地味ながらも有用な機能向上、ソニー「BDZ-RX105」を試す(後編)(2/2 ページ)
前回に続き、ソニーの新しいBlu-ray Discレコーダー「BDZ-RX105」を検証していこう。今回は、新たに設けられた10倍録画モードの画質評価をにくわえ、録画予約に関する基本的な部分に着目して試用する。
ERモードに関しては、もちろん画質の劣化は見られるものの、LRモードとの画質差も小さく、番組を選べば十分実用域の画質といえる。画面全体に動きが多いシーンでは前回レビューしたDIGA「DMR-BW880」同様にブロックノイズだらけの描画になることもあるが、アクションシーンなどがない番組であれば破たんを感じることはまれだ。BDへの保存用として使うには正直おすすめしないが、例えば自動録画機能の「x-おまかせ・まる録」を使って気になる番組をどんどん録画するといった用途なら十分に使えるレベルといえる。
強力な予約録画機能とキビキビしたユーザーインタフェース
ユーザーインタフェースは、従来製品からとくに変化はない。独自のXMB(クロスメディアバー)は機敏に動作し、画面あたりの情報量は欲張っていないものの、ストレスなくさまざまな操作が行える。ただ電子番組表は7/5/3列表示と一覧性では競合製品に見劣りするまま。より一覧性の高い表示を追加するのはアリだと思う。デジタル放送の番組表に関しては、広告表示も入らないタイプであり、大型テレビと組み合わせる場合にはもっと文字サイズを小さくしても十分に実用的だと思うのだ。
予約録画関連の機能では、キーワード、ジャンル指定で自動録画してくれる「x-おまかせ・まる録」、再生中の番組の出演者が他に出演している番組の検索と録画予約もできる「気になる検索」、話題の番組の紹介をしてくれる「x-みどころマガジン」などが極めて秀逸。また通常録画予約でも「番組名」での繰り返し録画が可能であり、放送日、時間の不確定な再放送番組などでも撮り逃さないあたりは便利だ。予約録画関係ではとくに新機能の追加などはなかったものの、現状でもっとも多機能、かつ練り込まれた製品であることに間違いはない。
クロスメディアバーは良くも悪くも独創的であり、必ずしも万人向けとはいえない。この点は2009年冬モデルで「らくらくスタートメニュー」が追加され、リモコンにも独立したボタンが設けられるなど、改善が進められてきた。らくらくスタートメニューは、クロスメディアバーを完全に置き換えるわけではないものの、初心者層にはぐっと分かりやすくなっている。機械は苦手という家族と共用する場合でも、以前のソニー製レコーダーと比べればハードルはかなり低いといえそうだ。
実用的な進化を遂げたかしこい録画マシン
前編の冒頭でも触れたが、本機は競合となるパナソニック、シャープの2010年モデルに採用されたMPEG-4/AVCによる2番組録画機能は採用されていない。むしろ、2009年冬モデルのマイナーアップデートに近い位置付けだ。
個人的にはMPEG-4/AVCの2番組録画が必須とは思っていないし、「画質にこだわるからTS録画しか使わない」という人も珍しくないはず。それでも、2番組同時AVC録画が可能になれば、「おまかせチャプター」や「おでかけ転送」用の並行エンコードが両方の録画ユニットで有効になるはずなので、メリットは大きい。もちろん、この点はソニーも重々承知しているはずだ。
一方、前編で触れたように大手テレビメーカー7社の製品を便利に操作できる「おまかせリモコン」は、実用性という点で意味の大きなものだ。同じく「おまかせ転送」の強化や10倍録画モードの採用も実用的な進化といえるだろう。ラインアップ全体に目を向ければ、スカパー!HD録画対応製品の拡充も同様のことがいえる。
中でも「おまかせリモコン」のアプローチは、テレビとレコーダーはセットという風潮に一石を投じるものだ。とくに「ソニー製品の自動録画機能に魅力は感じるが、手持ちのテレビが他社製品だから……」という理由で購入をためらっていた人にとっては魅力的。ソニーのBDレコーダーは、もともと独創的な魅力の強い製品だけに、こういう進化もアリだと思う。
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