三つどもえのバトル勃発! スマートスピーカーのスマートホーム連携機能を比較する(3/3 ページ)
「Amazon Echo」シリーズの発売も決まり、いよいよ「Google Home」「LINE WAVE」との三つどもえの戦いが始まった。今回はそれぞれの製品が対応するスマートホーム連携に着目。何ができるのかを比較する。
日本人が求めるスマートスピーカー像に実は最も近い? LINEのWAVE
LINEのAIアシスタント「Clova」を搭載する「WAVE」は今のところスマートホーム機器との連携があまり充実していない感じを受けてしまう。でも一方でWAVEを使ってみると、日本の一般家庭のリビングに最も受け入れられるスマートスピーカーになりそうなポテンシャルを感じてしまう製品であることも確かだ。
WAVEは現在、スマートスピーカーから赤外線信号を飛ばして、国内で販売されているスマートテレビのオン/オフとチャンネル送りが声で操作できる。近く照明リモコン機能も追加予定だ。赤外線信号は離れた部屋にある家電機器の操作は苦手としているが、日本人の一般家庭にとってはリビングにテレビとエアコンがあって、そこにスマートスピーカーを置いて使うケースが当初は最も多くなることが想定される。「日本の家庭にフィットする製品」を最もリアリスティックにイメージして、いま必要十分な機能を上手く落とし込んだのだと受け止めることもできる。WAVAは“ヒツジの皮を被ったオオカミ”なのかもしれない。
赤外線方式なので、国内で発売されているスマートテレビはほぼ全メーカーをサポートしている。できることはまだシンプルで味気ないが、ユーザーの反響を見ながら必要な機能を広げていくスケーラビリティも実は確保されているのではないだろうか。コミュニケーションアプリの「LINE」を、短期間にこれほどまで巨大なサービスに充実させてきた腕力と脚力に期待しよう。
一方でWAVEも残念ながら複数のスマートスピーカーを1つのホームネットワーク内で連動させる機能が今のところまだ実現できていない。LINEとしては必要な機能として意識はしているようだが、実装するときにはWAVE以外のオーディメーカーがつくったWi-Fiスピーカーにもぜひつながるようにしてほしい。自分の好みにあう音のスピーカーでもLINE MUSICを聴きたいからだ。
AIアシスタントの「Clova」は、先日本連載でもレポートしたコネクテッドカーとの合流も模索しているようだ。フォードとトヨタが旗振り役になって2018年の本格展開に向けて準備を進めているコネクテッドカーのためのオープンプラットフォーム「SDL(スマートデバイスリンク)コンソーシアム」にLINEが参加したことで、Clovaがコネクテッドカーのほか、クルマの周辺機器と結びついていく風通しの良い環境も整いつつある。AIアシスタントを通じてリビングのスピーカーとマイカーが連携できればまた、音声UIやスマートソリューションの必然性を強く実感できるようになるかもしれない。
スマートスピーカーは「音楽を聴く」ためのデバイスであることは確かだが、今後はスマートホーム連携の可能性が広がっていかないことには普及のスピードがなかなか加速しないだろう。多くのユーザーが理想とする、あるいは想像を超えた便利な生活は様々なデバイスが持つ機能や技術をフュージョンさせることで生まれてくるものだ。本連載でも引き続き、スマートスピーカーやAIアシスタントと連携する製品に体当たりを続けていこうと思う。
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