うれしい“ニコイチ”? ソニー「STR-DN2030」の素性を探る:実売5万9800円(2/2 ページ)
ソニーのAVアンプ「STR-DN2030」は、コストパフォーマンスの高いAVアンプであり、ハイレゾ音源対応のネットワークプレーヤーでもある。筐体の中を見ると、それがよく分かる。
高速なネットワークエンジン(専用LSI)は、「YouTube」や「ベルリン・フィル デジタル・コンサートホール」などの動画配信サービスに対応。「SEN」(Sony Entertainment Network)を介して、さまざまなネットワークサービスを利用できる。もちろん、「ES Remote」にも対応。このあたりはTA-DA5800ESのインタビューを参照してほしい。
一方のHDMI基板にも最新の機能が盛り込まれている。例えば、8系統のHDMI入力のうち4系統は、SiliconImageの「InstaPreview」をサポート。ソース機器の映像を子画面表示できる。ただし、ノイズが音質に影響する可能性もあるため、設定でオフにできる仕様だという。3系統の出力は、テレビとプロジェクターなどの2Wayシアターはもちろん、セカンドゾーンHDMI出力にも対応した。
広帯域パワーアンプの素性
広帯域パワーアンプは、ソニーが6年前から手がけているアナログアンプ回路で、文字通り広い帯域が特長だ。それまで自社のデジタルアンプ技術である「S-Master PRO」を採用していたが、2006年秋の「TA-DA3200ES」からミドルクラスをアナログアンプに変更している(→ソニー「TA-DA3200ES」がアナログアンプに立ち返った理由)。
「一般的なアナログアンプの再生周波数帯域は100kHz前後ですが、150kHz以上に拡大したものを広帯域パワーアンプと呼んでいます」と金井氏。「通常、アナログアンプで帯域を100kHz以上にすると、外来ノイズの影響を受けて1/10(10kHz)あたりから位相が回転し、フォーカスが安定しないなどの悪影響が出ます。さらに、自分が発した熱によって音が変わってしまうといった難点もあり、他社では手がけていません。ただし、熱とノイズの影響を排除できるなら、音の良いアンプを安く作ることができます」と金井氏。STR-DN2030では、アルミ基板上にディスクリート回路を作成したモジュールとし、ノイズ対策と小型化を両立させた。「ノイズ対策は、作り込みのノウハウ勝負。しっかりやれば、スッキリした良い音になります。今回のSTR-DN2030でも、実測では150kHzどころか200kHzは出ています」(金井氏)。
「STR-DN2030」は、コストパフォーマンスの高いAVアンプであり、注目のハイレゾ音源に対応したアンプ一体型ネットワークプレーヤーでもある。ホームシアターとオーディオの両方に興味がある人にとって、ありがたい製品といえそうだ。
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