オンライン小売業者がつくる団体Merchant Risk Councilが、オンライン犯罪者の一掃を図る米司法省の「Operation Web Snare」に手を貸し、オンライン詐欺師の逮捕劇に貢献したと明らかにした。
同団体は、盗まれたクレジットカードと口座情報を使って米小売サイトで商品を注文していたナイジェリアの犯罪者の逮捕に貢献した。同団体は、連邦当局およびナイジェリア警察と協力し、米国の電子商取引サイトで購入された商品のダミーを発送し、それを追跡した。ClearCommerce共同創設者でMerchant Risk Councilの共同議長を務めるジュリー・ファーガソン氏によると、この荷物の受取人は逮捕され、捜査官が盗難クレジットカードを使って商品を購入していた詐欺グループを取り締まる一助になった。
ジョン・アシュクロフト米司法長官は8月26日、オンライン詐欺などのインターネット関連の犯罪取り締まりに向けて司法省が大規模に展開したOperation Web Snareによって、103人を逮捕したと明らかにした。この取り組みでは、オンラインの個人情報盗難や、銀行口座やクレジットカードの番号を引きだそうと正規のメールを装ったメールを送りつけてくる“フィッシング攻撃”など、さまざまなインターネット関連の犯罪に対し、全米で160件の捜査が行われた。
Merchant Risk Councilは、加盟各社、政府機関のインターネット詐欺苦情センター(IFCC)および連邦捜査局(FBI)の取り組みの調整にあたった。加盟各社は、自社サイトでナイジェリアのオンライン詐欺師が購入したと思しき商品を追跡した。こうした購入製品はしばしば途中で別の運送業者を経由する。こうした米国の業者はオンラインで注文を受け、最終目的地まで荷物を運ぶ。
加盟各社はこうした出荷を見つけた場合、ナイジェリアで現地のEconomic Financial Crimes Commission(経済・金融犯罪対策委員会)をトレーニング中のFBI捜査官に連絡した。各社はたびたび、「コントロールドデリバリー」と呼ばれる偽の包みを最終目的地に向けて送り、目的地では受取人逮捕のためにナイジェリア当局が待機していたとファーガソン氏は話している。
加盟各社は30日間で、コントロールドデリバリーを14件発送、これが総額34万ドル相当の詐欺に従事した17人の逮捕に至ったという。
ファーガソン氏によると、ナイジェリアの逮捕者17人は、司法長官が26日に発表した103人のうちには含まれていない。
オンライン小売業者は、詐欺の手口を使った購買を突き止めるため、別々のクレジットカードを利用した複数の購買がすべて同じIPアドレスから行われたといった不審な行動に使われたIPアドレスなど、多数の手がかりを得ようとしたという。
ClearCommerceのソフトを使えば、一部の小売業者は、詐欺師によって乗っ取られ、“プロキシ”として悪用されているホームコンピュータからの取引を突き止めることもできるとファーガソン氏は説明している。
オンライン犯罪者はフィッシング攻撃を頻繁に仕掛け、商取引サイトのセキュリティ機能を十分すり抜けられるだけのクレジットカード情報や個人情報を手に入れ、またクレジットカード口座の請求書送付先を変更することまであるという。
Merchant Risk Councilは、1年前に「Merchant Fraud Squad」「Internet Fraud Round Table」という同種の2団体が合併して設立された非営利団体。啓蒙とベストプラクティスの推進により、サイバー詐欺や個人情報盗難を防ぎ、オンライン小売業者にオンラインのリスク管理向上を促すことを目指している。
同団体には6500社以上のメンバーが参加。理事会にはAmerican Express、Amazon.com、Barnesandnoble.com、Apple Computerやその他の小売大手幹部が顔をそろえている。
Copyright(C) IDG Japan, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR