4K、新OS、そして曲がるテレビ……CESで占うテレビの新トレンド:2014 International CES(3/3 ページ)
今回の「2014 International CES」でテレビメーカー各社の展示を振り返ると、新しいトレンドが見えてくる。そして日系メーカーと中国、韓国メーカーのアプローチにも違いが出てきたようだ。
中国メーカーの展示ブースから見えてきた業界トレンド
今回のCESではHaire(ハイアール)、Hisense(ハイセンス)、TCLといった中国系家電メーカー大手が大規模なブースをラスベガスコンベンションセンター中央部に構えていたが、その展示内容は大画面に4K、有機EL、曲面ディスプレイと、昨今のテレビ技術のトレンドをすべて包含しており、これら先端の最新技術がCES会場でごく当たり前の風景として存在する状況を作り出す一因となっている。これで筆者が抱いたのは「パネル技術そのものでは、もはや差別化できない」という感想だ。中国系メーカーが猛烈な勢いでキャッチアップを続ける一方、韓国系メーカーは従来路線を貫き、日系メーカーはパネル調達方式に切り替えて高付加価値商品の利益率重視方針に転換するなど、昨今のトレンドが明確になりつつある。
技術的な優位性があっても、多少の差異ではテレビの価格競争の波にのみこまれてビジネスが成り立たない。実際、筆者が今回CES会場の近くにある家電量販店のBest Buyを訪問したとき、型落ちながらシャープの60インチ液晶テレビがわずか599ドルで販売されていた。これはiPadの32Gバイトモデルと同じ値段だ。
同クラスの最新モデルも他メーカー製品含めておおよそ1000ドル台前半で販売されており、もはやこの市場で一般的な顧客を相手にするだけでは利益にならないという印象さえある。「少しでもいい商品を違いの分かるユーザーに」という方針を日系メーカーに抱かせるのに十分な現状だと思う。そこで今回のCESでの日系メーカーの展示内容が高付加価値製品や高画質製品、BtoBに偏っていたのだと考えられる。
その意味では、ここ数年シェアを確保してきた韓国メーカーには厳しい状況が到来したようにも思える。価格競争力の面では中国系メーカーのほうが有利で、追われる立場の者には過当競争を抜け出すだけの技術的ブレイクスルーが見出せない。全方位ながらもユーザーインタフェースという点で製品改良を進めているLGに対し、今回のSamsungの「曲げる」ことを主眼に入れた展示はやや方向性を見失っている印象さえ受けた。こうした流れがはっきりとしてきた今回のCESだが、来年は各メーカーがどのようにトレンドを牽引していくのか。非常に楽しみだ。
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