市場調査会社の米Forrester Researchは12月14日、世界のPC人口は2010年までに、現在の5億7500万人の2倍の13億人近くにまで拡大するだろうとの予測を発表した。
欧米・アジア太平洋地域の成熟市場においては、2010年までのPC人口の増加は1億5000万人と予測される。一方、中国、ロシア、インドなどのエマージング(新興成長国)市場においては、2010年までに5億6600万人の新規増加が見込まれるという。エマージング市場のPC人口は、2003年が7500万人。2010年までの年平均成長率31%の見通しだ。
同社では、今後、DellやHPなどの業界大手と、エマージング諸国のPCメーカー間のシェア争いが激化し、業界地勢図に大きな変化をもたらすだろうと予測。今後は価格こそが浸透率の鍵を握ると指摘している。
同様のエマージング市場台頭予測は先日、Gartnerも発表している。PC業界ではGartnerの予測発表の直後、この予測を肯定するかのように、IBMが中国の聯想グループ(Lenovo)にPC事業を売却するという大きな発表があった(特集参照)。
Forresterのシニアアナリスト、サイモン・イエーツ氏は、「欧米PCメーカーの今日の製品が、長期にわたって市場を支配し続けることはないだろう。これに代わって中国のLenovoやロシアのAquariusなどのローカルPCメーカーが、PCフォームファクター、価格、アプリケーションの自国市場へのカスタマイズで優位に立ち、最終的には市場シェア競争を勝ち抜くだろう」としている。
Forresterの予測では、2010年までに各国で新たに増えるPC人口は、中国が1億7800万人、インドが8000万人、インドネシアが4000万人など。インドはIT業務委託先として有名だが、現状、PC浸透率はまだ低い。だが今後2010年までは、年率37%の増加が見込めるという。
Forresterの予測では、エマージング諸国では、当初は都市の富裕層がPCを購入するため欧米PCメーカーが恩恵を被ったが、最も市場規模が大きくローカルPCメーカーのメインターゲットである中産階級への浸透期に入り、地域に合った仕様と価格が重視されるようになる。さらに第3段階として農村部への浸透が期待されるが、この分野はPC業界にとって以前からの課題で、PCよりもむしろスマートフォンなどの代替技術が選ばれる可能性が高いという。
Forresterでは、こうした潮流は、欧米メーカーよりエマージング諸国のPCメーカーに有利なだけでなく、WindowsとLinuxの比較でLinuxに有利に働くと分析。また有線と無線の比較では、無線に有利だとしている。
同社は今回の調査で、中国、インド、インドネシア、ブラジル、パキスタン、ロシア、ナイジェリア、バングラデシュ、メキシコ、フィリピン、ベトナム、エジプト、エチオピア、トルコ、イラン、タイという16のエマージング市場を対象とした。
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