オーディオの設計思想をテレビに、新生オリオン電機から「極音」登場
オリオン電機は9月1日、液晶テレビの新シリーズ「極音」(きわね)を発表した。オーディオ製品の設計思想を持ち込み、薄型テレビの音質改善に取り組んだ意欲作だ。32V型「RN-32SH10」と24V型「RN-24SH10」の2サイズを10月上旬に発売する。
福井県に本拠を置くオリオン電機は、創業50年を超える老舗テレビメーカーだ。過去40年余りで自社ブランドとODM(相手先ブランドでの設計・製造)で2000万台以上のテレビを製造してきたが、2015年に国内投資ファンドのブレイン・アンド・キャピタルホールディングス(BACH)に事業を譲渡している。“日本流の企業再生”を目指すBACHは経営陣を一新。元ディーアンドエムホールディングス社長の市川博文氏を常務取締役に迎え、テレビ事業の旗振り役を任せた。
オーディオメーカーの経験が長い市川氏が、薄型テレビでは軽視されがちな“音”に着目したのは自然なことだろう。同じように国内の老舗オーディオブランドで実績を重ねたエンジニアたちとともにHi-FIオーディオの考え方を持ち込んだテレビ作りに着手する。極音シリーズは、この新体制から生み出された第1弾商品といえる。
32V型テレビに20W出力の2Wayスピーカー
目指した音は、「自然で聞きやすく楽しめる」「くつろぎと安らぎを与える」というもの。テレビに使われるスピーカーユニットからキャビネットの構造、アンプ回路などすべてを見直した。
例えばスピーカーのキャビネットに当たる部分には、ポリカーボネート入りの肉厚ABS樹脂で剛性を高め、独立した空間を確保。オーディオの基本に習ってビス留めとパッキンで“エア漏れ”のないキャビネットを作った。設計に関わったエンジニアは、「テレビのスピーカーは“エア漏れ”のあるケースが多い。これはコストの問題というより、設計の際に“気を使うか”どうかだ」と指摘する。
フルレンジのスピーカーユニットは、クラス最大級の長方形マグネットを搭載したマレーシアFPI製のものをチョイス。複数の国内メーカーからもユニットを取り寄せてチェックしたが、大きくて重いマグネットでパワフルな音を出せることが決め手になった。
ウーファーを設けるスペースはなかったためバスレフ式とし、キャビネット内に長いダクトを設けて低音を補強。ポートは前方に向けた。すると高域が不足気味だったため、高分子材料を採用する軽量振動板の35mmバランスド・ドームツイーターを加え、高域の補強とともに音の反応速度(音の立ち上がり/立ち消)を改善した。これを外側に角度を付けて配置したことにより、32V型テレビのサイズからは想像できないワイドな音場を実現している。
アンプは、32V型テレビでは珍しい20Wクラス。フィルムコンデンサーなどにはオーディオ製品にも採用されるものを使うなど回路全体を電源から見直した。外側には着脱可能なサランネットも備えており、「サランネットは音の透過率から吟味した。また、ネットを外したときの見た目にもこだわった」という。
サウンドモードもオーディオのエンジニアが試聴を重ねながらチューンアップしたもの。コンテンツの種類を選ばずに使える「おすすめ」モードのほか、音楽番組に適した「ミュージック」、ニュース番組やドラマのセリフを聞きやすくする「はっきり音声」という3モードをプリセット。さらにユーザーの好みでイコライザーを調節できる「お好み設定」モードも用意している。
3年間のメーカー保証
テレビとしての基本機能にも手は抜いていない。液晶パネルは1366×768ピクセルのWXGA解像度ながら、自社開発のLEDバックライトと組み合わせてNTSC比で約85%の色域を実現。いわゆるブルーライトを最大50%軽減する機能もあり、ディスプレイ用途にも適している。
テレビチューナーは、地上/BS/CS110度デジタルが各2基。別売のHDDをUSB接続すれば、テレビ視聴中でも裏番組を録画できる(2番組同時録画は不可)。入力端子はHDMIが2系統およびPC用のミニD-sub 15pin。外部デバイスに給電するための専用USB端子も用意した。
極音シリーズは、10月に発売予定。価格はオープンプライスだが、店頭では32V型が4万5000円前後、24V型は3万5000円前後になる見込みだ。いずれも3年間のメーカー保証が付く。
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