ポータブルオーディオにも広がる「バランス駆動」って?――仕組みや端子の種類をまとめてみた(3/3 ページ)
今回はポータブルオーディオリスニングにおいて、特に音質向上の面で高い効果が得られる「バランス駆動」について、そのメリットや対応製品の現状を整理してみたい。
グランドセパレート方式
このほか、最近注目を集めつつある4極の3.5ミリプラグによるグランドセパレート方式のバランス接続についても触れておきたい。2台・1組のアンプ回路構成で、左右チャンネルのグランドを独立させることで、バランス駆動と同様にセパレーションの明瞭なサウンドが楽しめるのが特徴だ。ヘッドフォンアンプ側に搭載するアンプ回路を大規模化させることなく高品位なサウンドが得られるため、ポータブル機器の薄型化・小型化に効果が高い。また一般的な3極プラグと互換性もあるので、同じジャックにバランス接続非対応のケーブルを採用するヘッドフォン・イヤフォンをつないで楽しめる汎用性の高さも魅力的だ。
対応製品にはヘッドフォンアンプとしてOPPO「HA-2」があり、同社から発売されているバランス対応のヘッドフォン「PM-3」も今後専用のリケーブルによりバランス接続ができるようになる予定だ。ポータブルオーディオプレーヤーではHiFiMANの「HM700」が同方式によるバランス接続への対応を公式にうたっているほか、ソニーのウォークマン「NW-ZX2」が4極の3.5ミリジャックを搭載しているようだ。Beat Audioからは「NW-ZX2」によるグランドセパレート方式のバランス接続に対応するリケーブルも発売される。
Hi-Fiコンポーネントやスピーカーによるオーディオリスニングでは既に馴染みの深いバランス駆動だが、その高音質化のアプローチは徐々にヘッドフォン/イヤフォンによるポータブルオーディオにも広がりつつある。接続端子が統一されていないことなど未だ発展途上な部分も残されているが、どの規格・方式がデファクトになるのかも含めて、今後の動向から目が離せない熱いトピックスになりそうだ。直近の「春のヘッドフォン祭」では、どんなバランス駆動対応の新しい製品が出てくるのか期待が膨らんでくる。
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