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圧倒的なコントラストのホーム向けフラッグシップ機──BenQ「PE8720」

» 2005年10月01日 00時00分 公開
[ITmedia]
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 BenQ(ベンキュー)は、現在世界中で急速にブランド力とともにビジネスを拡大している大手IT家電メーカーである。特に同社は3Cマーケットと呼ばれるComputing=パソコン(PC&PC周辺機器など)、Communication=通信(携帯電話など)、Consumer Electronics=家電(オーディービジュアルなど)の分野に事業を集中させ、それぞれの機器を結びつけることで新しいデジタルライフスタイルを提案することを主眼においている。10月1日には正式にドイツのSiemens Information and Communication Mobile(シーメンスモバイル)を買収し、携帯電話の分野では世界4位のシェアを持つ企業となった。販売拠点はすでに世界27カ国以上に現地法人を持ち、最も売り上げの大きいヨーロッパを中心にアメリカやアジアの国々でビジネスを展開している。日本でも最近このブランドを耳にするようになったと感じるユーザーも多いことだろう。

 BenQが日本市場に初めてプロジェクターを投入したのは、2004年初頭。本体を容易に小型化できるDLPTM方式の特性を生かし、ビジネスプレゼンテーション向けにポータブルプロジェクター製品の供給を開始した。その後、積極的に数モデルのビジネス向け新製品をリリースしたのち、2004年末にはBenQ初のホームシアターモデル「PE5120」を発売。それまでの製品には「PB」とビジネスを示す型番がつけられていたが、「PE」の型番にはエンターテイメントの意味が込められているようだ。

 その次に日本で発売された「PE」は、HD2+と呼ばれる高解像度(1280×720)DMDチップ(0.8型)を採用した「PE7700」。同社独自の10ビットデジタル処理による画像補正技術“Senseye”も新たに搭載した。今年6月に発売されたばかりなので、記憶に新しいという方もいるだろう。また、PE7700はヨーロッパで最も権威のあるビジュアル賞であるEisaプロジェクターオブザイヤーを受賞していることからもBenQのプロジェクターのクオリティーの高さはすでに広く世界で認められていることが分かる。

 今回紹介する「PE8720」は、「PE7700」の上位機種にあたり、また、海外ではすでに発売されている「PE8700」の後継機種という位置付けになる。

photo BenQのホームシアター向けプロジェクター「PE8720」

 「PE8720」の最大の特徴は10000:1という圧倒的なコントラスト比にある。「PE8700」の2000:1(HD2チップのため)、「PE7700」の2500:1と比べ、大幅な向上を果たしているわけだ。この高いコントラスト比には、黒レベルに優れたDarkChip 3技術を盛り込んだ、最新DMDチップの採用が大きく貢献しているが、さらに、最近多くのプロジェクターが採用している電動アイリスとの併用で、飛躍的な伸びを実現した。

 光源は250ワットランプ、光学ズームは1.35倍という点では「PE7700」とほぼ変わらないのだが、本体サイズは幅492x奥行き393x高さ195ミリとやや大きめ。前面中央には6センチ前後のレンズが据え付けられ、そのすぐ右には排気口が配置されている。右側面は吸気ファン、前面では排気ファンが常時回転しているのだが、おそらく、本体の大きさを生かして、大口径ファンを低速回転させているのだろう。動作音はかなり静かなレベルといえる。

 さらに、ファンだけの工夫ではなく、システム全体に動作音を低減するインレットマフラーを適用。1チップDMDには不可欠となるカラーホイールには、アンチバイブレーション素材を採用してメカニカルな振動を抑えた(ちなみに、カラーホイールにはNDグリーンフィルターが追加され、8セグメント構成になっている)。

photo カラーホイールは8セグメント構成

 この結果、標準で25デシベル、エコノミーモード(Whisper Mode。日本語メニューでは小音量モード)では23デシベルという低い動作音を獲得している。実際、エアコンの風切り音に掻き消される程度の音だ。また、内蔵されたマフラーはノイズを減らすだけでなく、光漏れを防ぐ構造にもなっているという。

 本体のデザインは、前面や側面はエアインテーク/エグゾースト部が目立ち気味ではあるが、上面(天板)の仕上げはなかなか魅力的である。光沢のあるホワイトボディを基調に、余裕のある大きさでシルバーの操作パネルを配置。そこへ必要最小限のボタンを、バランスよく整列している。

photo 「PE8720」の背面インタフェース。HDMI端子もしっかり搭載している

 サイズが大きいとはいえ、重量は9キロとさほどではなく、設置時や移動時にも特に問題とは感じなかった。投影距離はズームで調整ができるが、ワイド100インチ画面の場合で4〜5.4メートルと、いずれにせよ、やや距離をとる必要がある。ただ、垂直方向へのレンズシフト(上下各120%まで)を新たに搭載したため、その点では設置しやすくなった。ズーム/フォーカス/レンズシフトはすべて電動で動作し、リモコン上に横一列に並んだ「ZOOM」「FOCUS」「LENS」ボタンを押せば、カーソルキーによる操作で調整可能になる。

 また、電動アイリスに関しても、「ZOOM」などと同様に手動操作(39段階)ができるため、部屋の明るさや映像ソースによって、その都度、自分で輝度やコントラストを調整してもいい。アイリスを上げれば(絞りを小さく)高コントラスト、下げれば高輝度が得られる。

 ズーム/フォーカス/レンズシフトが可動する時の動作音はほとんどしないが、アイリスの調整時は「ゴ、ゴ、ゴ」と少し音がする。ただ、アイリスは画像設定のプリセット項目としても含まれているため、プリセットを呼び出して、あとは微調整程度という使い方になるだろう。

 プリセットは「シネマ」「ホームシアター」「ファミリールーム」「フォト」「ゲーム」の5モードが用意されている。

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 「シネマ」は絞りを小さくして輝度を低めにするとともに、彩度とコントラストを重視した設定で、暗い部屋で映画を観るのに最適だ。「ホームシアター」では「シネマ」よりもやや輝度が高くなるよう、アイリスを中間あたりに設定。少しだけ明るい部屋で観賞する場合に選ぶといい。

 また、「ファミリールーム」は絞りが最大で、輝度は最高レベルとなる。明るい部屋でハイビジョン番組や明るめの映画を観るときに適している。あとはいずれも輝度が高く、「フォト」は色温度が低め、「ゲーム」は色温度を高めにしつつ、シャープネスを上げた設定のようだ。

 スクリーンに投写される映像は、BenQ製品らしく濃厚な色のりでありながら、すっきりとした抜けのよさも兼ね備えている。また、映像の奥行きが増し、よりいっそう立体感が向上したようだ。さらに「ファミリールーム」でハイビジョンを表示している際には、直視型に近いとまで感じられるような、高コントラストかつ色彩に溢れた表示を提供してくれるので、明るい部屋でも十分に美しい情景を堪能できる(もちろん、暗くしたほうがなおいいが)。

 これまでのPEシリーズでは、インタレース映像をプログレッシブ化する際の処理がやや弱いという声もあった。そのため、この機種ではデインタレース処理に、ファロージャのDCDiプロセスを採用した。入力映像に応じて、3-2プルダウンなどの最適な処理を施すため、標準NTSC信号をソースとした場合でも、ジャギーノイズが極力抑えられる。

 この「PE8720」は、BenQのホームシアター向けプロジェクターとしてフラッグシップとなるだけでなく、既存のDLPTM方式のホームプロジェクターとしても最高位のスペックとなる製品だけに、映像品質は高く、また、各種調整もより多彩だ。これまでの機種で追加が望まれていた機能も、ほぼすべて盛り込んでおり、すでに死角はなくなったといえるだろう。ホームシアター分野への、BenQの並々ならぬ意欲が感じられる製品である。

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提供:ベンキュージャパン株式会社
制作:ITmedia +D 編集部/掲載内容有効期限:2005年11月30日