憧れのフルHD DLP環境にすぐ手が届く――BenQ「W10000」(2/2 ページ)

» 2006年12月04日 00時00分 公開
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設定パラメータの追い込み

 では具体的な画質を見ていこう。

 まずは初期設定において気をつけたいのは、HDMI入力のセットアップ値(輝度レンジをフルに使うか、それとも余らせて使うか)がデフォルトでは0になっていること。通常、HDMIからの出力ではセットアップ値がついているため、これを7.5IREに変更しておかなければならない。HDMIの仕様では接続時のハンドシェイクでセットアップ値の交換が行われるはずだが、本機は自動的にこの設定を行わないためユーザー自身で設定をする必要がある。

photo 背面のインタフェース

 この設定を行ったあと、アイリスを調整し、視聴環境に合わせて輝度のバランスを取っていく。もっとも暗くした状態で10000:1になるようだが、この状態では80インチ程度の投影が望ましい。ランプを250ワットモードにすれば100インチぐらいまでは十分な輝度が得られるが、コントラストばかりにとらわれず、元気の良さも出る範囲内で追い込むようにしたい。

 もっとも、絞りを最小にした場合にコントラストが最大となるが、オープン時にもDLPとしては一般的なレベルは確保している。試聴環境に合わせてアイリスの明るさを調整した上でなら、コントラストに大きな不満を持つことはないだろう。十分に出力の高いランプを組み合わせていることもあり、アイリスを最適化すれば、白ピークの伸びたダイナミックな映像を楽しめる。

 次に画質設定に進もう。

 本機には画質設定のプリセットにシネマ、ホームシアター、ファミリールーム、フォト、ゲームの5モードが登録されている。このうちシネマとホームシアターを使って映画を視聴してみた。

 シネマとホームシアターは似た設定だが、プリセットはいずれも黒側がやや引き込み気味で暗部がやや潰れ気味に見えてしまう。加えて彩度を高めに引き上げてあった。これにより、全体に高彩度部の立体感が失われ気味に見える傾向があった。しかし、これらの傾向は画質調整を行うことで回避できる。

 たとえば、彩度をやや落とし、0〜2ぐらいの間で使えば、階調の破綻なく映像を楽しめる。出荷の画質設定は北米向けと同じとのことなので、やや色を濃いめに載せた設定が好まれる米国の嗜好に合わせているのかもしれない。

 またエッジをシャープに見せるためのフィルタがオンになっている。これがオンのままだと、輪郭が太く描かれややオーバーシュートが付いた絵になる。確かに輪郭が立って鋭くは見えるようになるが、特に元の映像がフルHDの場合は、このフィルタによって見た目の情報量が落ちてしまうため、基本的にオフにして使う方がいい。

 また“明るさ”という調整項目があるが、HDMI接続時において、この調整項目は一般的な家庭向けプロジェクターにおけるブライトネスセットとは異なる動作をする。具体的には明るくしても全暗部は明るくならず、白飛びも極端にはしない。なお、アナログ接続時では“明るさ”は通常のブライトネスと同じになる。

 さて、HDMI接続時、このパラメータはガンマ係数を変化させているようだ。デフォルトでは15に設定されているが、これを25ぐらいにすると暗い場面の多い映画ソースでは暗部の見通しが良くなる。ガンマ係数は規格上は係数2.2で合わせることになっており、本機もその設定に合わせて設計されているようだが、規格通りに作ると暗部階調が見えづらくなるのは、なにも本機だけの話ではない。若干、明るめにする方が(規格からは外れるとはいえ)良い結果が得られる。

改善されたホワイトバランス

 さて、映画向けに用意されているホワイトバランスの“暖色”は、おそらく6500度ぐらいの色温度を想定したものと見られる。初期の試作機ではこのモードを見るとややグレーバランスがずれており、若干、青が強く見えていた。

 これは特に赤の発色に影響し、フェラーリレッドが若干赤黒くなり、青が乗って紫方向にシフトしているように見えた。そこでホワイトバランスをマニュアルで調整すべく、RGBゲインを個別に調整。R値はそのままにG値を少しだけ絞り、B値を大きく減らした。

 ところが出荷仕様ではこの問題が見事に解決され、適度な温度感を持つ映像に変わっていたことを報告したい。純赤がやや暗めになる傾向はあるものの、ホワイトバランスを大幅に調整する必要はなくなった。

自分で画質を追い込めば高いコストパフォーマンスを発揮

 低価格・高スペックを実現したW10000だが、デフォルトのプリセットに関しては若干の修正が必要になるかもしれない。また、テストを通じてわかったことだが、1080iのハイビジョンソースに対してはI/P変換を行わないため、フルHDの高精細な表示能力を発揮させるには、送り出し側に1080P出力を持つHDMI対応機器を用意した方がいいだろう。

 しかし、そうした点を踏まえた上で、各ユーザーの好みに合わせた設定を行うことで、本機が持つポテンシャルを引き出せる余地は十分にある。価格がライバルの約半分ということを考慮すれば、使いこなしで上位製品にも十分対抗できるとするならば、100万円オーバーの製品との比較でも検討の余地も生まれてくる。

 DLPらしい切れ味の良さは十分に持っており、質の高いフルHDソースを映せば、素晴らしく精細感の高い映像を見せてくれる。心配された周辺光量落ちはなく、お買い得度の面で本機ほど注目度の高いフルHD DLPは存在しない。

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制作:ITmedia +D 編集部/掲載内容有効期限:2006年12月31日