
この記事では、実際にITセレクトのコンシェルジュ相談サービスをご利用いただいたかたの体験談をご紹介します。
全国約400社のクライアントパートナーとともに、1日8万食以上のお弁当を供給するデリバリー事業および障がい福祉事業を展開する株式会社GLUG。飲食店の昼間の空き厨房を活用して展開する「やどかり弁当」のビジネスモデルを中核に成長してきた同社だが、その裏側では食材発注における深刻な課題を抱えていた。
それはExcelでの手作業・アナログ管理に由来する「食材の欠品」。クライアントから殺到するクレーム、お弁当を正しく提供できなくなる事態にも直結──。ビジネスの根幹を揺るがしかねない状況だった。
この喫緊の課題を解決すべく、同社が発注ナビのIT製品相談・紹介サービスを通じて選定したのは、「SaaS型」の発注管理システムだった。なぜ彼らはSaaSを選び、どのようにして自社の複雑な要件に合うパートナーを見つけ出したのか。導入の意思決定からわずか数カ月での本稼働を目指した「業務部門主体のDX計画」の裏側を、同社デリバリープラットフォームにおける管理業務を担う物流企画部マネージャーの大久保亜里沙氏と部長の松田大志郎氏に伺った。
「今すぐ対策しなければ危ない」「自身らで対策したい」。喫緊の課題に対して、業務のデジタル化、システム化を検討しているが、どのように進めればよいのかに悩んでいる、SaaS導入に不安を感じている──。そんな企業の経営層、業務部門の担当者はぜひ参考にしていただきたい。
サービス利用前の課題
- メーカーへの食材発注をExcelで手作業管理しており、ミスや属人化が発生していた
- 需要予測に限界があり、食材の欠品が頻発していた
- 欠品時の対策手段(代替輸送など)でコストが増大していた
- 社内システム部門に頼れない事情があった
利用後の効果
- 発注ナビを利用し、自社の複雑な要件を深く理解してくれるベンダー/サービスを迅速に見つけられた
- 事業部門主体で、「迅速」な在庫の適正化と欠品の根本的な解決への体制を整えられた
- 将来的なコスト削減(物流費、仕入れ値交渉)の実現や、全社的なDX推進への道筋が見えた
目次
「1日8万食」の裏で頻発していた“欠品”地獄、Excel管理ではもう限界だった
| 社名 | 株式会社GLUG |
| 所在地 | 東京都港区(本社) |
| 設立 | 2009年7月 |
| 従業員数 | 148人(2024年12月時点)/サービス利用者想定:3~20人 |
| 事業内容 | toB向け弁当デリバリー事業/プロデュース、障がい福祉サービス事業(就労継続支援A型事業、グループホーム事業、就労定着支援事業)、福祉事業所向けWEBサービス事業など |
──GLUG様のビジネスについて教えてください。「事業所向けデリバリー弁当のやどかり弁当」など食に関する事業と、福祉事業を両輪で展開されておられるようですね。
GLUG 物流企画部部長の松田大志郎氏(以下、松田氏):弊社は、飲食店のランチタイムなど日中の空いている厨房をお借りしてお弁当を作る「やどかり弁当」のビジネスモデルで創業しました。
事業所向けの宅配弁当事業が成長していく中で、盛り付けなどの単純作業が得意な障がい者の方々と非常に相性が良いことが分かりました。就労継続支援A型事業×お弁当サポート事業、就労継続支援A型事業×高齢者デリバリーサポート事業などで、現在(2025年)では障がい福祉事業の比重が大きくなっています。社のミッションである「誰もが理想の自分にチャレンジできる世界を作る」を実現するため、多様な方々が活躍できる場を創出しています。

株式会社GLUGのWebサイト
──今回導入されたSaaS(発注管理システム)は、宅配弁当事業へ導入されたのですね。

GLUG 物流企画部部長の松田大志郎氏
松田氏: はい。やどかり弁当では、弊社でお弁当のレシピを開発し、販促物とともに全国約400社のクライアントパートナーに提供しています。
このお弁当に使う食材も、弊社がメーカーから仕入れてクライアントへ卸しています。今回システムを導入したのは、この「メーカーへの食材発注」の部分です
──具体的に、どのような課題あるいは目的があったのでしょうか?
GLUG 物流企画部マネージャーの大久保亜里沙氏 (以下、大久保氏): 最大の課題は「食材の欠品」が頻発していたことです。
弊社のお弁当は、全国同じメニューを1日約8万食、日替わりで提供しています。年間で2000万食以上、この膨大な数の弁当に必要な食材量の予測を立てて、一定量を倉庫に在庫として持っておき、日々のメニューに必要なお弁当の食材をクライアントへ配送します。
もし食材に欠品が発生すると、クライアントに地元で代替品を探していただく、あるいは我々が、関西や東北など各地にある別エリアの倉庫拠点から緊急で輸送したり、メーカーさんに無理をお願いして直送いただいたりして凌いでいました。
関係者全員に負担と対策のためのコストがかかる事態に陥っていたのです。
──1日8万食となると、何かあったら影響範囲も甚大ですね。
大久保氏: まさにその通りで、一度トラブルが起きると全国400社近いクライアントから「食材が届かないぞ。どうなっているんだ!」とお叱りの電話が鳴りやまなくなります。この対応は土日祝日関係なく365日続くので、担当者の緊張感と疲労も限界に達していました。
もっとも、クライアントから弊社が注文を受ける「受注系」は、自社で開発した宅配プラットフォームの基幹システムが担っています。
しかし弊社が食材をメーカーに注文する「発注系」が手つかずで、Excelでの手作業管理だったのです。これがトラブルの温床でした。早期に「発注管理」をシステム化する体制が求められました。
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「我々にそんな時間は残されていません」 複雑な事情を理解してくれた製品パートナー
──基幹の受注系はしっかりとシステム化されていつつ、主に内部・自社の工程となる発注系もデジタル化・効率化が必須であることが判明したということですね。既存の基幹システムを改修・拡張して対応する選択肢はなかったのでしょうか?
大久保氏: もちろん考えました。しかし、自社のシステム部門とその基幹システムの開発ベンダーさんは当時、別の緊急性の高い対応で手一杯の状況で、我々の発注系の機能・仕組みを追加開発してもらうには相当な時間がかかることが予想されました。
毎日鳴り響くクレームの電話を前に、我々にはそんな時間は残されていませんでした。
そんな危機感から専門のSaaSを導入する方が早いと判断したのです。

全国一律のメニューで日々8万食の宅配弁当を供給するやどかり弁当。こちらはある日のメニュー例
──そこで発注ナビのIT製品相談・紹介サービスへご相談いただいたのですね。製品への要件、製品選びで重視したことは何でしたか?
大久保氏: 製品を探す上で最も重視したのは「弊社の複雑な業務をどこまで理解してくれるか」です。
日替わりメニューの膨大なレシピ、店舗(クライアント)ごとの販売個数に応じた需要予測、そして食材ごとの発注率の違いなど、我々が求めた要件はかなり多く、複雑でした。そして、この特殊性を理解してもらえなければ、根本的な解決には至らないと考えていました。
──発注ナビのIT製品相談・紹介サービスより複数社を紹介した中で、最終的にサンカ株式会社の「Sanka」を選ばれました。その理由、決め手となった要素は何でしたか?
松田氏: 決め手は、ベンダー担当者の圧倒的な「理解力」でした。発注ナビがセッティングを代行してくれた最初の商談・ヒアリングから、我々のビジネスモデルや課題を的確に捉え、非常にスムーズに会話に入り込んできてくれたのです。「この人たちとなら、一緒に課題を解決していけそうだ」という強い期待感を抱きました。
大久保氏: 「費用感が明快」だったこともポイントでした。初期費用としてカスタマイズコストはかかりましたが、月額費用は利用アカウント数に応じたサブスクリプション型で、今後もコスト管理がしやすいと感じました。
正直、SaaSであってもここまで安価に始められるとは思っておらず、プロに相談して初めて分かった発見でした。














