「ロストテクノロジーになりかけた」、OTOTOYが語るDSD復活の裏話
※本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
オトトイは、東京・渋谷の「ヒカリエ」でDSD音源の魅力を“体感”できるイベント「OTOTOY DSD SHOP」を12月19日から25日の予定で開催している。初日の夜にはオープニングイベントが行われ、いち早くDSD配信を手がけた“仕掛け人”たちが、この1年半を振り返りながらDSD音源の魅力を語った。
DSD(Direct Stream Digital)は、1999年に登場した1bit方式オーディオフォーマット。ポストCDを狙ったSACDに採用されたものの、専用プレーヤーが必要なことやタイトルのジャンルが限られていること、また「リッピングしてiPodに入れることができない」などの要因もあって普及していない。OTOTOYがDSD配信を始めた2010年頃には、「状況としては、すでにアゲンストだった」(サウンド&レコーディング・マガジンの國崎晋編集長)という。
一方、楽曲収録の現場でも「Pro Tools」のように“PC1台とソフトがあればマスタリングやオーサリングができる環境”が全盛となり、時間とコストのかかるスタジオ収録やマルチトラックレコーディングのしにくいDSD録音は下火になっていた。國崎氏は、「録音フォーマットとしてのDSDは非常に優れているのに、すでにロストテクノロジーになりかけていた」と振り返る。これを「絶やしてはいけない」という使命感から、OTOTOYにDSD配信の構想を持ちかけたという。
ただし、配信が始まっても、当初はコルグ「MR-1」など再生環境が極めて限られており、また数Gバイトが当たり前というDSDの容量もあって、サーバの能力やユーザーサポートなど苦労も多かったようだ。それでもハイレゾ音源の流れとともに順調に認知され、DoPなどの技術革新も手伝って状況は大きく変わった。今年後半にはDSDのネイティブ再生が可能なUSB DACがメーカー各社から登場するまでになっている。
自らも大のオーディオ好きという高橋氏は、各社の製品を試聴して、「DSDの良さは共通でも、各メーカーのカラーがしっかり出ている。今までは“コルグの音”を聴いていたことが分かった」という。「オーディオファンとして楽しみが増えた」。
OTOTOYでは、DSDによるライブレコーディング楽曲の配信に力を入れている。今回のイベントでもアーティストのRie FuさんやSuaraさんの楽曲を公開録音し、即座にOTOTOYで配信するといった企画を用意している。「DSDは、その瞬間、その場所の空気を“イイ感じ”に切り取る。例えば飲食店を使ったライブ音源なら、食器を片付ける音も入るが、それがすべてリアルで、しかも嫌な感じがしない。これがPCMでは気になるから不思議」(高橋氏)。
また、「OTOTOY DSD SHOP」のオリジナル・テーマソングとして制作されたDE DE MOUSEの「sky was dark(sky was dark session)」の配信を12月20日にスタート。こちらは下高井戸にあるコルグ直営のスタジオで、世界に3台しかないDSDレコーダー「Clarity」を使用して収録したものだ。
「マルチトラックレコーティングと違い、ライブレコーディングではアーティストも気合いを入れて演奏してくれる。生演奏ができるミュージシャンにとっては面白い作業。やり直しのきかない不自由さがいい」(國崎氏)。
OTOTOYの竹中代表は、この1年半でDSD配信が順調に認知を広げてきたことにふれながら、「以前は、なぜか“高音質”というとクラシックやジャズばかりで、そのファン層しか楽しめなかった」と指摘。集まったオーディオファンに向け、「OTOTOYはポピュラーな楽曲の“高音質”を提供したい。今後も高音質路線を強力に進めていく」と約束した。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
本日の新着記事
アクセスランキング
-
1
「菜の花がおかしい」――イラストレーター制作うたうマラソン大会ポスターに指摘相次ぐ 事務局がAI使用明かす【訂正あり】
-
2
「ペンギンを返して」 Suica新キャラ候補3案公開でSNSに戸惑いの声 一般投票は8日から
-
3
くら寿司、10%割引の“適用漏れ”を謝罪 レシート持参で返金へ ちいかわコラボのお詫び施策
-
4
幻の「ちいかわ」コラボ第3弾皿、捨てちゃうの? くら寿司に聞いてみた
-
5
iPhone 18シリーズ発表、今年はPro・Pro Maxのみ なんと“無印”なし 価格は21万9800円から
-
6
藤井風のリサイタル、公式サイトがインターネット老人会すぎると話題 公民館のチラシみたいだけど東京ドーム開催
-
7
「iPhone Duo」発表 Apple初の折りたたみスマホ 36万4800円から
-
8
「ランジェリーパープルじゃない」「買おうと思ってたのに」 iPhone 18 Pro/Pro Maxの色に落胆の声
-
9
「ペンギンを返して」→「3匹全部採用して」 批判殺到のSuica新キャラ、ファンアートが空気を変えた? SNSの声
-
10
農水省の“クソダサ”ポスター話題 「AIよりよっぽど良い」の声も 担当者に狙いを聞いた
ITmedia NEWS SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaNEWSをフォロー
あなたにおすすめの記事PR