映画も音楽も――“音と機能にこだわった”ヤマハ新AVアンプレビュー(4/4 ページ)

» 2005年04月15日 00時00分 公開
[本田雅一,ITmedia]
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・DSP-AX757 希望小売価格 7万8750円

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 まず最初に感じたのは、下位の2機種とアンプ回路が同じとは思えないほど、きちんと調教され、音楽もジャンルを問わずに楽しめる製品に仕上がっているという点だ。この音質の違いだけでも、DSP-AX757を選ぶ価値があると思う。

 DSP-AX557と比較するとドンシャリ傾向が抑えられ、ニュートラルで自然な音域バランスになっている事に気づく。S/N感はさらに改善され、透明感すら感じる瑞々しさだ。電源部に使用しているコンデンサーによりグレードの高いものを採用している事もあってか、DSP-AX557で感じられた音離れの悪さや音量変化への追従の悪さといった印象が払拭されていた。

 実は発表前に本機の試作機を試聴した時には、ヤマハ伝統の上品さやクセのなさを重視した音だった。このため、ロックやポピュラー系の音楽を聴くのであれば、DSP-AX757よりもむしろDSP-AX557を好むユーザーもいるかもしれないとその時は感じた。

 しかし製品版ではより押し出し感や躍動感が強まり、元気が良くヌケの良い音へと進化していた。旧来のヤマハ的なクラシック系音楽向きの音を求めているのであれば、やや肩すかしと感じるだろうが、一般的にはこちらの方がウケはいいだろう。また決してクラシックに向かないわけではなく、全ジャンルを無難にこなす万能性がある。

 さらに本機にはビデオ回路をオフにし、オーディオ信号の経路からDSP回路をバイパスさせる(アナログ入力ではA/D変換も行わない)PureDirectモードがある。PureDirectモードを使えば、SACD/DVD-Audioプレーヤーからのアナログ入力で、きちんと高品質音楽ソフトの味を再現する力もある。もちろんCD再生でもPureDirectモードの方が、S/N感が向上し、解像度や情報量も増す。

 もちろん、これは当然のように映画ソフトでも感じる事だ。下位2機種よりもやや価格は高くなるが、機能面の充実や音質を鑑みれば、シリーズ中もっともハイコストパフォーマンスな製品と言えるかもしれない。

クラス随一のウェルバランスなDSP-AX757

 ヤマハはAVアンプのエントリーユーザー向け3製品に関して、映画を楽しむだけでなく、音楽を良い音で楽しんでもらえる事を意識したそうだ。確かに本シリーズのパワーアンプブロックの素性は悪くない。ユーザー層を考えれば、やや演出過多と感じる下位2モデルの音質チューニングも妥当なものだろう。

 ただし読者が、ヤマハが意図している“音楽も楽しみたいユーザー”ならば、3機種の中ではDSP-AX757をチョイスすることを勧める。下位モデルとの実売での価格差は2万円だが、オーディオアンプとしての実力の違い、YPAOや7チャンネルアンプ、入出力端子数の多さといった差別化要因を考えればむしろ“安い”と思えるほどの違いがある。おそらく、クラス随一のウェルバランスな製品と言っていいかもしれない。

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