マニュアル派にもうれしいメガピクセル3板機 「HDC-HS300」:特集 春のフルHDビデオカメラ(7)(2/2 ページ)
ビデオカメラに独自の3MOSを採用するパナソニック。新モデルの「HDC-HS300」ももちろん3MOSだが、操作系にもひと工夫凝らされており、マニュアル派にもおすすめしたい製品に仕上がっている。
マニュアル撮影にこだわる向きにもうれしい
こうしたカメラ任せの撮影も十分楽しいが、フォーカスやシャッター速度、絞り値といった設定を自分で調整しながらの画を作りこむ楽しさも、HDC-HS300の魅力の1つ。液晶モニターのヒンジ近くに用意されたFUNCTIONボタンを押すと、オートモードからマニュアルモードへと切り替えることができ、シャッター速度、カメラの明るさ(絞りとゲインアップが連動)、ホワイトバランス、フォーカスを意のままに操ることが可能になる。
何より、マニュアルフォーカスをレンズ鏡筒部分のリングで調整できるのがこだわり派にはうれしいところだろう。フォーカス操作を行なうと画面中央部が拡大され、ピントの山をつかみやすくなるのもありがたいし、リングの粘りも適切で、気持ちよく操作できる。なお、このリングはオートフォーカス時にはズームやアイリス、ホワイトバランス、シャッター速度の設定にも使えるマルチマニュアルリングとして機能する。
また、細かいところでは、手ブレ補正機能のオン/オフを行う専用ボタンが用意されているのも今回の特集で紹介した製品では本製品だけだ。三脚にのせたときは、補正によりかえって動きが不自然になる場合もあるため、手ブレ補正はぜひオフにしたいので、三脚を多用する向きにはこちらも外せないポイントといえる。
ただ、液晶モニターを見ながらの撮影時は、フォーカス以外のマニュアル設定はタッチパネルで操作する必要があり、この操作感はいまひとつ。各項目がアイコンで表示されるのはわかりやすいが、アイコンが画面を占有する割合が大きいのだ。操作音をオフにすると、パネルに触れた際のクリック感を感じにくいのも惜しい。液晶モニターを閉じてファインダーをのぞくようにすれば、マルチマニュアルリングが使えるようになるので、好みに合った操作方法を選択したい。
なお、液晶モニターは明るく見やすいものの、解像度はフルHDビデオカメラとしてはまだまだ粗い印象で、誤ってマニュアルフォーカスのまま撮影を続けるようなミスが起きないとも限らない。そこで、オートモードではマニュアルフォーカスが無効になるよう配慮がなされているほか、おまかせiAボタンをオンにするだけで、マニュアルモードからオートモードに切り替わるのも親切だ。
インターバル撮影やテレマクロ、1080/24pで記録する「デジタルシネマ」といった付加機能も盛り込まれ、表現の幅も広い。HDC-HS300は、優れたオートモードとこだわりのマニュアル機能を高いレベルで両立させているのが最大のポイント。カメラ好きなお父さんが「私も使うけど、面倒な操作はしたくない」というお母さんを説得できるだけの内容を持った1台だ。
作例
静止画はアスペクト比3:2(3984×2656ピクセル)で、動画は最高画質モードの「HG」(1920×1080ピクセル)で撮影した。設定のカスタマイズは行わず、おまかせiAも有効としたフルオートで撮影している。
HGモード(1920×1080ピクセル)からのスクリーンショット。噴水を背景に女性を撮影したところ、「おまかせiA」をオフにしていると噴水にAFと色再現を合わせる傾向にあったが、オンにすると「顔認識モード」を作動し、顔を中心としたAF/色再現が行われた
HGモード(1920×1080ピクセル)からのスクリーンショット。おまかせiAによって「ローライト」と認識されたが、低照度の被写体にはさほど強くない印象を覚える。ただ、雰囲気は上手に再現しているし、感度を上げすぎないのには好感が持てる
関連記事
- 特集 春のフルHDビデオカメラ(6):HDカメラの新たな可能性を開く1台 “ハンディカム”「HDR-XR520V」
撮像素子やレンズ、手ブレ補正まで含めたフルモデルチェンジを遂げた“ハンディカム”「HDR-XR520V」。この春一番とも評判の高い機種だが、そのデキはいかに。 - 特集 春のフルHDビデオカメラ(5):基本スペックの見直しでさらなる高みへ “iVIS”「HF S10」
“ダブルメモリー”のヒットが記憶に新しいキヤノンが新春に投入するのは、鏡胴そのもののような「iVIS HF S10」。レンズや撮像素子といった基本性能を高め、幅広い層へオススメできる製品となっている。 - 特集 春のフルHDビデオカメラ(4):独自の操作性も楽しいコンパクトモデル “Everio”「GZ-HD320」
小型ボディで気軽に携帯するをコンセプトにヒットした“Everio”「GZ-MG330」のフルHD版もいえるのが、今春モデルの「GZ-HD320」。フルHDビデオカメラとは思えないほどのコンパクトさが魅力だ。 - 特集 春のフルHDビデオカメラ(3):縦型スタイル継承、フルHD/60pに対応“Xacti”「DMX-HD2000」
独自のグリップスタイルで人気を博してきたXactiシリーズ。防水モデルもハイビジョン化したが、今回はついにフルHD/60pに対応したフラグシップモデル「DMX-HD2000」をチェックしよう。 - 特集 春のフルHDビデオカメラ(2):DVDライター?それともPC編集?
今春のフルHD対応ビデオカメラは、AVCHD形式で内蔵メモリ/HDDに映像を保存する方式が主流。今回はビデオカメラのデータ保存や編集の方法について見ていこう。[ - 特集 春のフルHDビデオカメラ(1):フルHDビデオカメラ、今春モデルのトレンド
今年もビデオカメラの新製品が登場する時期になった。今シーズンはフルHDは当たり前、ワンランク上の性能や機能を備え、買い換えの検討に値する製品が増えた。まずは今シーズンのトレンドを確認しておこう。 - 三洋電機、フルHD/プログレッシブ対応の新Xacti
ビデオカメラ「Xacti」に、フルHD/プログレッシブ記録に対応機種が登場。シリーズ初となる横型ボディ採用タイプも用意された。 - おしゃれに携帯するハイビジョンムービー、ビクター「GZ-HD300/320」
日本ビクターが、スリム&コンパクトデザインのHDDムービーカメラ“Everio”「GZ-HD300/320」を発表。昨年のヒット商品「GZ-MG330」のコンセプトをそのままにハイビジョン化した。 - キヤノン、より高画質な8メガCMOS“ダブルメモリー”「iVIS HF S10」
キヤノンがデジタルビデオカメラ“iVIS”「iVIS HF S10」を発売。ダブルメモリーや24Mbps記録など好評の機能はそのままに新開発の859万画素CMOSセンサーを搭載や大口径レンズ、DiGiC DV IIIでさらなる高画質化を果たした。 - ソニー、新CMOSとGレンズで“画質革命”のGPS搭載 新ハンディカム
ソニーが裏面照射の新型CMOSセンサーとGレンズで画質を高めた“画質革命”ハイビジョンハンディカム「HDR-XR520V」「HDR-XR500V」を発売。GPSも搭載する。 - パナソニック、“新3MOSセンサー”搭載のHDビデオカメラ「HDC-HS300」など計4製品を発表
パナソニックは、総画素数915万画素を実現した“新3MOSセンサー”搭載のHDビデオカメラ計4製品を発表した。 - ソニー、軽量コンパクトなSDハンディカム
ソニーが8Gバイトのメモリを内蔵した、SD解像度のハンディカム「DCR-SX41」を発売。 - ソニー「気軽にハイビジョン」なメモリ&HDDハンディカム
ソニーがハンディカム「HDR-CX120」「HDR-XR100」を発売。いずれもハイビジョン録画可能ながらコンパクトなサイズとなっており、気軽に撮影を楽しめる。 - パナソニック、70倍ズーム搭載のモバイル向きコンパクトビデオカメラ「SDR-H80」
パナソニックは、SD画質タイプのコンパクトビデオカメラ「SDR-H80」を発表。光学70倍ズームを備える。 - レビュー:フルHD動画撮影も可能な万能カメラ――キヤノン「PowerShot SX1 IS」
キヤノンから、高倍率ズーム搭載のデジタルカメラ「PowerShot SX1 IS」が登場した。580ミリの望遠撮影からフルHD動画撮影までこなす、オールマイティーさが魅力だ。 - 新製品タッチ&トライ:イチキュッパのHDビデオカメラ、「Vado HD」
1万9800円のHDビデオカメラ「Vado HD」。ほぼフルオート撮影のみと、ビデオカメラとしてはかなり割り切った仕様だが、内蔵ソフトでYouTubeへのアップもOKと、「手軽さ」では群を抜く存在だ。 - AVCHD Liteで“ちょい撮り”、12倍ズームのLUMIX「DMC-TZ7」
「AVCHD Lite」の採用で、撮影した動画をVEIRAやDIGAですぐに楽しめる“ちょい撮り”提案のLUMIX「DMC-Z7」が登場。 - 水中でもハイビジョン、Xacti「DMX-CA9」「DMX-WH1」
三洋電機から、720pのハイビジョン撮影が可能なデジタルビデオカメラ“Xacti”が登場。「DMX-CA9」は9メガCMOSセンサーを搭載、「DMX-WH1」は光学30倍ズームレンズを備える。 - エグゼモード、720p撮影可能な「YASHICA」ビデオカメラ
エグゼモードが720pでのハイビジョン撮影可能な“YASHICA”ブランドのデジタルビデオカメラ「YASHICA DVC807」を発売する。 - キヤノン、コンパクト化進めたSDダブルメモリーモデル「iVIS FS21」
キヤノンが“ダブルメモリー”のSDビデオカメラ「iVIS FS21」を発売。内蔵メモリを16Gバイトにしたほか、小型化も進めた。 - キヤノン、コンパクトになった“ダブルメモリー”「iVIS HF20」
キヤノンがデジタルビデオカメラ“iVIS”の新製品「iVIS HF20」を発売。ベストセラー「HF11」の特徴を引き継ぎながら、高画素化とレンズ倍率の向上を果たし、よりコンパクトに。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.