HDRが起こした映像革命――2016年のAVシーンを振り返る:山本浩司の「アレを観るならぜひコレで!」(3/3 ページ)
AVシーン今年最大のトピックは、Ultra HD Blu-rayとHDR (ハイダイナミックレンジ)の登場と断言していい。今回は、その再生に必要な4Kテレビやプロジェクター、プレーヤーの動向を振り返り、印象に残った製品をピックアップしていこう。
Ultra HD Blu-rayが本格的にリリースされ始めた6月時点では、Ultra HD Blu-rayが再生できるマシンは、レコーダーのパナソニック「DMR-UBZ1」しかなかったが、この秋パナソニックから「DMP-UB90/DMP-UB900」という2機種のUltra HD Blu-rayプレーヤーが発売された。プレーヤーの登場を待ち望んでいたAVファンはやはり多かったようで、発売後しばらくは入手困難な状況が続いていたようだ。
映像処理回路はUBZ1を含めた3モデルともにほぼ同じと言ってよいが、シビアに見比べると、UB900の画質がもっとも好ましい。映像の鮮度感が勝っている印象を受けるのである。また、UB900は良質な7.1chアナログ出力を装備しているので、ぼくのようなマルチチャンネル・アナログ入力付プリアンプ(オーラVARIE)を所有しているAVファンにとっては、その有り難さはひとしお。またUB900は、UBZ1が未対応のNETFLIXの4K/HDRコンテンツに対応しているのも見逃せないポイントだ。
そして、12月に入って正式発表されたのが、米OPPO Digital初のUltra HD Blu-rayプレーヤー「UDP-203」だ(発売は2017年1月)。実勢価格は10万円前後とかなりお手頃な設定だが、その仕様はじつに本格的だ。
まず注目したいのが、オーディオプレーヤーとしてのマルチメディア対応ぶり。UB900が未対応のSACD(マルチチャンネルディスクも) が再生できるなど、「BDP-105D/103D」と同様12cm系Hi-Fiオーディオディスクならなんでもかかるというのが、まずうれしい。
採用されたDAC チップは、旭化成エレクトロニクス製の8ch仕様の「AK4458」。このチップの採用により、ハイレゾファイルの対応レゾリューションも広がり、ネットワーク経由で最大192kHz/24bitのPCMと5.6MHzまでのDSD再生が可能だ。また、使い勝手のよいプレイリスト再生に対応した専用アプリも開発中とのことで、そちらも期待したい。
HDMI出力は映像用と音声用を独立させた2系統装備、Ultra HD Blu-rayに記録された4:2:0の10bit/24p信号を4:4:4の12/24p信号にアップスケールすることが可能だ。なお、アナログ音声出力は、7.1ch分のRCAシングルエンド端子を装備している。
短時間ながらソニー「KJ-65Z9D」を設置した視聴室で、本機のUltra HD Blu-ray画質をチェックしてみたが、非常に見通しのよいフレッシュな画質が確認できた。4K&HDRの魅力が十全に味わえる出来といっていいだろう。
一対比較したわけではないが、音の良さはUB900を上回る印象。低音の解像感や空間表現力がきわめて高い印象だ。Ultra HD Blu-rayが再生できるマルチディスク・オーディオプレーヤーとしてのおおいにご注目いただきたい。
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