本田雅一のTV Style
有機ELが圧倒的に3Dテレビに適している理由
「2010 International CES」初日の取材でボロボロに疲れて早めに就寝。早朝5時に起床した筆者のノートPCに、担当編集から「ソニーの有機ELで見た3D映像のインプレッションとか、パナソニックの新パネルにパイオニアの技術は入っているの? とか、マニアックな記事が読みたいでーす」と、お気楽極楽なメールが入っていた。
ということで、この記事はCESの展示2日目が始まる早朝(日本は8日の深夜)に書いているホッカホカの出来たてだ。リクエストに応じて、まずは有機ELパネルを用いた3D映像についてリポートしたい。
有機ELパネルを用いた3Dディスプレイは、ソニーが24.5インチサイズのものを並べているが、実はサムスンも有機EL技術を用いた3Dディスプレイを会場に持ち込んでいた。筆者が訪れた初日午前のサムスンブースは凄まじい人だかりで、担当者に話を聞けなかったのだが、見たところ10インチ程度の有機ELパネルを用いてデモを行っているようだ。なお、サムスンは2009年秋、30インチサイズの3D有機ELディスプレイの開発に成功したとのニュースを発信している。
さてその印象だが、両者ともまったくフレームシーケンシャルであることを意識させない素晴らしいものだ。液晶に比べ、書き替え速度、応答速度が圧倒的に高速なため、映像信号に合わせて映像を走査しながら書き替えるのではなく、面のデータがそろった時点で一気に全画面の画素を書き替え、そのタイミングでメガネのアクティブシャッターを開閉する。残光時間も極めて短いため、クロストーク(左右の像が混ざって見える現象)が劇的に少なくなる。
という理屈はともかく、一目見ればその優位性はりょう然としている。有機ELディスプレイの画質が、そもそも液晶に対して圧倒的に優れているというのも印象を良くしている原因だと思うが、そうした面を差し引いたとしても素晴らしい。その3D品位は劇場向け3D上映方式(主に3種類ある)の、どの方式よりも優れて見えた。ハッキリいって圧倒的だ。
もっとも、どんなに素晴らしいといったところで、これら有機ELを用いた3Dディスプレイがすぐに手に入るわけではない。しかし、映像のインパクト、”未来感”に関しては今回のCESの中でも抜群の存在感を持っていると思う。
もっと製品に近いレベルでの話もするなら、この有機ELの品位にもっとも近い3D品質を実現しているのは、パナソニックのフルHD 3Dプラズマだ(→世界最大152V型の3Dテレビ、パナソニックが発表)。プラズマディスプレイは、すべての画素が同時に瞬間的に光るため、画素の書き替えに時間がかかる液晶パネルと異なり、表示タイミングに合わせて3Dメガネのアクティブシャッターを同期させやすい。このため、3Dメガネのシャッターが開いている時間が液晶を用いた3Dディスプレイよりも長く、フリッカー感がとても少ない。以前は、この原理的な良さがまだ引き出せていなかったが、製品版に近づいたInternational CESでの展示では徐々にパフォーマンスの神髄を発揮し始めている。
一方、液晶パネルを用いた3Dテレビに関してだが、ソニーもCEATECで見せたバージョンより改善していた。しかし、何より驚かされたのはサムスン製液晶テレビの3D品質だ。展示会場にあった液晶テレビの中では、もっとも3D品位が高い。
3D表示の品位は、各社とも最終製品登場までにまだ少し時間がある。発売までには、さらなる磨き込みが行われるはずで、現時点でのメーカー差がそのまま製品の品位に反映されるわけではない。しかし、液晶パネルを用いたフレームシーケンシャル方式の3Dディスプレイ開発では後発のサムスンが、ここまでの速度で開発してきたことは、正直なところ驚きだった。
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