Ultra HD Blu-rayの実力を堪能できる4Kテレビはコレだ!(後編):山本浩司の「アレを観るならぜひコレで!」(3/3 ページ)
先月のパナソニック、LGエレクトロニクスに続き、今月はソニー、東芝、シャープの最新4Kテレビをじっくりチェックした。そのインプレッションを記したいと思う。
生々しい映像と音像が正しいスピーカー、シャープ「LC-55XD45」
シャープ「AQUOS」のこの夏の新製品でぜひ注目していただきたいのが、55V型の「LC-55XD45」だ。VAパネルを搭載した直下型バックライトのローカルディミング機で、昨年秋に登場した「XG35」「XD35」に引き続いて本格的なサイド・スピーカーを搭載し、音のよさを積極的にアピールする。
本機はLEDの発光効率を上げて消費電力を抑える「リッチブライトネス」技術を搭載し、HDRコンテンツ再生の基準と目される最大輝度1000nitsをクリアーするとともに、青色LEDと組み合わせる緑・赤蛍光体の改良とに色復元回路の広帯域化(リッチカラーテクノロジー)などで、UHD BD再生で求められるデジタルシネマの色域、DCI-P3をほぼフルカバーしているという。
UHD BDを再生し、全暗環境で「シネマ」系画質モードで本機の映像をチェックしてみたが、HDRコンテンツらしい力感に満ちたハイコントラスト映像と豊かな発色を楽しむことができた。視野角の狭さこそ気になるが、じっくり映画と対峙したいという「お一人様」ユースには恰好の製品ではないかと思う。
もう1つ感心したのは、本機の音のよさ。 ディスプレイの両サイドに60×60mmのアルミ製四角柱エンクロージャーが美しく配置されているのだが、そのスピーカーが奏でる広がり豊かなステレオサウンドに思わず聞き入ってしまったのだ。
エンクロージャー中央に配置されたシルクドーム・ツイーターの上下に2基のミッドレンジユニットが対向配置され、ディスプレイ背面に向かい合わせにした2基のウーファーを配置するという3Way仕様のシステムだが、この広がり豊かなサウンドは、対向配置されたミッドレンジユニットから放射される音波をツイーター上下のデフューザーで拡散させるという巧みな設計あってのこと。また、スピーカーエンクロージャーが18度内振りに固定されているが、これは3H(画面高の3倍)の場所に座ったときにツイーターの音軸が視聴者の耳の位置で交差する角度だそうだ。
実際に3Hの場所で音楽ライブ作品を観てみたが、ステージ上のの歌手の口許から声が発せられている強固なイメージが得られ、なおかつホールの響きがディスプレイ全体を包み込む見事なサウンドを聴くことができた。声の質も極めて良い。
XD45の音質設計には、オーディオ専業メーカーのオンキヨーの協力を仰いだとのことで、昨年秋に登場したXG35、XD35以上にまとまりのよいサウンドが実現されているのではないかと実感させられた。
現実と見紛うような生々しい映像で人物が画面上に立体的に浮かび上がり、その人物がほんとうにしゃべっている、歌っているという強固なイメージが得られること。オーディオビジュアルの世界で、もっとも重要なポイントはそこにあると筆者は長年信じているが、その理想に限りなく近づいた4K大画面テレビが、LC-55XD45と言ってもいいだろう。
ソニー「X9300D」、東芝「Z700X」、シャープ「LC-55XD45」と駆け足でこの4K大画面テレビをレビューしてみたが、いかがだっただろうか。いずれにしても、UHD BDの実力をフルに引き出せる4Kテレビが3月時点で存在していなかったことを考えると、HDRコンテンツにいかに対応するかにフォーカスして画質を追求したこれらの新製品の実力の高さはおおいに称賛すべきで、あとは視聴環境や好みに応じて自分にぴったりのモデルをお選びいただきたいと思う。
関連キーワード
東芝 | 4Kテレビ | ソニー | Ultra HD Blu-ray | REGZA | シャープ | IPS方式 | エリア制御 | VA方式 | 液晶 | スパイダーマン | Android TV | アレを観るならぜひコレで! | クラウドサービス | 20世紀フォックス | ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント | Ultra HD Premium
関連記事
- Ultra HD Blu-rayの実力を堪能できる4Kテレビはコレだ!(前編)
前回、Ultra HD Blu-rayの魅力を十全に引き出せる家庭用4Kテレビ&4Kプロジェクターは存在しないと書いたが、この数週間で状況がガラリと変わった。ソフトウェアアップデートで変わった東芝「Z20X」のHDR画質、そしてパナソニックとLGエレクトロニクスの新製品について、インプレッションをお届けしよう。 - 間違いなく史上最強の高画質メディア――米国版Ultra HD Blu-rayをチェックした
日本での発売が待ち遠しいUltra HD Blu-ray。今回は米国で販売が開始された映画タイトルを中心に7タイトルを自室の環境でチェック、HDR対応テレビの視聴比較と合わせてお伝えしたい。 - シャープ、ピーク輝度を15%以上アップした「LC-55XD45」など4Kテレビ7機種を発表
シャープは、4K対応テレビ“AQUOS 4K”の新製品3シリーズ7機種を発表した。直下型LEDバックライトとサイドスピーカーで画質と音質に注力した「LC-55XD45」もラインアップ。 - ソニーがAndroid TVを拡充、「Slim Backlight Drive」搭載の「X9300D」など4Kブラビア3シリーズを投入
ソニーは4Kテレビの新製品3シリーズ6モデルを発表した。全モデルがAndroid TVを採用。同時に音声検索の機能強化や対応アプリの追加など、プラットフォームを大幅に拡充している。 - IPSパネル搭載の“Z”が復活――価格も抑えた4Kテレビ、東芝レグザ「Z700Xシリーズ」登場
東芝が、液晶テレビ“REGZA”(レグザ)のハイエンドラインを拡充し、IPS液晶パネルを採用した「Z700Xシリーズ」を投入する。「CELL REGZA」で好評だったという、あの機能も復活。 - 東芝が「8Kレグザ」を参考展示――有機ELテレビも「開発している」
東芝はレグザ新製品の発表会で「100インチ前後」という8Kテレビを参考展示した。また有機ELテレビについても「開発している」という。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.