくれるのか」を聞いてみるのはいかがでしょう。より鮮明に製品の特長や売り機能が見えてくるかもしれません。

セキュリティ対策は適切か

請求書には機密情報が含まれるため、セキュリティ対策が万全なシステムを選定することが重要です。データの暗号化やアクセス制限、バックアップ体制などを確認しましょう。

サポート体制が整っているか

導入後のサポート体制が整っているかを確認しましょう。操作方法やトラブル時の対応など、安心して利用できるサポート体制があるかが重要です。

コストバランス／コストパフォーマンスは適切か

システムの導入費用や運用コストが、自社の予算に合っているかを確認しましょう。また、機能やサポート体制と費用のバランスを考慮し、コストパフォーマンスの良いシステムを選定することが重要です。

おすすめSaaS導入前に考慮しておくべき3つの基本ポイント

おすすめの請求書発行システムを紹介

製品選びは、搭載機能や特徴、評価／口コミ数などで絞り込み／並べかえ／比較ができる「おすすめ請求書発行システム一覧＆検索＆比較コーナー」をぜひお試しください。またITセレクトでは、IT製品・サービス選定に詳しい専門スタッフに聞ける「ITセレクトのコンシェルジュ相談サービス（無料）」も用意しています。こちらもぜひご活用ください！

 

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中小企業のSaaS導入事例

【建機の整備・レンタル】創業70年の老舗企業が、これまでの人依存・紙ベースの業務フローを廃しデジタル型に刷新

創業70年超の歴史を持つ建機サービス企業では、経費精算をはじめとする紙ベースの業務や長年続くアナログ型の承認ワークフローに課題を抱えていました。新技術に対する現場の抵抗感やアナログな慣習をなかなか脱却できず、業務効率化が進みにくい状況が続いていたのです。法令改正（インボイス制度）への対応を契機に、まずはSaaSでのスモールスタートが可能な経費精算領域からデジタル化を推進。SaaSのメリットを活かし、業務効率改善と法令対応を約1カ月の短期間で実現しました。

【スノボスクール】季節限定アルバイトスタッフ管理を効率化し、以後のデジタル化につなぐ一手に

シーズンによってスタッフ数が大きく変動するスノボスクールでは、従来の紙ベースのタイムカードでは休暇管理や給与計算の工程に混乱が生じがちでした。また、季節スタッフはスクールのインストラクターとしての役割もあり、通常勤務時とレッスン時で給与体系が複数混在することも手動工程では多大な手間がかかり、ミスが発生する可能性もある大きな要因となっていました。勤怠管理システムによるデジタル化（DX）によってまず労務管理の多大な手間とコストを軽減し、今後スクール運営をより効率化・高度化する一手として成果をあげました。

【観光地の飲食店】給与形態が異なり複数店舗もまたぐアルバイトスタッフの複雑な勤怠管理を効率化

観光地で複数の店舗を抱え、アルバイト／正社員の混在だけでなく、勤務場所に応じて1人のスタッフ単位でも給与形態が異なる、かなり複雑な労務管理のケースです。従来は紙タイムカードを集約し、月末にまとめて担当者の手作業と目検でExcel計算しており、これだけで数日かかりきりとなる工程で運用していました。勤怠管理システムを導入したことで手作業、アナログ作業の工程がほぼなくなり、勤怠状況の把握から集計、給与計算までほぼ自動、かつリアルタイムに実施できるようになりました。担当者の負荷が大幅に軽減され、スタッフへの給与支払時短にもつながった事例です。

請求書発行システムで業務効率化とコスト削減を実現

請求書発行システムの導入は、業務効率化やコスト削減、法令遵守、リモートワーク支援など、多くのメリットをもたらします。自社の業務フローやニーズに合ったシステムを選定し、導入することで、経理業務の負担を軽減し、企業全体の生産性向上につなげることができます。まずは、自社の課題を洗い出し、適切なシステムの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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