Android版「HF Player」はどこまで“使える”か?――6台のスマホと4台のポタアンでハイレゾ再生を徹底チェック(4/4 ページ)
オンキヨー「HF Player」のAndroid版が正式版になった。Android端末でハイレゾを楽しみたいユーザーには注目のリリースといえるが、多彩なハードウェアが存在するAndroid版は、iOS版ほど簡単な状況ではない。手持ちのスマホとポタアンを総動員してチェックした。
Androidでハイレゾを身近にするアプリがようやく登場
Androidデバイスでは単体でのハイレゾ再生環境は一気に整いつつあるが、USBオーディオデバイスを組み合わせてのハイレゾ再生環境は遅れている。本来Androidデバイスの魅力であるハードウェアの多様性がアプリの開発、USBオーディオデバイスの対応を遅らせていることになるだろう。
「HF Player」のようにiOSデバイスとAndroidデバイスの両方に対応するとしても、検証を必要とするハードウェアが圧倒的に少ないiOS版が先行するのは当然で、USBオーディオデバイス側の対応もしかりだ。従来からUSBオーディオデバイスと専用プレイヤーアプリを提供する製品はあったが、USBオーディオクラスドライバはAndroid端末の実装に依存する場合が多く、ハイレゾ再生が可能なのは海外ベンダー製の一部のAndroid端末に限定されていた。
「Onkyo HF Player」もiOS版から遅れること15カ月強でようやくAndroid正式版の登場になった。筆者は首を長くしてリリースを待っていたのだが、予定より少し遅れて登場した正式版は期待を裏切らない出来だった。iOSデバイス向けのver.2.0の機能をほぼ包含し、Androidアプリとしてあるべき機能も提供されているし、凝った機能こそないが音楽プレイヤーアプリとしての使い勝手も満足できる水準にある。まだ数日しか使っていないが、動作が不安定になることもなかった。
筆者は今までハイレゾ音源の再生には「USB AudioPlayer Pro」を利用してきた。こちらも独自のUSBオーディオクラスドライバを内蔵する素晴らしいアプリだが、操作性に癖があり若干の動作不安定もあって、ハイレゾ音源を楽しむ時だけ使ってきた。しかし「HF Player」ならハイレゾ音源、非ハイレゾ音源を区別することなく、音楽プレイヤーアプリを一本化できそうだ。
また「HF Player」の話ではなくなるが、USBオーディオデバイス側のモバイル対応については、もう少しなんとかならないかと思う。具体的にはハイレゾ対応DAC内蔵のポータブルアンプだ。バッテリー内蔵の製品ではほとんどがUSBポートからの充電になっており、AndroidデバイスをUSBホストデバイスとして接続するとAndroidデバイスから充電が行われバッテリーの消費が早くなってしまう。これはiOSデバイスでカメラコネクションキットを使う場合でも同じだ。筆者のように移動中もハイレゾを楽しむ人は、USBポートからの充電を無効化できるポータブルアンプを選ぶか、バッテリーを内蔵しない代わりに省電力タイプの製品(代償としてヘッドフォンの駆動力は低めになる)を選ばざるえなくなり、おのずと製品の選択肢が狭まってしまう。
専用プレイヤーではなく、あえてAndroidデバイスやiOSデバイスを使ってハイレゾを楽しむということは、組み合わせの自由を楽しむということであり、これだけ多くのハイレゾ対応DAC内蔵のポータブルアンプが登場していながら、モバイル利用を考慮すると選択肢が狭まってしまうのはあまりに寂しい。iOSデバイスに比較すると圧倒的にバリエーションの多いAndroidデバイスをサポート対象とするだけでもメーカーとしては頭の痛い問題だとは思うが、充電の問題と合わせて今後の製品に反映して欲しいと思う。「HF Player」の正式版の登場でプレイヤーとUSBオーディオクラスドライバの問題は大きく解決の方向に向かったのだから。
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