クラシックコンサートを退屈させないためのPDA
米国のクラシック音楽のコンサートでは毎回、指揮棒が振り上げられるや否や、少なくとも30%の聴衆が“興奮性痴ほう症”に悩まされる。その悩ましさはコンサートが終わるまで続き、症状は、結核かと思わせる咳払いから、キャンディーを包むセロファンを外して打楽器に合わせビリビリ音を立てたいという衝動までさまざまだ(うたた寝、いびきをかくなどの症状もまれにあり)。
こういう状況では、たとえ演奏曲を知っていたとしても、音楽ホールで集中するのは難しい。どの曲も知らない場合は、もうどうしようもない。要らないセロファンの包み紙で歯のそうじでもしていた方が、有効な時間の使い方かもしれない。
だが、かすかな希望が見えてきた。それはPDAの画面の中にある。ニューヨーク・フィルハーモニックなど幾つかの交響楽団が、後援者を増やしてコンサート来場客にもっと楽しんでもらおうと、「Concert Companion」というPDAベースのプログラムのテストを進めている。これは、現在演奏中の曲目についてリアルタイムで論評を流すプログラム。Concert Companionを手にした聴衆には、PDAの画面を通して始終ためになる情報が送られるため、理論上、居眠りしたり破壊的行動に出る確率が減るはずだ。
この製品の生みの親はローランド・バリエール氏。カンザスシティー交響楽団のエグゼクティブディレクターを2002年6月に退任し、以後、テクノロジーを使ってクラシックのコンサートに新たな聴衆を呼び込む手段を模索するため同楽団の出資で設立されたベンチャー企業を率いている。同氏は先月、New York Times紙上でConcert Companionについて、「これはコンシューマーに選択肢を与えるものだ。音楽の鑑賞にのめり込める人には、スクリーンは気が散るだろう。だが初心者は、マルチメディアなアプローチをクールと思うかもしれない」と語っている。
現状の計画では、専用端末として設定されたPDAを、Concert Companionとして聴衆にレンタルする予定。しかし最近の批評をみる限り、まだ製品の洗練化が必要なようだ。
New York Timesの6月6日日曜版でマイク・ヘイル氏は、ニューヨーク・フィルハーモニックのコンサートで、自分のConcert Companionは3度もフリーズし、妻に至っては「OSをハッキングしてソリテアを楽しむのに成功した」と報じている。
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