Ultra HD Blu-rayの実力を堪能できる4Kテレビはコレだ!(前編):山本浩司の「アレを観るならぜひコレで!」(3/3 ページ)
前回、Ultra HD Blu-rayの魅力を十全に引き出せる家庭用4Kテレビ&4Kプロジェクターは存在しないと書いたが、この数週間で状況がガラリと変わった。ソフトウェアアップデートで変わった東芝「Z20X」のHDR画質、そしてパナソニックとLGエレクトロニクスの新製品について、インプレッションをお届けしよう。
Ultra HD Premium規格を上回るスペックのLG「E6P」
LGエレクトロニクスの「OLED E6P」は65V型と55V型の2モデル展開の、第2世代有機ELパネルを用いたフラットタイプ。バックライトを必要としないE6Pは、 3mm厚のガラス製バックカバーに3mm弱のパネルを貼り合わせた極薄型で、しかもベゼル幅はわずか1mm。空中に動画がぽっかり浮かび上がるかのような、未来的なイメージが味わえる魅惑の大画面テレビだ。この美しいアピアランスを目にすると、やはり“液晶の次も液晶”とはとても思えなくなる。
E6Pの魅力は、もちろんデザインの秀逸さだけではない。65V型の65E6Pをチェックして、第1世代パネルを採用した昨年の「EG9600シリーズ」に比べて画質面で長足の進歩を遂げていることが確認できた。
本機は、先述したUltra HD Premium規定を満たしているのはいうまでもないが、最大輝度は、有機ELタイプのHDR条件である540nitsをはるかに超えた値(800nits前後か)を実現しているようだ。しかもEG9600シリーズで気になった低輝度部のノイズ、ホワイトバランスの不安定さ、階調不足が大幅に改善されている。もっとも試作機を見た限りでは、BD「ノーカントリー」の夜闇のシーンでノイズが散見されたのも事実。発売までにぜひこの暗部のノイズが目立たないように画質を追い込もらいたい。
とはいえ自発光タイプならではのコントラスト表現にはパナソニックTH-65DX950とは一味違う魅力がある。暗部のダイナミックレンジが広く、漆黒が深いのである。明るい部屋ならば、おそらくTH-65DX950の画質面での優位は揺るがない気がするが、50lx(ルクス)以下のほの暗い照度環境で、本機の最大輝度を400nits以下まで落した映画系画質モードを選べば、DX950を凌ぐダイナミックな映像が楽しめるのではないかと思う。
また、本機の仕様で興味深いのがドルビービジョンの採用だ。本機はHDR対応としてUHD BDの必須規格であるPQカーブ採用のHDR 10に加えて、UHD BDのオプション規格ドルビービジョンにも対応したわけである。発表会では定額制動画配信サービスのNetflixからドルビービジョン採用の4Kコンテンツ配信が予告された。
実際にドルビービジョンで制作されたHDRの4Kコンテンツのデモ映像を観たが、そのキレのよいハイコントラスト映像はたいへんすばらしく、UHD BDとともに本格4K/HDR時代を牽引していくのはNetflixではないかとの思いを強くした。
冒頭で「執筆時点の3月半ばにおいて、UHD BDの魅力を十全に引き出せる家庭用4Kテレビ&4Kプロジェクターは存在しない」と断言したが、それから数週間、HDR の魅力を誰もが実感できる高画質モデルが続けざまに発表されたことに強い感銘を受けた次第。来月はソニー、東芝、シャープそれぞれの4K/HDR対応大画面テレビの新製品レビューをお伝えしよう。
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